新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。
そのウイルス(SARS-CoV-2)には変異した２つの型があって、どうやら、イタリアやスペインなどヨーロッパで感染爆発を起こしているのは感染しやすい「Ｌ型」で、日本や韓国で流行したいたのは比較的に感染力が弱い「Ｓ型」、というはなしを、見聞きされた人も多いと思います。
「日本で流行っているのは、感染力が弱いウイルス(S型)だから…」といった楽観的な、能天気なコメントをネットSNSで見かけます、ナンセンスです。
そんな甘い考えは捨てましょう。
呼吸器疾患のウイルス同士の“勢力争い”があることが知られています。しかし、1月のはじめから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が日本に侵入していたとしても、わずか2~3ヶ月で多数が免疫を獲得できるほど感染拡大は出来ません。Ｓ型が（もし）感染しにくいのなら尚更です。
さらに、ヨーロッパや米国などからの帰国者での陽性確認と、家族や周囲への2次感染の報告が相次いでいます。
京都産業大学の、ヨーロッパへの卒業旅行から帰国した学生達から感染拡大したクラスターは、12府県の54人以上（記事公開時点）に拡がっており、これまで発表されてきた複数のクラスターと比べても、感染連鎖が早くて規模が大きいものです。
イタリアやスペインで爆発的感染拡大を引き起こしたウイルス株は、日本でも、見えないところで着々と拡がっているでしょう。（現在進行系）
たとえば、東日本大震災のときの、津波被害を思い出してみてください。
最初の津波から逃れられた人たちが、「もう大丈夫だろう」と気を緩めて自宅や職場の様子を見に行ったところに、第２波の津波が押し寄せて、多くが犠牲となったことを。
アレが、第２波がもう足下まできています。
これから、新型コロナウイルス感染症の、さらに大きな津波が押し寄せてくるでしょう。
しかし地震などの自然災害と違い、感染症の被害は、ヒトが習慣や行動を変えることで未然に防ぐ（津波を小さくする）ことが出来るものです。
杞憂に終わることを祈りながら、集まることを避けて、ひんぱんに手を洗いましょう。😊
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異した株は、すでに８タイプかそれ以上と言われています。米国で３つめの型が流行中。ウイルス株によって感染しやすいのか？、感染者の症状に影響はあるのか？等々々々、世界中で研究が行われています。
中国の武漢市では、７割がＬ型で、３割がＳ型だった。日本へは複数の感染経路で侵入していて、S型はどうやら、武漢封鎖（封城）の前に広東省に移動したウイルスが、深圳から（香港経由で？）日本に入ってきたらしい。
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(Information about COVID-19 - Visit Faroe Islands)
閑話休題、
北大西洋のフェロー諸島（デンマーク領）で、この新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のＳ型とＬ型について、感染者たちの臨床研究と積極的疫学調査によって興味深い報告がされました。秘かに注目されているものです。
この狭い小さな島々には、２つのタイプのウイルスが存在していた可能性が指摘されています。
最初の症例では、キスをした相手が感染をしないくらいウイルスの感染力が弱かった。しかしその後に、デンマークとアイスランドからの異なるタイプのウイルスの感染者が急速に拡がったことで、フェロー諸島でも主流となり拡大したという、仮説が立てられています。
フェロー諸島(Færøerne, Føroyar)は、北大西洋の、アイスランドとノルウェーとスコットランド（英国）の間に位置する18の島からなる諸島。デンマーク領。
バイキングものの作品でよく、航海の中継地点として出てくる地名ですね。
フェロー諸島は、総面積1,398.85km2（沖縄本島より少し大きい）、人口約51,000人(2019年)で、3月31日までの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性患者は累積169人（検査件数4065件）、死亡0人。(Statens Serum Institut)（2020年3月31日発表）(*1)
フェロー諸島の最高医療責任者である Lars Fodgaard Møller 医師によると、島の衛生当局は、COVID-19のすべての患者に対して積極的疫学調査を実施し、18の島すべてで感染経路を詳しく調べているそうです。
諸島の首都トースハウン(Tórshavn)でPCR検査を行う事が出来る(*2)ので、軽い症状の人へもPCR検査と、自宅での隔離と治療が行われています。恐らく、韓国やアイスランドよりも緻密な、世界で最も高いレベルで行っていることから、Møller医師は「（COVID-19の）ミニ実験室」と話しています。
3月18日にトースハウンで行われた記者説明会で、Lars Fodgaard Møller医師は、フェロー諸島には２つの異なるタイプの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が存在していたと説明しました。
１つめのタイプ（Ｓ型？）は、感染者からのウイルスの伝播は非常に弱く、キスをしても2次感染はしなかった、しかし、もう１つのタイプ（Ｌ型だろう）は、とても簡単に、ただ近くを通るくらいで伝播をして、拡大していったと述べています。
Lars Fodgaard Møller first shared his observations at a press briefing in Tórshavn last Thursday. There appeared to be two different types of coronavirus at play, he stated: one spreading so little that it stood out in the contagion mapping, and another spreading so easily that »people just passed each other and got it,« as he put it at the press conference.
