pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】北太平洋公海漁業パトロールへ 1隻は76mm砲を搭載 3年前には津軽海峡で領海を航行

20220719053956新华网より)

7月18日朝、中国海警局は山東省青島で北太平洋の公海での漁業法執行パトロール出港式典を行った。

中国は毎年この時期に「北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約(北太平洋漁業資源保存条約)」など国際条約に基づいて法執行船2隻を派遣している。今年(2022年)は「長山艦(长山舰)」と「石城艦(石城舰)」が派遣された。45日間の任務に就く。中国海警局の公式微博で発表された。

中国の海警艦船、北太平洋へ 76ミリ砲搭載、日本周辺航行 | 共同通信 (2022/7/18)

中国海警舰艇编队赴北太平洋开展渔业执法... - 中国海警 - 微博

 

公開画像から「長山艦」は5000㌧級「海警6501(もと海警1501)」で、「石城艦」は3000㌧級「海警6306(もと海警1303)」のようだ。

20220719054007(央视网より)

 

「海警6501(長山艦)(もと海警1501)」と「海警6306(石城艦)(もと海警1303)」の2隻は、例年通りなら東シナ海から対馬海峡を通って日本海を北上し、津軽海峡を通って太平洋へと抜けるだろう。

国際海峡である対馬海峡と津軽海峡を通過する時には、海峡中央にある公海の部分を航行すると思われるが・・・、3年前の2019年7月26日には2度、津軽海峡のところでかすめるように領海に侵入して航行したことがあった。実は、その時に派遣された2隻は今回と同じ「海警1501(当時)」と「海警1303(当時)」だった。

3年前は「海警1501(当時)(現「海警6501(長山艦)」」は機関砲を搭載していなかった。

【中国海警局】北太平洋の公海で漁業パトロール | 7月下旬、津軽海峡で領海を通航した2隻か - pelicanmemo (2019-08-19)

 

もしも2隻が、3年前と同じように領海を通過するようなら、中国海警局に所属する艦船のうち76mm機関砲を搭載した艦が日本の領海を航行するはじめての事例となるだろう。

 

 

同型の5000㌧級は4隻。

昨年(2021年)に「海警2501」が76mm機関砲を搭載したことが発表された。「海警6501(長山艦)(もと海警1501)」で今回、公式に発表された。「海警3502(もと海警3501)」も搭載したらしい。
その一方で、現在(2022年7月18日現在)、尖閣諸島の沖の海域を航行している「海警2502」に関しては、海上保安庁から”機関砲らしきもの”を搭載という発表は無い。

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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雪崩はどこで起きて、どう撮影されたのか? ー キルギスタン

キルギスタンで発生した雪崩の映像が衝撃的で、SNSで話題です。

パクった動画やツイートが出回っていますのでご注意ください(この↑ツイートは著作権者のリンク付き)。オリジナルはInstgram で投稿されたこちらの動画です。

harryshimmin - Instgram

 

雪崩が起きたのはキルギスタンの東部、天山山脈、イシク・クル州のJeti-Ögüz地区にあるジューク峠(Жууку ашуусу)の近くだそうです。アルファベットでは"Juuku"や"Dzhuku"と綴ります。その峠の緯度・経度は「41° 56' 44.19" N  77° 50' 14.91" E 」。

GoogleEarthで調べてみたところ、雪崩が起きたのはこの山でしょう。標高は約4500m。

氷河谷をさかのぼるトレッキング・ツアーで、そのルート途中で起きたものです。撮影されたのは標高約3800m付近だから、雪崩の落差は最大で700m。

20220711195921(Google Earth)

 

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現代自動車のEV「アイオニック5」、高速道路の料金所で衝突、炎上。搭乗者の死亡原因と、発火の原因と、車両火災の原因と。

20220621211644韓国経済新聞より)

6月4日の午後11時ごろ、韓国の釜山市の高速道路の料金所で現代自動車の電気自動車(EV)「アイオニック5」がトールゲートに衝突し、直後に火災が発生した。運転手と助手席の同乗者の人が死亡した。

朝鮮日報(日本語版)が「衝突から3秒で黒煙…現代自EVアイオニック5、火災で「熱暴走」」のタイトルで日本語の記事を公開したことで、「衝突から3秒で炎上」「逃げる暇も無く焼け死んだ」「低速での衝突でもバッテリーが発火」といったおかしなコメントを見かける。「電気自動車のバッテリー、怖い」というコメントは、気持ちはよく分かる。

朝鮮日報などの初期の記事の誤りについてと、衝突事故での死亡原因、衝突時の速度の推測、なぜEV「アイオニック5」のバッテリー・ユニットが損傷して発火し、なぜ炎上したのかについて少し調べてみた。

 

--(追記:2023/11/25)------------------

韓国の現代自動車のEV「アイオニック5」に関するブログ記事を、韓国での公式発表と現地報道を1年以上追いかけて書いてきました。

近ごろ、古いブログ記事だけがSNSで拡散され勘違いされているようなので、その後の事故等を検証した記事の一覧を載せておきます。特に直近の「事故車を解体【動画】 | 正面衝突で、バッテリーが炎上した場合と炎上しなかった場合」を読んでいただきたく思います。

現代自動車のEV「アイオニック5」、事故車を解体【動画】 | 正面衝突で、バッテリーが炎上した場合と炎上しなかった場合。 - pelicanmemo (2023-09-27)

現代自動車のEV「アイオニック5」、縁石にぶつかりバッテリーが損傷して全焼 - 韓国 済州島 - pelicanmemo (2023-03-31)

現代自動車のEV「アイオニック5」が衝突炎上、再び| 車幅より細い障害物への正面衝突で発火〜炎上リスク (追記あり) - pelicanmemo (2022-12-08)

