(中国海警 微博より)
中国海警局(人民武装警察部隊 海警総隊)の新しい局長、郁忠少将の初お披露目はベトナムのハノイで開催された南シナ海周辺国の海上保安機関の国際交流プログラムだった。
前の王仲才局長(少将(当時)、現在は海軍中将)は、2018年12月に局長に就任(らしい)と報道された後は国内での活動についての発表や報道が主で、2019年の北太平洋海上保安フォーラムサミットやベトナムやフィリピンのコースト・ガードとの局長級会談などに参加していても外国への露出は多くはなかった。もっとも2020年からは新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響が大きかっただろう。
(初代局長の孟宏偉(孟宏伟)のときの事はもはや蛇足とも思うのでブログ記事末尾に記載した)
今回の関連ニュースでは、郁忠局長(武警少将)が海軍出身というところばかりが注目されているけれども、局長に就任してからいちばん最初に顔を出してきたのが国際的な舞台だというところが興味深い。
南シナ海の周辺各国の沿岸警備隊との相互の連絡や協力をすすめることで、南シナ海で予期せぬ事態が発生しても軍事的な緊張へと拡大しにくいよう、沿岸警備隊の活動というバッファを広くして「グレイゾーン」がさらにブラックな方へ濃くならないよう意図しているのかもしれない。
沿岸警備隊の活動では、漁業活動や海洋資源探査、密輸や不法出入国の対策、海難救助などなど、周辺の国との関係が重要となるところが多い。その一方で中共中国では、尖閣諸島や日本漁船へのハラスメントはもとより南シナ海のいわゆる”九段線”と海洋権益の維護の主張、国際法を無視や軽視した対応など周辺国との軋轢となるところも多い。台湾有事も危惧される。
局長が変わったからといって中国海警局の対応がいきなり変わるわけでは無し、北京の中央の思惑次第で厳しくしていくことはあっても穏健な方向に大きく舵をきることは期待はできない。例によってアメとムチを使ってサラミを削ってくるだろう。
【中国海警局】 武警・海警部隊の新たな司令に、海軍出身の少将が就任。ベトナム海上警察と会合。 - pelicanmemo (2022-12-10)
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今回、中国海警局の局長ら一行が参加したのは、ベトナム海上警察(沿岸警備隊)(Cảnh sát biển Việt Nam)(*)が主催する周辺国の海上保安組織間の交流プログラム「ベトナム海上警察と友人たち(Cảnh sát biển Việt Nam và những người bạn, 越南海警与朋友们)」。
参加したのはカンボジア、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの6カ国とベトナムという南シナ海の沿岸の国々。「東南アジア海上保安機関長官級会合」といった名称ではなく、「ベトナム海上警察と友人たち」というベトナムを軸とした交流プログラムというのが興味深い。国防部とも連携をして盛り上げている。
ベトナム海上警察(沿岸警備隊)は参加した各国の海上保安組織との間で二国間会合を行っている。
中国海警局も12月7日午前のベトナム海上警察(VCG)との会合を皮切りに、8日午後にタイ海事司令センター(Thai-MECC)、9日にカンボジア国家海上保安委員会(NCMS)、インドネシア海上保安機構(BAKAMLA)、フィリピン沿岸警備隊(PCG)と二国間協議を行った。
マレーシア海事法執行機関 (MMEA)との会合は無かった。開催前の発表ではマレーシア海事法執行機関 (MMEA)が参加とされていたけれども、結局、ベトナム駐在のマレーシア大使館の国防武官ほかが参加したと報道されている。12月10日のファン・ヴァン・ザン国防大臣への表敬訪問の時にもマレーシアの代表はいなかったのでMMEAの代表は不参加だっただろう。
ベトナムとマレーシアの関係が悪いわけではないし海事分野での協力の覚書(MOU)も交わしている。今回なぜ参加しなかったのかは不明で、マレーシアの発表や国内メディアでの関連する報道も見かけていない。続報を待ちたい。
(ファン・ヴァン・ザン国防大臣(中央)への表敬訪問)(中国海警 微博より)
顔を出すといえば、会合での各国の参加者らマスクの有る無しがちょっとおもしろい。😆
主催のベトナム海上警察の代表団は、全ての参加国の代表団との会合と集合写真で全員がマスクを付けていない。中国以外の参加国の代表団も(全部は確認していないけれども)基本的にマスクを付けていない。
中国海警局の郁忠局長と代表団も、ベトナムとの会合では双方とも全員がマスクを付けていなかった。カンボジアとインドネシアとフィリピンとの会合では、代表者(郁忠局長と先方の代表)以外は双方ともみんなマスクを付けていた。そしてタイとの会合では郁忠局長も含めて双方とも全員がマスクを付けている写真が公開されている。
さらに集合写真ではどの国も全員がマスクを付けていないのに、タイと中国だけは集合写真でも全員がマスクを付けている。いったい何が起こっていたんだ?😦
(中国海警 微博より)
たとえば次の写真はインドネシアと中国の集合写真。双方とも全員がマスクをつけていない。
(中国海警 微博より)
