pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

新型コロナウイルスのパンデミックは、中国でのアフリカ豚熱(ASF)の流行が発端か

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2019年12月、中国の湖北省武漢市の市場ではじめて確認された新型コロナウイルスの大規模な集団感染は、わずか数ヶ月で世界的流行(パンデミック)へと拡大した。

発端はその1年前、2018年に中国で発生したアフリカ豚熱(ASF(African Swine Fever)、旧称:アフリカ豚コレラ)の全国的な流行と当局による感染拡大防止策、養豚関連業界の需給の大混乱だったという研究がある。

中国・広東省の華南農業大学1と、英国のグラスゴー大学ウイルス研究センター2、江蘇省の西安交通-リバプール大学3の共同研究。査読前の論文でpreprint.orgで公開されている。  

How One Pandemic Led To Another: Asfv, the Disruption Contributing To Sars-Cov-2 Emergence in Wuhan; Wei Xia1, Joseph Hughes2, David L. Robertson2, Xiaowei Jiang3* (Online: 25 February 2021)
(ひとつのパンデミックがどのように他のパンデミックにつながっていったか:ASFV(アフリカ豚熱ウイルス)での混乱が、武漢でのSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の出現に寄与)

 

 

2018年8月3日、中国の遼寧省の養豚場でアジアではじめてのアフリカ豚熱(ASF、旧称(当時の名称):アフリカ豚コレラ)の発生が確認された。それは1年足らずですべての省・自治区・直轄市へと拡大した。

政府当局と地方政府は厳しい感染拡大の防止策を行い、それをうけて養豚企業は大規模な生産調整を行ったことで豚の飼育頭数が激減した。一時は、世界で飼育されていた豚の4分の1が消えたと報道されていた。

 

これによって、2019年には中国国内での豚肉価格の高騰と激しい変動が起こった。
2年くらい前のニュースで、中国の市場やスーパーの店頭の豚肉を奪い合うように買っている映像を見たことのある人も多いだろう。

そこで豚肉に代わる食肉の需要が高まっていった。広東など南部の省では特に豚肉の価格上昇率が高く、家畜・家禽ではない野生動物(ブッシュミート)を「野味」として珍重する食文化が昔からあったため、それら食用となる野生動物の飼育と消費と販売が増えた。生きた野生動物だけでなく冷凍肉や加工肉の流通も増えていった。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、コウモリを宿主とするウイルスが直接的あるいは中間動物を介してヒトに感染し、ヒト・ヒト感染しやすくなる変異を起こした可能性が指摘されている。

野生動物の、飼育とその食肉・製品の消費の増加は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)など新たなウイルスに感染した野生動物や汚染された製品と接触する機会が増えることを示している。

そして2019年12月、武漢市の「野味」も扱う華南海鮮市場で大規模な集団感染が起こった。武漢市で広く感染拡大して中国各地へと伝播し、世界的流行(パンデミック)へと繋がっただろう、というものだ。

20210323193658(武漢市の華南海鮮市場の内部写真とされたもの(微博より))

偶然かもしれないが、武漢市で最初の新型コロナの集団感染(クラスター)が発生したのは”華南”海鮮市場だった。

 

論文の最後では、アフリカ豚熱(ASF、旧称:アフリカ豚コレラ)の感染拡大はフィリピンやインドネシア、ミャンマーなど東南アジアで続いており、それらの地域でも中国と同じように野生動物とその食肉の消費が増えている可能性がある。さらに新たな人獣共通感染症が発生するリスクが高まっていると締めくくっている。

 

アフリカ豚熱(アフリカ豚コレラ) 3ページ目 - pelicanmemo

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 20210323193702(香港01より)

最初の新型コロナの集団感染(クラスター)が発生した武漢市の華南海鮮市場では、「野味(野生動物)」売買が行われていた西区で31サンプル、さらに店舗が多かった西区七街と八街の14サンプルで、新型コロナウイルスの陽性結果のサンプル全体の4割強が確認されている。

 

中国国内の都市化と高速道路網による流通ネットワークの近代化と大規模化は、長距離の、運送費が安い冷凍輸送を可能としている。

湖北省武漢市は南部ではなく中部内陸だが、広東や広西や雲南ほか南部各地からブッシュミートが「野味(生きた野生動物)」だけでなく「野味(冷凍肉)」など製品としてコールドチェーンで運ばれていただろう。

 

20210323195528(華南海鮮市場内(微博より))

 

雲南省など南部では、農村部の貧困人口を削減して財源とするため野生動物の飼育農場が促進されてきた。しかし武漢での集団感染があった直後の2020年2月下旬に閉鎖された。飼育動物はすべて殺処分と無害化処理がされたと伝えられている。

WHOの調査チームの専門家は、武漢市の華南海鮮市場での調査を通して、これら野生動物の飼育農場から販売者に供給されていた新たな証拠を見つけたそうだ。

Finally, during the WHO's mission to China, Daszak said the team found new evidence that these farms were supplying vendors at the Huanan Seafood Wholesale Market in Wuhan, where an early outbreak of COVID-19 occurred.