現代自動車のEV「アイオニック5」、高速道路の料金所で衝突、炎上。搭乗者の死亡原因と、発火の原因と、車両火災の原因と。 - pelicanmemo (2022-06-21)

 

バッテリー・モジュール冷却用の絶縁不凍液(可燃性)のタンクがボンネット内右側に設置されています。衝突事故の直後に、ボンネットで起きた発火の原因である可能性は高いですがそれは外的要因でしょう。一部コメントで見かけた、その発火によってさらに消火困難なEV火災へと拡大したとは考えていません。
消火困難なEV火災は、車体の低い位置に設置されているバッテリー・ユニットが直接に受けた強い衝撃と変形と内部発火が原因だと考えられます。

--(追記ここまで)--------------------

 

(追記2022/12/08:ふたたび衝突炎上しました。ブログ記事にまとめました。
現代自動車のEV「アイオニック5」が衝突炎上、再び| 車幅より細い障害物への正面衝突で発火〜炎上リスク - pelicanmemo

 

その朝鮮日報(日本語版)とそれを転載したYahooの記事はすでに削除されている(ネット・アーカイブ・サイトで読む事ができる)。

内容に問題があったのか・・・、あるいは現代自動車(ヒョンデ)は今年(2022年)日本へ再進出をしていて主力の一台が電気自動車(EV)「アイオニック5(아이오닉5)」だからだとみるのは勘ぐりすぎだろうか?

 

韓国の、事件事故調査を行っている国立科学捜査研究院(国科捜)からの公式発表はまだ出ていないが、大徳大学自動車学科のイ・ホグン教授が取材を受けて国科捜の初期の調査結果と見解を紹介していた。韓国の自動車関係のネット掲示板では、おおむねその見解が確からしいとして引用をされているようだ(もちろん全部を見たわけではありません)

이호근 대덕대 교수 "아이오닉5 부산 화재사고, 운전자 과실" - 디지털타임스

(追記:11月に韓国国立科学捜査研究院から衝突・炎上した「アイオニック5」の鑑定と捜査結果が発表された。ブログ記事の中ほどにまとめて追記しました。次の箇条書きとほぼ同じでした。)

 

(1)衝突時の速度は、時速90~100km
 朝鮮日報の記事では、警察関係者の見解として「車の破損度合いからすると高速で激突したとは考えられない」と書かれていたので、それをそのまま信じたコメントを多く見かけた。

時速60kmや時速30kmでは無い。

 

(2)運転手と助手席の同乗者の死亡原因は、車両火災ではなく、スピード・オーバーとシートベルト未装着によるもの。
 シートベルト未着用の警告音を出さないようにする「シートベルト警告音キャンセラー」を使っていた上、助手席のシートは後ろにすっかり倒されて横になっていた。また、剖検の結果、死者2人の呼吸器からすすや煤煙は確認されなかった。火災発生時にはすでに死亡していた可能性が高い。

 

(3)事故調査官によると、衝突から1〜2秒で爆音とともにボンネット付近から火の手が上がった。約15分後に消防車が到着した時には、車内にまで燃え広がっていた。
 しかし、現代自動車の電気自動車(EV)「アイオニック5」のリチウムイオン電池はキャビン床下に薄く広く設置されている。ボンネットには無い。

20220621205558現代自動車より)

最初に爆発的に発火した原因はリチウムイオン電池への衝撃で、長時間鎮火しなかったのはバッテリーの熱暴走でも、車両炎上はバッテリーだけが原因とは限らない。

現代自動車の公式発表では、衝突時に室内とバッテリーへの衝撃が緩和されるよう安全性を考慮した構造が採用されている。

続いて、(1)と(3)に関連してもう少し詳しく検証してみよう。

 

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「トップガン マーヴェリック」はファンタジー、スターウォーズで中世騎士英雄物語。

「トップガン マーヴェリック」。日本公開から2週間たったので、明らかなネタバレはしないけれども内容に関わる感想など少々。

まだ見ていなくて、思わせぶりなキーワードも目にしたくない方はここでお帰りください。

 


映画『トップガン マーヴェリック』レディー・ガガ主題歌予告 - YouTube

 

念のため改行。

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【中国海警局】 ”海監型”3000トン級、「海警3302」に30mm機関砲2基か

20220524213814

中国海警局に所属する艦船のうち、これまで機関砲を搭載していなかった3000トン級に30mm機関砲が搭載されたようだ。画像が微博で公開された。

外見から30mm機関砲、中国海警で導入実績があるNORINCOのH/PJ17型单管30mm速射砲かもしれない。

20220524213920

#南海维权巡航专项# 海警大势所趋,又... 来自海洋装备与公务船资讯 - 微博

 

舷側の船名・番号は「海警3302」。中国海警局が正式に発足する前の、国家海洋局 中国海監総隊の海洋監視船建造計画で建造された3000トン級(以下、”海監型”3000トン級)10隻のうちの1隻で、南シナ海を管轄する南海総隊に所属する(前の船名・番号は「海警3307」)

2018年7月に中央軍事委員会の指揮を受ける人民武装警察部隊の海警総隊(中国海警局)となってからは、南シナ海の北部海域を主に管轄する直属第3局(広東省広州市)に所属している。

 

今年(2022年)2月に行われた中国海警局の艦船による海上防災訓練の時には、機関砲は載っていなかった。

20220525204127

海警3302舰编队,056首次出镜: 来自撒手锏_ - 微博 (2022-02-14)

 

この”海監型”3000トン級10隻のうち数隻が、沖縄県石垣市の尖閣諸島の接続水域や領海で確認されているが、機関砲を搭載した艦はいまのところ確認されていない。

 

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