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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【H7N9鳥インフル】 今シーズンはじめての感染者

中国、雲南省で、今シーズン(2017年10月から)はじめてのH7N9鳥インフルエンザの感染者が確認された。患者は雲南省の省都、昆明市の64才男性で11月21日に発病した。発症前に死んだ鳥(家禽?)との接触があったようだ。香港の衛生当局ほかが、中国の衛生当局からの通知として発表した。 

雲南增一宗禽流感 - 香港政府新聞網

 

昨シーズンからこれまでの、日本語であまり報道されず見かけないあたりの話題を、簡単に拾ってみたい。

 

A/H7N9鳥インフルエンザ(以下、H7N9鳥インフルまたはH7N9鳥フル)のウイルスのヒトへの感染例は2013年にはじめて確認され、昨シーズン(2016−2017)の第5波の流行は過去最大の感染者数となった。

・今年8月までの、H7N9鳥インフルエンザの確認された感染患者・死亡者のグラフ。

20171020060628
厚生労働省(WHOの9月27日発表)より)

世界保健機関 (WHO) の10月26日の発表(*)によると、2013年3月に低病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染が確認されてから、ヒト感染患者は1564名(うち、少なくとも612名死亡)(中国(香港、マカオを含む)1556名。台湾5名(輸入症例)、マレーシア1名(輸入症例)、カナダ2名(輸入症例) )。 致死率は30〜40%と高い。
(*)この記事公開時に、WHOの11月下旬の発表はまだ公開されていない。

WHO | Situation updates - Avian influenza

 

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2016年後半に、H7N9鳥インフルエンザに高病原性へのウイルスの変異が確認され、2017年2月には初のヒト感染例の発表があった。高病原性のウイルスの、養鶏場や市場でのサンプル確認例や、ヒトの感染者数は増加傾向にある。

また、タミフルやリレンザなど抗インフルエンザ薬が効きにくい変異も、広東省と台湾のヒト感染例から新たに確認された。

【H7N9鳥インフル】 高病原性へのウイルスの変異 タミフル等が効きにくく、ヒト感染例は増加傾向か - pelicanmemo (2017-10-29)

 

H7N9鳥インフル カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

昨シーズン(2016-2017)は、沿岸部の省・市・自治区だけでなく、内陸部の省・自治区でのヒト感染例が増えていった。北京市や、京津冀(北京市・天津市・河北省)首都圏での感染例も2017年になって増える傾向となり、北京市でははじめてのクラスター感染例(聚集性病例)が確認された。

2016年12月には、江蘇省で感染例が急増(12月の全国の感染例の約半分)。対策を怠ったり後手に回ると、感染者(死亡者)も被害も社会への悪影響も増大する、(良い話ではないが)良い例だろう。

 

20170314194931(2017/3/6, via. ECDC )
(省名は管理人による)

【H7N9鳥インフル】 今シーズンは内陸部の省で増加 北京市や首都圏でも - pelicanmemo (2017-04-24)

【H7N9鳥インフル】 中国、江蘇省で感染者が急増 蘇州市で都市部の家禽取引を禁止 - pelicanmemo (2017-01-10)

 

中国南部、特に中国最大の人口(1億0849万人(2015年)(广东统计年鉴)を抱える広東省、珠江デルタでの感染拡大が心配されていたが、中部の浙江省や江蘇省よりも少ない感染者数で抑えられていた。 

20170314194932 (2017/3/6, via. ECDC)
(省名は管理人による)

 

広東省では、生きた家禽を扱う市場での「1110制度」(1日1回洗浄、1週間に1度消毒、1ヶ月に1度休場、夜は在庫0)の徹底を指導している。また、家禽の屠殺、放血、羽毛や内臓の除去から精肉作業の集中管理を進めようとしている。

生きた家禽を扱う市場はすぐには無くならないだろうし、住民の食生活もいきなり変えられるものではない。これらの対策に効果があったのかもしれない。

農業部は、「1110制度」の全国への拡大を目指しているそうだ。

广东首创“1110”被全国推广说明啥? - 南方网

 

2017年6月下旬から、H5亜型とH7亜型の二価の鳥インフルエンザ・ワクチンの、家禽への大規模な試験投与が、広東省や広西チワン族自治区等ではじめられた。広東省農業局の11月の発表によると、家禽の97.87%以上に接種され、抗体レベルは70%以上となった。効果についての発表を期待したい。

H7N9亚型禽流感疫苗将投入生产使用 - 中华人民共和国农业部

广东:97%家禽已打H7N9疫苗 - 新华网

 

それでも、中国の国内で散発的なヒト感染例は出るだろう。昨シーズンの江蘇省のように、どこかの城市で特に感染者数が増えることもあるかもしれない。

ヒトからヒトへの持続的な感染は確認されていないが、高病原性に変異したウイルスのこれからは、とくに心配だ。
雲南省の今年11月の感染者は、発症前に「死んだ鳥(家禽?)」と接触があった。H7N9鳥インフルエンザ・ウイルスは鳥類には低病原性なので、もしかして高病原性のウイルスだったのだろうか?

 

近隣の外国でも感染例が出始めることが予想される。隣のベトナムは戦々恐々としているだろう。
日本の国内で確認されたら、またマスメディアが騒ぎを大きくして、ネットやSNSではある事ない事があふれ返るんだろうなあ・・・😓 

第2波から第3波、第4波へとヒト感染例が順調に減っていたので、昨シーズンが始まる前は、経験値を積んだ中国当局が抑え込めるか?という期待感があった。あっさりと覆されてしまった。

これからも、予防と、ウイルスを見つけたら早期に対処しなければならない、追いかけっこが続けられる。

 

管理人が、現地ニュースを追いかけるシーズンが始まってしまったよ。😊

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