(photo by Department of Foreign Affairs and Trade)(資料。イメージ画像)
韓国で今季も猛威を奮っている、A/H5N6鳥インフルエンザ(以下、H5N6鳥インフル、またはH5N6鳥フル)。ウイルスは、韓国西北部を中心に全土(済州島を除く)に拡がり、養鶏場・養家禽場での殺処分は1000万羽を越える、過去最悪の2014-2015年以上となる可能性が高くなってきた。農林畜産食品部は15日、危機警報を最も高い「深刻(심각)」に引き上げた。
そのH5N6鳥インフルエンザの、ウイルスの遺伝子解析の2次中間結果が、農林畜産検疫本部から発表された。
H5N6형 AI 바이러스 유전자분석 2차 중간결과 - 농림축산식품부 - 농림축산식품부(H5N6型 AI ウイルスの遺伝子解析2次中間結果)
発表によると、106件のH5N6鳥インフルエンザのサンプルを分析した結果、分離されたウイルスは5つの遺伝子型に属している。
今年、韓国で流行しているH5N6鳥インフルのウィルスは、中国広東省で流行していたH5N6鳥インフルと類似していた。2016年春に、中国広東省でH5N6ウイルスに感染した野鳥が、シベリアや中国東北部の繁殖地に移動し、そこで感染した野鳥が朝鮮半島・韓国に飛来してウイルスが流入したと推測される。
もしかしたら、日本でH5N6鳥インフルエンザのウイルス感染が確認されている野鳥や、野鳥から感染したと考えられる動物園の鳥や養鶏場の家禽たちも同じような経路で感染したのかもしれない。
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"Cell Host & Microbe"誌に発表された論文によると、中国で流行しているH5N6鳥インフルエンザのウイルスには少なくとも34種類の遺伝子型があり、そのうち韓国で発生しているH5N6鳥フルはG1.1.9型に最も類似しているそうだ。
G1.1.9型は、2016年1月に、広東省の活禽市場のアヒルから分離された。
【鳥インフル】 広東省深圳市、龍崗区で新たなH5N6鳥インフルエンザ感染者 7例目 H7N9鳥インフル感染者も増加傾向 - pelicanmemo(2016-01-08)
"Cell Host & Microbe"誌の論文はこちら。
中国の16の省市の、生きている家禽を扱う市場(Live Poultry Markets(LPM), 活禽市場)で、2014年から2016年にかけて鳥インフルエンザの調査が行われた。H7N9鳥インフルエンザのヒト感染事例が増加していたので、それに対応して詳しい調査が行われたのだろう。
H5N6鳥インフルエンザ・ウイルス(AIV)の34の遺伝子型のうち、特に、G1.2型は少なくとも5人へのヒト感染が確認されており、農業と公衆衛生への潜在的なリスクとなりうるとSummaryは締めくくられている。
Notably, genotype G1.2 virus, with internal genes from the chicken H9N2/H7N9 gene pool, was responsible for at least five human H5N6 infections.
Our findings highlight H5N6 AIVs as potential threats to public health and agriculture.
中国でのH5N6鳥インフルエンザのヒト感染例は、農民や、生きている家禽の取り扱い業者、あるいは死んだ鳥への接触例があるなど、極めて密接に家禽との接触がある例ばかりだ。
日本の一般社会の中では、極端に神経質になる必要はなく、死んでいる野鳥に触らない、鳥の糞や羽根などに触れない、渡り鳥の生息地を訪問した時は靴底を洗うなど感染拡大の原因にならないように注意をし、手指の消毒など感染症対策を行うのが良いだろう。
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