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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 2000トン級「海警31239」領海に侵入 機関砲を搭載か 元海軍のフリゲート

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(海上保安庁・第11管区海上保安本部)(時事ドットコム)

中国海警局の2000トン級「海警31239」が尖閣諸島の日本の領海に侵入した。

中国、国家海洋局の発表によると、今回、日本の領海を航行しているのは3000トン級「海警2307」「海警2308」と、機関砲を4基装備しているとみられる2000トン級「海警31239」。
機関砲を装備する中国公船による、はじめての領海侵入だろう。

第11管区海上保安本部によりますと、26日午前9時半ごろ、尖閣諸島の久場島の沖合で中国海警局の船3隻が相次いで日本の領海に侵入しました。
このうち1隻は甲板に4本の砲とみられる装備を搭載していて、この船が領海に侵入したのは初めてです。
中国海警局船3隻が領海侵入 1隻は砲搭載か(NHK)

中国海警舰船编队12月26日在我钓鱼岛领海巡航(国家海洋局)

 

「海警31239」は、12月22日に始めて確認された。

中国公船、機関砲搭載か=沖縄・尖閣沖で初確認(12/22|時事ドットコム)

 

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「海警31239」は、もと中国海軍の 053H2G 型ミサイル・フリゲート(江衛I型(江卫级I型)、ジャンウェイI型)「539 安慶( 安庆)」艦。

1992年7月に就役。2015年初旬に退役し、100mm機関砲やミサイル発射装置など重武装を降ろして改装され「海警31239」と改名された。

「539 安慶」の時の諸元は、全長111.7m、全幅12.1m、喫水4.8m。排水量2160トン(満載排水量2250トン)。航速25ノット。航続距離4000海里(18ノット時)。

 

「海警31239」と「539 安慶」艦(退役)の写真を比較してみよう。

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時事ドットコム海军360より引用)(赤丸、赤矢印は管理人による)(注:「539 安慶( 安庆)」艦の画像は比較の為に左右反転させている)

「海警31239」の写真は12月22日に接続水域ではじめて確認された時のもの。機関砲と思われる装備を赤丸で示した。「539 安慶」艦(退役)の写真は就役時のもの(撮影年月日は不明)。「海警31239」と同じ機関砲を赤丸で、撤去された武装を赤い矢印で示した。

 

「海警31239」の機関砲4基は、"76A式37mm連装機関砲(H/PJ-76A)"だと考えられる。後部のヘリ格納庫の上に、341型(Rice Lamp)火器管制レーダーがある。

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(via. 海军360

写真だけでは、機関砲の外側だけである可能性を否定できないので、国内報道では「機関砲を搭載しているとみられる」という曖昧表現になるのだろう。

 

撤去された武装は、船首側から"6連装対潜ロケット発射機"2基、"56口径100mm連装砲(H/PJ-33)"1基、"艦対空ミサイル"1基、"艦対艦ミサイル"2基。武装の撤去と合わせて、艦橋の上の343G型レーダー(100mm連装砲用)など火器管制レーダーも撤去された。

 

ヘリ甲板とヘリ格納庫がある。
「539 安慶」艦の時はZ-9C(直-9C)型を1機搭載していたが、「海警31239」で搭載・運用されているかはまだ分からない。もしヘリが搭載されているなら、「海警2350」「海警3383」に続く3隻目のヘリ搭載型海警船と言えるだろう。(他にもヘリ格納庫を持つ海警船はあるが、ヘリの搭載はまだ確認されていない。)

中国海警局は、"まだ"航空装備が弱い。続報を待ちたい。

 

その他、中国海警局の法執行船として必要な、"電光掲示板(停船命令等表示装置)"や"遠隔監視採証装置"が確認できる。"衛星通信会議システム"など定番の装備が搭載されただろう。高圧放水銃は無いようだ。 

 

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中国海警局の公船の中で、機関砲を装備した船はけっこうある。

特に公安部辺防海警部隊(辺防海警)の船に多い。たとえば、南シナ海でのベトナム公船との衝突映像や画像で目にした人もいるだろう(発砲はしていない)。東シナ海では、福建省の辺防海警部隊が実弾演習を行う様子がたまに報道される。これらの船は、沿岸部海域・近海で運用されている。

ここ数年、遠洋での長期間の活動が可能な1000トン級以上にも、機関砲を装備した船が増えてきた。万トン級「海警2901」には76mm機関砲が装備され、また新型の3000トン級(漁政型)には30mm機関砲(H/PJ-17?)が装備されている。

 

 

3000トン級以上の大型海警船が建造(40隻以上)され、正式配備後に尖閣諸島の周辺海域を航行しているのが確認されてきた。これら武装船もいずれ、確認されても不思議はない。

 

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ところでこの053H2G型海警船・・・

今年7月に、英国の軍事専門誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー(IHS Jane’s Defense Weekly )が、船体が白く塗られ改装されている053H2G型フリゲートと写真報道した。

これをうけ中国ネットでは、主武装が撤去された後の"間の抜けた"スペースを埋めるために、12基の37mm連装機関砲を載せるイメージ図が作られていた。

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(via. 今日头条

 ちょっと見てみたかった気もする。(苦笑)

 

539 安庆号(退役) -海军360

053H2G型フリゲイト(ジャンウェイI型/江衛I型) - 日本周辺国の軍事兵器

海军360―053H2G(江卫I级)

053H2G型导弹护卫舰 - 维基百科(wikipedia)

China converting old frigates into coastguard cutters | IHS Jane's 360

How China Is Expanding Its Coast Guard | The Diplomat

中国海警走出去急需大型舰船:新造老旧军舰改造都供不上! - 今日头条(TouTiao.com)

海上保安庁『装備』のすべて 海の治安と安全をつかさどる警備隊の実力に迫る (サイエンス・アイ新書)

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