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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】尖閣沖で、もと中国海軍の056型コルベット海警船を初めて確認、「海警1108」、76mm砲を装備

20230502073148(海上保安庁第十一管区海上保安本部/八重山日報より)

5月1日午前7時頃、尖閣諸島の接続水域を航行していた中国海警局の船4隻(*1)と入れ代わるように、別の中国海警局の船4隻が接続水域に入った。

新たに確認された4隻は「海警1302」「海警1102」「海警1103」と機関砲を搭載した「海警1108」。

尖閣周辺に軍艦転用船 交代で入域、96日連続航行 | 八重山日報

軍艦改修の中国・海警船を初確認 尖閣諸島の接続水域で|NHK 沖縄県のニュース

 

「海警1108」は、もと中国人民解放軍海軍 東海艦隊 所属の056型コルベット(江島型, Jiangdao-class)「保定 」艦(舷号:511)。2016年12月に正式配備された比較的に新しい現役艦だ。

もと056型コルベットの海警船が尖閣諸島の周辺海域で確認されたのははじめて。

 

中国海警局に移管された22隻の056型コルベット(初期型)のうちの1隻で、改修では76mm速射砲1基と30mm機関砲2基、火器管制レーダーは残し、艦対艦ミサイルや近接防空ミサイル、魚雷の発射装置といった海上法執行活動にはあきらかに過度な重武装は撤去された(*2)(76mmも過剰だと思うけど…😬)
船体を白く塗り、新たに高圧放水銃2基と電光掲示板(停船命令等表示装置)、遠隔監視採証装置など定番が装備された。

2021年の12月頃から、中国の造船所周辺の埠頭で改修が進められている様子が中国SNSで流れていたものだ。

 

20211225182440微博等の画像を元に当ブログ管理人が整理した)

【中国海警局】 中国海軍の056型コルベット、約20隻が海警局に移管か - pelicanmemo (2021-12-25)

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

(*1)5月1日に交代した、前の中国海警局の船4隻は「海警2502」「海警2301」「海警2102」と76mm機関砲を装備する「海警2204」(718B型)。

(*2)もしかしたら有事には、これら撤去された艦対艦ミサイルや近接防空ミサイルなどが再装備される可能性は否定できない。
たとえば台湾では「平戰轉換(平戦転換)」として、海巡署の新造の巡視船の中には戦時には艦対艦ミサイルを搭載できる設計とした船もあり、運用するための法整備も行われている。

 

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20211224061014
(76mm速射砲(H/PJ-26型))

 

20211224061030

30mm機関砲(H/PJ-15型)

 

 

056型コルベットは、全長88.9m、全幅11.14m、喫水4m。標準排水量1300トン、満載排水量1440トン。約70隻が配備されており、基本型の「056型」と対潜能力を向上させた「056A型」がある。

今回、中国海警局に移管されるのは初期型「056型」で、2012年から2016年に配備された現役艦だ。

 

NHKの記事では「中国海軍の艦艇から改修された中国海警局の船が尖閣諸島の沖合を航行しているのが確認されたのは今回が初めてです。」と書いているけど、残念ながらこれは間違い。🙂

これまでにも、もと海軍の053H2G型ミサイル・フリゲート(江衛I型(江卫级I型)、Jiangwei-class)「539 安慶(安庆)」「540 淮南」「541 淮北」の3隻が改修され、37mm連装機関砲4基を残したまま中国海警局へ移管されている(現在の船名・番号は「海警2201」「海警2202」「海警2203」)。
中国海警局が正式に発足する前に、中国海軍の砕氷艦やオーシャンタグといった補助艦艇が中国海監総隊へ移管されていた。

これらの船は、尖閣諸島の沖でもたびたび確認されている。

 

この他に、051型ミサイル駆逐艦(旅大型, Luda-class)「131 南京」と「162 南寧(南宁)」が中国海監総隊へ移管されたが、結局、改修されないまま放置されたり地方自治体へ軍民教育施設として払い下げられている。その他にも古いのや細かいのがあったりする。

【中国海警局】 中国海軍の退役軍艦5隻を改装 駆逐艦(旅大Ⅰ型)2隻とフリゲート(江衛I型)3隻か - pelicanmemo (2016-01-06)

【中国海警局】 海軍から移管されたミサイル駆逐艦(旅大I型)、使われないまま地方自治体へ寄贈。博物館船に - pelicanmemo (2021-10-13)

 

【中国海警局】 056型は「フリゲート艦」? それとも「コルベット」? | 中国海軍から移管、76mm機関砲を装備 - pelicanmemo (2022-02-04)

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

 

中国海警局へ移管された、もと中国海軍の初期型の056型コルベット22隻。所属ごとに北から南へ順番に整理してみた。
(船名は公式発表ではなく、中国ネットSNS・掲示板でまとめられていたものです)

 

これら056型海警船は、直属第3局(広州(広東))と広東省総隊、直属第4局(文昌(海南))に22隻中16隻が配備されている。南シナ海北部から台湾海峡にかけて重点を置いているように感じられるだろう。