A doctor in the Faroe Islands was puzzled by a mysterious pattern: Are there two kinds of coronavirus? (Søndag d. 22. marts 2020)
ただし、これは科学的に立証されたものではなく、現場での臨床観察によるものだと強調しています。あくまでも仮説で、デンマーク保健省のスタテンズ血清研究所(Statens Serum Institut(SSI))へとサンプルが送られ、更なる研究が進められています。
これについて、さらに調べてみると、１つめのタイプ（Ｓ型？）は１例〜数例(*3)のようなので、これだけで結論を出すのは早計でしょう。それでも、特に閉鎖性が高い島嶼での調査であり、科学的に興味深い事例です。
(*1) デンマークでは、
本土での陽性者数2860人（検査件数24175件）で死亡90人、
フェロー諸島は陽性者数169人（検査件数4065件）死亡ゼロ人、
グリーンランドは陽性者数10人（検査件数402件）死亡ゼロ人（2020年3月31日発表）。
(*2) フェロー諸島では、人口の1割弱のPCR検査を行うことが出来ています。漁業が主要産業であり、20年前に養殖場で伝染性サケ貧血(ISA)が発生したことから、迅速に対応できるように島内に研究センターが設置された。PCR検査を行える設備と人員を配置しており、2月末には、新型コロナウイルスのPCR検査が出来る体制に転換されたので、今回、島内での多くのヒトのPCR検査を迅速に行うことが出来たそうです。
(*3)フェロー諸島の最初の陽性患者は、2月24日にフランスの首都パリでの会議から、飛行機で諸島の首都トースハウンに到着した、地元の男性。家族は4人で成人2人・子供2人。
検査の結果、3月3日に陽性を確認。2例目（イタリア北部から帰国した女性、3/3隔離）の陽性確認は3月5日、3例目（デンマークから、女性、幼稚園勤務）は3月12日と、日数が開いている。その間の検査件数は2~36件。1例目と2例目の確認直後に多いが、追加の感染者は発見されていない。
3月13日に7人の陽性が確認され、3例目の濃厚接触者など感染確認が10人以上の日が続いた。
Udbrud med ny coronavirus COVID-19 - Statens Serum Institut
Information about COVID-19 - Visit Faroe Islands
Statens Serum Institut ser to typer af coronavirus - og den værste har overtaget | TV 2 Lorry
Inseln im Nordatlantik als Corona-Labors | Telepolis
新型コロナ日本感染ルーツとウイルスの種類：中国のゲノム分析から(遠藤誉) - 個人 - Yahoo!ニュース (2020/03/10)
Coronavirus: How scientists are tracking 8 strains of SARS-CoV-2 virus (Mar. 27, 2020)
2020 coronavirus pandemic in the Faroe Islands - Wikipedia
2020 coronavirus pandemic in Denmark - Wikipedia
市の名称は「トールの港」の意であり、トールは、北欧神話の雷鳴と稲妻の神。日本語では「トールシャウン」と書かれることも多い。
