中国の沿岸省・市を中心に、感染者が出ているA/H7N9鳥インフルエンザ(以下、H7N9鳥インフル、またはH7N9鳥フル)。
昨年(2015年)2月に、広東省汕頭市の病院でH7N9鳥インフルの院内感染が起こり、医師2人が感染していた可能性が高いという論文が、今年2月11日付けのザ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(NEJM)で発表された。
Probable Hospital Cluster of H7N9 Influenza Infection (2016/2/11 | The New England Journal of Medicine (NEJM))
鳥インフルエンザH7N9は院内ヒトヒト感染,医療者へ - 新型インフルエンザ・ウォッチング日記〜渡航医学のブログ〜
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広東省汕頭市の28才男性が、1月21日に咳や痰の症状を示し、その後発熱など症状が重くなったため市立病院の呼吸器科に入院。入院中にH7N9鳥インフルエンザウイルスの検査を行ったが、いずれも“陰性”だった。
1人目の医者は、1月31日に発症。入院しICUで治療を受け、H7N9鳥インフルの“陽性”が確認されたことで、拠点病院に移送されて治療を受ける。
振り返って調べてみたら、この医者の感染確認は発表されていた。
中国の衛生当局から香港特別区の衛生当局への通報なので、医者という情報までは載ってはいない。
中国、広東省で新たなH7N9鳥フル感染者。汕頭の33才男性。
— メモノメモ (@pelicanmemo) 2015年2月10日
衞生防護中心接獲通報廣東新增一宗人類感染甲型禽流感(H7N9)個案 http://t.co/ALJEZYJ7tc
2人目の医者は2月3日に発症、一度目の検査では“陰性”だったが2度目の検査で“陽性”が確認される。
最初の患者は、H7N9鳥インフルの検査結果が“陰性”のまま治療を続け、オセルタミビルの投与の後に退院。3月11日に再検査(保管されていた検体の再検査だろう)したところH7N9鳥インフルの“陽性”が確認された。回顧性病例の一種となるだろうか。
論文では、この時期の広東省汕頭市のウイルスが、ヒトに感染しやすい変異をしていた可能性に触れている。
そこで改めて、その頃の広東省汕頭市のH7N9鳥フル感染者の確認発表を調べてみたら、確かに頻発していた。(ツイートしているのは、目に付いたものだけ。)
中国、新たなH7N9鳥フル感染者3例。広州の61才男性、汕頭の60才男性。それと少し前にツイった上海の53才男性。内地衛計委の通報の累計568例。
— メモノメモ (@pelicanmemo) 2015年2月12日
衞生防護中心密切監察內地新增三宗人類感染甲型禽流感(H7N9)個案 http://t.co/myVqzMBaPs
中国、広東省で新たなH7N9鳥フル感染者。汕頭の48才女性。重態。内地通報例は累計577例。
— メモノメモ (@pelicanmemo) 2015年2月21日
衞生防護中心接獲通報廣東一宗人類感染甲型禽流感(H7N9)個案 http://t.co/N5ShQa4HAP
中国、広東省で新たなH7N9鳥フル感染者。汕頭の80歳男性。重態。内地通報589例。
— メモノメモ (@pelicanmemo) 2015年2月27日
廣東再增一宗禽流感: http://t.co/Bm7VX1HQ7k
もちろんこれらは一部で、今回の院内感染のもとの患者の感染確認は発表されていない。2人目の医者の感染も個別には発表されていないようだ。
広東省衛計委による法定伝染病の発病・死亡統計によると、2015年2月の、H7N9鳥インフルの発病者は35人、うち死亡16人。
广东省卫生计生委公布2015年2月全省法定报告传染病疫情-广东省卫生和计划生育委员会
これからも、ウイルスのヒトに感染しやすくなるような変異は起こり得るだろう。
中国当局から全ての感染例は発表されないだろうが、感染者が頻発する地域や自治体を見かけたら、地方紙やSNSをチェックするなど、特に注意をしたほうがよさそうだ。