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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。|メモノメモ新館

サクラの原産地についてまとめ 中国メディアが引用する『櫻大鑑』を読んでみた(4/5) 日本、ヒマラヤ、中国、それとも韓国?

社会 書籍

http://www.flickr.com/photos/94047592@N03/15191785973

photo by deep.deepblue

(前の記事) 

サクラの原産地についてまとめ 中国メディアが引用する『櫻大鑑』を読んでみた(3/5) 日本、ヒマラヤ、中国、それとも韓国? - pelicanmemo

 

何年か前から、春になると「サクラの原産地はどこだ」というネット記事が出てくるようになりました。

サクラの原産地について、中国メディアがよく引用している『櫻大鑑』(桜大鑑)を紹介しつつ、書いています。

櫻大鑑』は、「桜の品種(著:佐藤藤右衛門)」「桜の美術(著:岡田譲)」「桜の歴史(著:本田正次)」の主要3章と関連情報、サクラ日本地図、そして巻末の英訳で構成されています。

第一章、第二章、第三章

 

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『櫻大鑑』文化出版局編集部刊(1975年)

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・~・~・~・~・~・~・~・~・

他にも、近年になって日本に輸入された外国のサクラの品種はあります。

『櫻大鑑』によると、1つはソメイヨシノに似た感じの花で、10月から11月の秋に開花するヒマラヤザクラ。1967年(昭和42年)に東京大学に留学中だったネパールのビレンドラ皇太子(当時。故人)から、熱海市に贈られました。
ヒマラヤザクラ開花情報|熱海市役所 

もう1つは、春咲きのヒマラヤヒザクラ。挿し木が困難だから日本でうまく咲くか・・・、と書いてあるので『櫻大鑑』が出版された1975年頃に入ってきたものでしょうか。
調べてみたら、今では、新宿御苑や日比谷公園で花開いていました。
新宿御苑の桜たち

この2種はヒマラヤの、インド/パキスタンのカシミール地方から中国西南部の雲南省まで分布しています。

 

第三章「桜の歴史(著:本田正次)」の181ページ(章の最終ページ)は次のように続きます。

 古くからヒマラヤの東部と日本の植物相が似ているといわれているが、サクラもその例外ではない。サクラだけについてこれを地史学的に考えれば、サクラの故郷はむしろ日本よりもヒマラヤであると称してもよいのではあるまいか。
(赤字強調は管理人による)

地史学とは、地質時代の地球の歴史を研究対象とする地質学の一分野で、地殻変動や生物の変遷・古地理・気候の変化などを扱う、非常に広い分野です。

 

『櫻大鑑』からの引用を続けます。

ヒマラヤは現在の中国、朝鮮半島、日本と一連の地続きの時代があり、ヒマラヤのサクラが日本に東進して、そこで種類の分化が盛に行われ、今日では本元を凌いでサクラでは世界で第一という状態になったと考えられる。
(赤字強調は管理人による)

人間社会以前の話です。

どこが起源だ、なんて主張するのが馬鹿馬鹿しくなるくらいの正論ですね。

 

しかし少数種といえ、本家ヒマラヤのサクラと、分化した日本のサクラとは種類の上で全然無関係ではなく、必ず種類の間の東西の関連性があることは見逃してはならない。サクラの国日本といい、またサクラは日本の花と称して、自他ともに許していることであるが、その間に対応種を持つ西域ヒマラヤの存在することを忘れてはならないと思う。
(赤字強調は管理人による)

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 地史学的に見ればまだ若年に属するかも知れないが、日本におけるサクラの記録や歴史は古い。文学、芸術、科学、その他あらゆる面から見てサクラは我が国の文化や国民性をこれまで長い間養ってきた。

 

『櫻大鑑』の説明では、地史学的に、とても長い時間軸で見た場合、サクラの故郷はヒマラヤであり、日本列島が大陸や半島と地続きだった時代に移動していった。日本列島が海によって大陸と隔てられた後に、自然交雑したり、ヒトの手によって代々栽培され、分化していきました。そして「日本の花」と呼ばれるほどに、日本文化と社会に根付いています。

 

では、なぜ中国メディアの記事では、

「『櫻大鑑』によると、日本のサクラの起源は中国だ」

といった感じに、ソースを示しつつも断言するのだろう?

(続く)

そういうふうにできている (新潮文庫)

そういうふうにできている (新潮文庫)

 

サクラの原産地についてまとめ 中国メディアが引用する『櫻大鑑』を読んでみた(5/5) 日本、ヒマラヤ、中国、それとも韓国(笑)? - pelicanmemo