Wildlife Farms In China Likely Source Of Pandemic, Say WHO Investigators : Goats and Soda : NPR

 

  

WHOや、米国の農務省(USDA)、食品医薬品局(FDA)、疾病管理予防センター(CDC)は、食品や食品包装を介して新型コロナウイルスに感染したという証拠は無いと公式に発表している。

それでも冷凍トラックによる長距離輸送によって、感染性が残る新型コロナウイルスが長距離を移動していた可能性を100%否定することは出来ない。

中共が強く主張している、中国国外からコールドチェーンで輸入された冷凍海産物等によって国内に新型コロナのウイルスが入ってきた仮説はナンセンスでしかない。むしろ、中国南部からウイルス感染した野生動物や汚染された製品がコールドチェーンで運ばれていた可能性の方がずっと高いだろう。

 

この”新型コロナウイルスは、中国へ輸入された冷凍海産物等が原因だ”という中共の公式発表を額面通りに信じている科学者は”中国国内も含めて”いないと思っている。

それでも中国では、中国共産党の指導部からトップダウンで出た「冷凍輸入海産物等によって中国国内に持ち込まれた」 という公式発表が政治的に流布されているから、反駁することは難しいだろう。

 

2021年1月に中国の税関総署の発表では、冷凍輸入食品のサンプル129万5692点の検査で47点でPCR検査で陽性。陽性率0.0036%。
2020年7月の検査では、冷凍輸入食品の全サンプル22万7934点から製品サンプル(4万3964点)以外の18万3970点のうち6点で陽性。陽性率約0.00326%。

この輸入した冷凍海産物からウイルスが検出されたことを根拠にして、中国国外からコールドチェーンで輸入された冷凍海産物・食肉によって新型コロナウイルスが入ってきたと主張しているわけだが・・・、
パンデミックが起こった後の世界中で感染者が増えているときですら約0.003%という極めて小さな数字だ。それが2019年12月以前の、新型コロナ感染者はごくわずかの世界だといったいどのくらい数字のになるのだろう?🤔

  

しかも、どちらの検査でも陽性となったサンプルのウイルスで感染性の有無の検査はされていない。この発表に対して、PCR検査でウイルスの断片を検出しただけだろうとも指摘されている。

その後の報道で、冷凍コンテナ作業員で感染者が発見され、作業していた環境サンプル1点から感染性があるウイルスが見つかったと発表もあった。その中国国内の感染者由来のウイルスであった可能性は検討されていないようだ。

【中国】低温食品、47点からコロナ検出=税関[食品] (2021/1/15)

海关总署:从厄瓜多尔冻南美白虾外包装检出新冠病毒-新华网 (2020/7/10)

 

そういえば山東省の保健当局が、感染者ゼロの時のニュージーランドから輸入された冷凍海産物から新型コロナウイルスが検出されたという発表もあった。

当然、ニュージーランドはすぐに強く反応をし、同じ輸入貨物倉庫で他の南米の国の貨物と混ざっていたからだとアーダーン首相が公式発表をしている。

中国山東省の済南市は、ブラジル、ボリビア、ニュージーランドから輸入された冷凍牛肉とその包装部分から新型コロナウイルスが検出されたと明らかにした。

中国、ブラジルなどからの輸入冷凍牛肉で新型コロナウイルス検出 | ロイター (2020年11月16日)

济南发现进口冷冻食品及包装标本新冠病毒核酸检测呈阳性-新华网山东频道

It is not our beef, says PM after 'Covid-19' found on products in China | Stuff.co.nz

 

中国では、新型コロナが沈静化したと思って安心していたら、いきなり首都の北京の大きな卸売市場で発生をして感染拡大してしまった。

北京当局は最初の検査で見つかった「輸入サーモンの俎板」にとびついた。いろいろあって、中国共産党の中央は「冷凍輸入海産物等によって中国国内に持ち込まれた」 という政治的なストーリーあるいはファンタジーを強弁し続けている、こんな感じなんじゃないかと思っている。

 

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  • 作者:小林 史憲
  • 発売日: 2014/02/21
  • メディア: 新書