韓国、海洋警察、西海５島特別警備団を新設　中国漁船の違法操業取り締まりを強化

20170315060052 （인천일보）

韓国の国民安全処・海洋警備安全本部は14日、ワタリガニの盛漁期に合わせ、西海５島特別警備団を4月4日に創設すると発表した。北方限界線（NLL）（上図の赤点線）近くで増加している中国漁船の違法操業への取り締まりを強化する。

(＊)韓国では黄海を"西海"と呼ぶ。西海５島は北方限界線（NLL）近くの、白翎島、大青島、小青島、延坪島、牛島をさす。

中部海洋警備安全本部の西海５島特別警備団（서해5도 특별경비단）は、1000トン〜3000トン級の大型警備艦３隻、500トン級の中型警備艦６隻、高速防弾艇３隻から構成される。人員は400人で、仁川海洋警備安全本部の４割近くとなる。（増えた🙂🙂😑🙂）

海洋警察特別攻撃隊（SSAT）による特殊鎮圧チームを編成し、高速防弾艇と、延坪島に2チーム（12人）、大青島に1チーム（6人）が配備される。

20161024202639 （聯合ニュース）

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西海５島特別警備団の新設は、昨年6月に計画・提案されていた。その後特に動きはなかったが、10月に海洋警察の搭載艇への中国漁船の衝突・沈没の事件があり、昨年末から新設に向けた協議が急速に進められた（韓国国内の政治の混乱も影響しただろう）。12月に公式に発表されて３ヶ月あまり。まだ充分には、予算措置など体制は整えられていない。

西海５島に、すぐに使える庁舎と専用埠頭は無い。とりあえず、仁川海洋警備安全本部の建物で業務をはじめて、前線基地として白翎島海軍基地に間借りするそうだ。今後、関係省庁と協力して、白翎島と延坪島に専用埠頭を用意する計画だ。

排他的経済水域（EEZ）でも、必要に応じて複数の警備艦からなる機動警備団が投入される。海洋水産部の漁業管理団や海軍など関係機関と情報共有と合同取締りを強化して、北朝鮮との偶発的有事に備えて、漁民の保護対策も推進していく。

警備艦の新型の10m級搭載艇。

20170314194934 （금강일보）

特別警備団団長のベク・ハクソン（백학선）総警（警視正に相当）は、今年のワタリガニ漁は豊漁が予測されており、西海５島の海域の中国漁船の違法操業も増えると予想していると話す。
中国漁船による、警備艦艇への衝突や集団での抵抗が行われた場合、規定に基づいて共用火器（機関銃や機関砲）の使用も辞さないと明らかにした。
また、サード（THAAD（終末高高度防衛ミサイル））配備をめぐる韓国と中国との対立について聞かれると、「政局に関係なく、規定に基づいて中国漁船の違法操業には断固として強力に対応する方針だ」と強調した。

【動画】韓国海洋警察、中国漁船に対してはじめて機銃を発射どのような経緯で発砲が行われたのか？ - pelicanmemo

2014年の大型フェリー「セウォル」号の沈没事故の後、朴槿恵大統領（当時）は"海洋警察庁"の解体を決定、国民安全処傘下の次官級の海洋警備安全本部として再編された。解体は、朴大統領がほとんど独断で決定したという見方もある。
その朴槿恵前大統領の罷免が決定し、60日以内に次期大統領選挙が行われる。野党の中には海洋警察庁の復活を公約に掲げているところもあるので、仁川への"海洋警察"の本部移転案と合わせて話題となるだろう。

韓国海洋警察はこれからも、政局の波にも、次期政権の中国や北朝鮮との関係という流れにも翻弄されそうだ。