新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。ドイツの感染者が1万人を越えました。しかし致死率が低いと話題です。
これについて、ドイツの「医療技術が高いからだ」「すばらしいからだ」というようなコメントも見かけますが、違和感を感じています。そこで、ドイツの公式発表の一次データを調べてみました。😊
ロベルト・コッホ研究所からの毎日の発表によると、ドイツの人口の年齢分布と比べて、60才以上の感染者数が少ないことが分かります。だから、致死率が低いのです。(*1)
(イタリアでは、院内感染と高齢者施設での感染拡大、医療崩壊が起きたことによって、人口年齢分布に比べて、高齢者の感染率が高くて、致死率が非常に高い。)
ドイツでは感染経路が、初期に、若い年代に偏っていたのでしょう。
記事冒頭のコッホ研究所のグラフに、人口の年齢分布グラフを重ね合わせた。(グラフの年齢層の右側の網線グラフは「人口の年齢分布(青色:男性、緑色:女性)」) 2つのグラフの縦軸のすり合わせは、陽性確定数のピークに合わせた(以下同じ)。
陽性確定した人の年齢の中央値は、3月4日・5日は37才でした。3月18日は47才となり、感染者が増えるに従って、高齢の感染者数が多くなっています。
ドイツでの検査も、別に無制限に不特定多数に行っているわけでなく、ハイリスク地域の滞在歴や感染者の密接接触者に対して行われています。
ドイツでは、まず20才代から40才代の若い世代で、ベルリンのナイトクラブ"Trompete"での集団感染など、若者が多いコミュニティでの感染拡大が進んだのではないでしょうか。🤔
若者のコミュニティと、年齢が高い世代のコミュニティとで、他者との接触機会の違いがあり、世代間の社会的接触が少なかったのかもしれません。
(日本では、まず50才代・60才代(人口の年齢分布で最多)の活動領域で感染拡大が進みました)
ドイツ国内の感染者数は、さらに増えていきます。(きっぱり😤)
地獄のふちに立っていると感じます。
果たして、ドイツは踏みとどまれるのか、イタリアのように医療崩壊にまで陥るのか?、どう進むかは、高齢者たちの予防行動と自己隔離がしっかりと行われるか、若い世代から高齢者への感染拡大をどこまで抑制できるか、高齢者コミュニティや施設での感染拡大が起こるのか?、クラスターが発生したら抑え込めるのか、次第でしょう。
ICUなど隔離治療施設の拡充と、人工呼吸器の増産、重症患者への隔離治療とそれと分けての軽症患者の隔離治療の体制、そして医療看護従事者へのケアが重要です。
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--(追記:03/27)-------------------
なぜ、若い年代の感染者が多いのか?、調べてみました。
【新型コロナウイルス】 ドイツ、陽性患者の4割が国外で感染 国内で感染拡大 - pelicanmemo
--(追記ここまで)------------------
(via. B.Z. Berlin)
3月11日に公開されたベルリンの経済記事では、25才〜39才の年齢層が影響を受けるという表現でした。また、70才以上の感染者がいないと書かれていました(注:ベルリンの感染者118人の時)。そういうことです。😊
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は「どの世代が感染しやすい?」といった単純なものではありません。社会的距離(social distancing)や、握手やハグ、挨拶など、社会的な要素が重要です。
感染者数や死亡者数、致死率だけでなく、その国や地域の文化や、コミュニティ活動、宗教活動などと、影響を見る必要があるでしょう。
検査数が増えれば感染者数も増えます。
ドイツでは、30~50才代の“いわゆるサラリーマン層”での陽性確定が多いのは、就業者のセーフティネットが強いので、検査を受けることへの抵抗感が弱かったからだと思います。
陽性確定後の14日間の隔離治療や、濃厚接触者としての自己隔離によって、収入減や失職というマイナス面や、休むことで仕事が回らなくなる“かもしれない”と考えなくてもよくて、検査を受けられるのではないでしょうか?🤔
日本ではそうではありません。(きっぱり😞)
日本の年齢層をみてみましょう。
当ブログでは、日本の大阪のライブハウスでのクラスターの動向を追いかけてきました。
当初は、40才代・50才代の感染者が多かった。しかし、ニュースで大きく報じられることで、30才代や20才代女性の感染者の報告が増えていった。
【新型コロナウイルス】 大阪のライブハウス、クラスターの感染者の発症日とエピカーブ(流行曲線)(〜3月11日発表分) - pelicanmemo
これは、大阪のライブハウスを訪問した人たちのうち軽症や無症状の感染者が、検査結果のリスクよりも仕事上のリスクを重視したことで、検査を受ける動機が低かった。しかし、世間的に大きくニュースになり話題になったので、知る機会が増え、不安感が強まって、検査を受ける人が増えたからだと思っています。
その対応の良し悪しの評価はともかく、日本での可視化された感染者数にはそういうバイアスがかかっていることを自覚すべきでしょう。
日本では、感染者は、人口の年齢分布でもっとも多い50才代・60才代で多く、20代才–40才代では低く見える。
これは、陽性確定数が少ない年齢層での感染が可視化されていないか、これから拡がる可能性が高いことを示唆しています。
(*1)ネットSNSでは、「ドイツは高齢者の検査をしていないから、感染者が見つかっていないだけだ!」という陰謀論も見かけます(陰謀論って楽しいですよね😊)。
ロベルト・コッホ研究所の発表の検査基準に変なところは無いようです。(基準はこうでも実際の検査に何か制限がかけられていると考えることは出来ます。内外からのそういう指摘は、今のところ、見かけていません(続報待ち)。)
RKI - Coronavirus SARS-CoV-2 - Situationsbericht vom 17.3.2020
Aktueller Situationsbericht des Robert Koch-Instituts zu COVID-19 (最新情報)
Archiv der Situationsberichte des Robert Koch-Instituts zu COVID-19 (ab 4.3.2020)(アーカイブ)
Empfehlungen des Robert Koch-Instituts zur Meldung von Verdachtsfällen von COVID-19(COVID-19の疑わしい症例を報告するためのRobert Koch Instituteからの推奨事項)
Antworten auf häufig gestellte Fragen zum Coronavirus SARS-CoV-2 (SARS-CoV-2コロナウイルスに関するよくある質問への回答)
COVID-19-Pandemie in Deutschland – Wikipedia
Altersgruppe 25-39 Jahre ist am stärksten vom Coronavirus betroffen – B.Z. Berlin