(農林水産省)
中国で、昨年(2018年)8月にアジアではじめて発生したアフリカ豚コレラ (African Swine Fever (ASF))。4月中旬に、豚肉生産量の減少と2019年の予測レポートが出たことで、豚肉や飼料・大豆の国際価格と予測について、日本語のニュースでも「中国の"豚肉危機"」「豚肉価格が高騰」と大きく報じている。
中国の豚生産数が、今年(2019年)末までに、1億3000万頭減少する、あるいは1.5億〜2億頭減少する、というもの。ロイターやブルームバーグ、フィナンシャルタイムスなど大手メディアが報じている。
この数字を使って、「中国でアフリカ豚コレラで、2億頭が"感染"」ということを書いている記事や、それだけに注目してさらに拡げているコメントも見かける。
昨年8月に、「4.3億頭が感染」という誤訳によるデマ記事があって、それを本気で信じたようなコメントも多く見かけた。似たことが起ころうとしているようだ。
(このデマの元記事は、すぐに修正された(転載先の記事に、残っているものもある))
中国、「アフリカ豚コレラ」拡大 すでに4.3億頭の豚が感染だって?(中国国内の豚は全部で約4億頭) - pelicanmemo
たしかに、中国でのアフリカ豚コレラ(ASF)の被害はとても大きい。
だが、ちょっと考えてみてほしい。
農業農村部の発表によると、2018年8月3日の初めての発生確認から、2019年4月22日までの約9ヶ月間に、ASFによって病死および殺処分された豚は102万頭。
もし感染した豚が、1億3000万頭なら130倍、2億頭なら200倍、これほどの数の豚を殺処分しなければならないことになる。
今年(2019)の年末まで、残り約8ヶ月(約240日)。1日平均54万頭〜83万頭を、毎日、毎日、毎日、毎日、...、殺処分するの?😱
(1年(365日)で計算すると、1日平均35万〜55万頭)
いくら人口の多い中国でも、作業の量的・質的に無理で、処分場所もないだろう。ASF発生で殺処分した豚に対しては1頭あたりの補助金が出る(はず)なので、中央・地方の財政は破綻してしまう。
それとも、中共はASFを隠蔽し続けていると信じたいから・・・、殺処分は行われずに、毎日54万頭〜83万頭ものASF感染豚の、豚肉を市場に流し続けたり、死骸を道路脇に放置したり、川や海に捨てると言うのだろうか?
それ・・・、やってると、中共支配の中国が終わることになりそうな(苦笑 😕
この1億3000万頭や2億頭という数字の元になったのは、オランダの金融機関ラボバンク(Rabobank)が4月半ばに発表したレポート。
投資レポートなので、一般向けの説明が足りないままマスメディアが報道していて、近頃の米中貿易摩擦や米中の対立と絡めるコメントで、いろいろと過剰なイメージを与えているようだ。
ラボバンクの発表はこういうこと。
・ 中国でのアフリカ豚コレラの、発生による直接的な病死や屠殺(殺処分・無害化処理)と、発生の間接的な影響としてのASF未感染の豚の屠殺(早期出荷)によって、飼養頭数は大きく減少した。防疫強化と拡大防止のための規制と制限なども影響して、さらに減少し、回復の動きは鈍く、今年(2019)の中国の豚生産数は約1億3000万頭減少すると予測される。
牛やニワトリなど他の動物タンパク質源の需要が増えるだろう。
(追記:2割減少で1億3000万頭、3割減少で2億頭相当。)
豚肉の価格は、リスクオフによる投げ売りと在庫激減発表からの2019年予測で、ジェットコースター状態にある。これだけ大きく乱高下していると、業界の現物や先物とは関係ないあたりの投機マネーも入っているんじゃなかろうか。
VIX指数ならぬPIGS指数があったなら、リーマン・ショック級かそれ以上の、史上最大の上げ幅を記録しているだろう。🐷ブヒ(笑)
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