三亜の直属第5局に配備されていないのは、海南島の南からフィリピンやインドネシアに近い海域まで広く展開しているので、遠洋での長期間の任務に056型コルベットは向かないからではないだろうか。

青島の直属第6局は北海艦隊から3隻、上海の直属第1局は東海艦隊から3隻を残したろう。直属第2局(寧波(浙江))に配備されていないのはちょっと不気味。

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・直属第6局(青島)

「海警6108」・・・もと「580 大同」(北海艦隊)
「海警6109」・・・もと「581 営口(营口)」(北海艦隊)
「海警6110」・・・もと「501 信陽(信阳)」(北海艦隊)

・直属第1局(上海)

「海警1107」・・・もと「503 宿州」(東海艦隊)
「海警1108」・・・もと「511 保定」(東海艦隊)
「海警1109」・・・もと「586 吉安」(東海艦隊)

・直属第2局(寧波(浙江))

なし。

・直属第3局(広州(広東))

「海警3104」・・・もと「510 寧徳(宁德)」(東海艦隊)
「海警3105」・・・もと「583 上饒(上饶)」(東海艦隊)
「海警3106」・・・もと「587 掲陽(揭阳)」(南海艦隊)
「海警3107」・・・もと「588 泉州」(東海艦隊)

・広東省総隊

「海警21610」・・・もと「596 恵州(惠州)」(南海艦隊)
「海警21611」・・・もと「597 欽州(钦州)」(南海艦隊)
「海警21615」・・・もと「509 淮安」(東海艦隊)
「海警21616」・・・もと「582 蚌埠」(東海艦隊)

・直属第4局(文昌(海南))

「海警4103」・・・もと「590 威海」(北海艦隊)
「海警4104」・・・もと「591 撫順(抚顺)」(北海艦隊)
「海警4105」・・・もと「512 菏沢(菏泽)」(東海艦隊)
「海警4106」・・・もと「595 潮州」(南海艦隊)
「海警4107」・・・もと「584 梅州」(南海艦隊)
「海警4108」・・・もと「585 百色」(南海艦隊)
「海警4109」・・・もと「592 瀘州(泸州)」(南海艦隊)
「海警4110」・・・もと「589 清遠(清远)」(南海艦隊)

・直属第5局(三亜(海南))

なし。

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今回、直属第1局(上海)の「海警1108」(もと「511 保定」艦(東部戦区海軍))が尖閣沖に現れたわけだが・・・、想像力をすこし大きく拡げて考えてみた。🙂

もしかしたら、前々回のグループ4隻のうち「海警2201」(もと海警31239(もと海軍の「539 安慶(安庆)」艦))(上海)が、海上保安庁第11管区海上保安本部からの発表では”機関砲らしきもの”を搭載している船としてカウントされていなかったことと「関係がある」、という仮説はどうだろうか?🤔

上海に配備されているあの”もとジャンウェイI型”3隻に、退役や移管が計画されているなど、なにかが起こっているのかもしれない。

 

【中国海警局】海警2201 が機関砲4基を撤去? それともまた船名が変更? - pelicanmemo

 

【中国海警局】 船名・船舶番号、変更(2019年7月〜)。| 「海警6501」は直属第六局所属の5000トン級。 - pelicanmemo

 

056型コルベット「保定 (511)」艦

20211224061614(中国新闻網より)

保定舰、菏泽舰加入海军战斗序列-新华网 (中国海軍、就役命名式典)(2016年12月12日)

056型コルベット - Wikipedia

 

 

軍艦改修の中国・海警船を初確認 尖閣諸島の接続水域で|NHK 沖縄県のニュース

第11管区海上保安本部によりますと、1日午前7時ごろ、尖閣諸島の沖合の接続水域を航行していた中国海警局の船4隻と入れ代わるように別の海警局の船4隻が接続水域に入ったのが確認されました。

4隻のうち砲のようなものを搭載している「海警1108」は、尖閣諸島の沖合で初めて確認されたということです。

海上保安庁の関係者によりますと、この船は中国海軍の小型フリゲートから改修された船とみられることが関係者への取材で分かりました。

今回、海上保安本部が公表した「海警1108」の写真と防衛省が発表している中国海軍のジャンダオ級小型フリゲートの写真を比べると同じ形をした船だと確認できます。

中国海軍の艦艇から改修された中国海警局の船が尖閣諸島の沖合を航行しているのが確認されたのは今回が初めてです。

 

尖閣周辺に軍艦転用船 交代で入域、96日連続航行 | 八重山日報

第十一管区海上保安本部によると、石垣市の尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域を航行していた中国海警局の艦船「海警2301」「海警2502」「海警2102」と機関砲らしきものを搭載した「海警2204」の4隻は、1日午前7時ごろ、新たに接続水域に入った他の4隻と交代した。
 新たに接続水域に入ったのは「海警1302」「海警1102」「海警1103」と機関砲らしきものを搭載した「海警1108」。中国艦船が尖閣周辺で航行するのは96日連続となった。
 海保によると「海警1108」が尖閣周辺の接続水域に入域したのは初めて。海軍艦を転用したとみられ、機関砲はこれまで確認された中で最大の76㍉砲という。
 現場に配備された巡視船が、領海に侵入しないよう警告している。