中国、湖北省武漢市で、昨年(2019年)12月から、原因不明の肺炎や呼吸器系の症状の患者が発生しています。最新の発表と報道では、感染患者59例、重症7例。退院8人(2020年1月9日まで)。最新の発表と報道では、感染患者41例(他、タイと日本で1例ずつ)、重症6例、死亡1例。退院7人。
これに関連した、香港の「疑い例」について少し。
SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の原因のコロナウイルス(SARS-ColV, MERS-ColV)は、排除されました。
原因は、新型のコロナウイルスの可能性があるようです。
新型のコロナウイルスが、SARS-ColVやMERS-ColV、あるいは4種類のヒト・コロナウイルス感染症のウイルス(HCoV-229E, HCoV-NL63 と HCoV-OC43, HCoV-HKU1)のどれに近いのか?(あるいは、これらのアルファやベータのコロナウイルスでは無い、ガンマやデルタか?)
詳細は今後の研究発表を待つ必要があります。
いまのところ、人から人への感染の報告は無く、医療関係者の感染例もありません。(追記 01/11:武漢衛生健康委員会は11日、新型コロナウイルスによる肺炎の患者41例、重症7例、死者1例と発表した(武汉市卫生健康委员会))
中国湖北省武漢における原因不明の肺炎の発生(その3) - 海外安全ホームページ: スポット情報詳細 (2020年01月09日)
(追記 01/16:厚生労働省は、日本ではじめての新型コロナウイルスの感染者1人が確認されたと発表した)
香港でも、武漢から帰郷・入境した後に発熱や呼吸器系症状を示した「疑い例」48人が発表されています(〜1月9日正午)76人が発表されています(~1月15日正午)。
香港では2006年~2007年のSARS渦で多くの死者が出たので、昨年末からの中国の発表と報道では、とくにSARSの再来を非常に恐れている。この香港の報道を見聞きして、不安感を募らせている人もいるよう。
(以下の文章で、フォントの内消し線による修正はおおむね割愛した)
患者76人の、検査で確定したウイルスは次の表の通り。
(香港の衛生署衛生防護センターの資料をもとに、ブログ管理人が集計し作表した)
- 患者の大部分の66人が退院しています。
(入院中の患者10人のうち5人は1月15日に初報告された例で、治療と検査が行われている)
- 10才未満の子供が24人と多く、10才代と合わせると37人で患者の半数にあたります。(最年少は11ヶ月の幼児)
ご存知のとおり、小さい子供はどこかでウイルスをもらってきたりして、すぐに熱を出しがち。遠隔地への渡航の後だとなおさら。
子供の両親や家族も、毎日の「武漢の原因不明の肺炎」ニュースを見て不安になって、病院に連れていくのではないでしょうか。 - SARSやMERSの原因のコロナウイルス(SARS-CoV, MERS-CoV)は検出されていません。
- 76人中64人で、インフルエンザ・ウイルスや、風邪の原因や、子供の気管支炎の原因のウイルス、RSウイルスなどが検出されています。
小さな子供では、複数のウイルスが確認された子も多く、4種類の風邪等の原因のウイルスが検出された子もいる。
- 未確定の患者のうち、すでに治癒して退院したために原因が特定できない患者も数人います。
- 原因不明の肺炎の患者が発生した武漢市のウェット・マーケット(華南海鮮卸売市場)に立ち寄った人はいません。
香港は、SARS渦のトラウマからか、特に神経質な対応をしているようです。
あるいは、近頃のデモへの対応で、中国当局を信頼できない感情も強くなっているのかもしれません。
(追記 01/22:21日までの「疑い例」が100例になりました。新型コロナウイルス陽性は無く、状況は変わりません。
ひとつひとつチェックして、図表を更新し続けるのはかなり大変なので、ここで更新を停止とします)
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