参加組織と代表は次の通り。代表の氏名(英文表記)はベトナムや中国の発表と報道を参考にした。
カンボジア国家海上保安委員会(NCMS (National Committee for Maritime Security), គណៈកម្មាធិការជាតិសន្តិសុខលម្ហសមុទ្រ):Kruoch Kimthon副委員長(中将)
中国海警局(CCG (China Coast Guard)):郁忠(ユー・ゾン(Yu Zhong))局長(少将)
インドネシア海上保安機構(BAKAMLA (Badan Keamanan Laut Republik Indonesia), Indonesian Maritime Security Agency):Aan Kurnia長官(中将)
マレーシア海事法執行機関 (MMEA (Malaysia Maritime Enforcement Agency), APMM(Agensi Penguatkuasaan Maritim Malaysia)):不参加。ベトナム駐在のマレーシア大使館国防武官Ahmad Jais Bin Tasliman大佐が参加した。
フィリピン沿岸警備隊(PCG (Philippines Coast Guard)):Rolando Lizor Punzalan Jr. 副提督(中将)
タイ海事司令センター(Thai-MECC (Thailand Maritime Enforcement Coordinating Center), ศูนย์อำนวยการรักษาผลประโยชน์ของชาติทางทะเล):Khwanchai Inwong次官補(中将)
ベトナム海上警察(VCG (Vietnam Coast Guard), Cảnh sát biển Việt Nam):Lê Quang Đạo司令官(少将)
それはともかく・・・、
誰だろう、この白い上着と黒い蝶ネクタイの人は?🤔
最終日にテレビやラジオでも放送されたベトナム国防部主催のプログラム「交流の夜」。各国の沿岸警備隊の代表者から話を聞くコーナーがあり、音楽やダンス・パフォーマンスがあるから空気を読めないタレントが紛れ込んだのか?と思ったよ。😅
(中国海警 微博より)
向かって右からマレーシア、フィリピン、カンボジア、ベトナム、中国の順番で、左端はタイの代表だ。・・・ということでインドネシアなわけだけどAan Kurnia長官ではないので代表団の他のひと。
白い上着には肩章ほかがあるしボトムスも黄色い二本線がある、正規のドレスコードに沿ったものだろう。もしかして黒い蝶ネクタイも???😅
この人は「交流の夜」プログラムで国防大臣から各国の代表者に対して花束が渡されたところでも受け取っているし、ファン・ヴァン・ザン国防大臣への表敬訪問の時にもいる(上にのせたインドネシアの写真2枚を見てみて)。
ただ、ちょっと場違い感が…😅
拡大をしてみると、とてもいい笑顔😁をしているんですよね。
となりの中国海警局の郁忠局長が仏頂面😐なので、そこがまた面白い。
最後に、インドネシアにおいしいとこ全部もってかれた気分 😆
HOẠT ĐỘNG CẢNH SÁT BIỂN >> CẢNH SÁT BIỂN VIỆT NAM VÀ NHỮNG NGƯỜI BẠN - Cảnh sát biển Việt Nam
Thắm tình hữu nghị Chương trình giao lưu “Cảnh sát biển Việt Nam và những người bạn”
Vietnam Coast Guard holds bilateral exchange with Cambodia - Khmer Times
កងឆ្មាំសមុទ្រវៀតណាមជួបពិភាក្សាទ្វេភាគីជាមួយគណៈកម្មាធិការជាតិសន្តិសុខលម្ហសមុទ្រកម្ពុជា
Bakamla RI dan China Coast Guard Bahas Kerjasama – Amanat Riau
Bakamla RI dan China Coast Guard Bahas Kerjasama - Abadikini.com
そして完全に付け足しになってしまった、すっかり過去の人。
中国海警局が人民武装警察部隊に編入される前の孟宏偉(孟宏伟)局長(初代)は、外国どころか国内での露出も多くはなかった。北京を訪問した外国の沿岸警備隊の局長との会談などはあったけれども、外国への訪問はもっぱら陳毅德(陈毅德)(チェン・イダ) 副局長や王洪光(ワン・ホングアン)副局長が出張していた。公安部副部長と兼任していたし、2017年からは国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)の総裁に就任して兼任していたので忙しかったこともあったのだろう。
OB慰問の時にしか顔を出さないとネタにしていたものだ(もちろんそんなことはない)。
インターポール(国際刑事警察機構)の新総裁に中国公安部の孟宏偉副部長 中国海警局局長、国家海洋局副局長など兼任 - pelicanmemo (2016-11-11)
もと中国海警局局長(初代)、孟宏偉、2億円超の収賄認める | ひと目で分かる中国 - pelicanmemo (2019-06-21)