pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

中国、7000m級有人深海潜水艇「蛟竜」号 南大西洋中央海嶺の熱水噴出域で調査

20240213201923新华网より)

中国の7000m級有人深海潜水艇「蛟竜」号と科学調査支援母船「深海一号」は、1月下旬から南大西洋(注:南太平洋ではない)の深海熱水噴出域での海洋生物・環境調査を行っている。

中国大洋事務管理局(中国大洋事务管理局)(*1)によると、2月7日までに「蛟竜」号は8回の潜水調査を行った。今次の海洋調査(中国大洋83航次)では46回の潜水調査が予定されている。(*1) 中国大洋鉱産資源研究発展協会(中国大洋矿产资源研究开发协会, China Ocean Mineral Resources R & D Association (COMRA))

中国大洋83航次预计“蛟龙号”下潜46潜次-新华网 (2024-02-10)

 

あまり日本語では知られていないが、中国は西南インド洋海嶺(SWIR)や南大西洋中央海嶺(SMAR(South Mid-Atlantic Ridge))で深海熱水噴出域の調査をよく行っている。

大西洋の北半球側の北大西洋中央海嶺(NMAR(North Mid-Atlantic Ridge))では、1970年代から米国やフランス、ロシアなどによる調査が行われてきた。その一方で、南半球側の深海熱水域の調査は多くはなかった。2009年、中国の海洋調査船「大洋一号」による調査航海(中国大洋21航次)で南大西洋中央海嶺(SMAR)で最初の熱水噴出域を発見、その後の調査で11ヶ所(*2)が発見されている。(*2)自然資源部第一海洋研究所による
2017年には「向陽紅01(向阳红01)」がパワーグラブを使って全長2m、直径50cmのチムニーの大きなサンプルなどを引き揚げている。

“向阳红01”船在南大西洋获取海底热液“烟囱体”-新华网 (2017-10-27)

 

中国の有人深海潜水艇「蛟竜」号、沈没の危機だった | 観察窓に、約400℃の熱水があわや直撃 - pelicanmemo (2019-05-19)

深海 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

Ads by Google

 


続きを読む

国家海洋局の新しい局長に孫書賢 |もと中央外事工作委員会弁公室副主任

20240212172825

中国の自然資源部の公式サイトが今年(2024年)1月29日に更新され、中国共産党の中央外事工作委員会弁公室(中央外弁(中央外办))の副主任だった孫書賢(孙书贤)が、自然資源部の党組成員、副部長ならびに国家海洋局の局長となったことが公表された。

部领导 - 自然资源部
自然资源部部长、副部长、纪检组长等领导简历

20240212172829

 

「国家海洋局は無くなったんじゃないのか?」という声もあるかもしれない。

 

国家海洋局(SOA(State Oceanic Administration))は国土資源部が管理する国家局だったが、2018年3月の中国共産党と国務院による「深化党和国家机构改革方案(中国共産党と国務院の深化、改革法案)」(以下、"改革法案")によって、自然資源部に統合され廃止された

実際には、自然資源部は対外的に国家海洋局の名称を使用すると定められていた(自然资源部对外保留国家海洋局牌子)。2018年3月当時に国家海洋局局長だった王宏は、自然資源部にうつったあとの肩書きが「自然資源部 党組成員、国家海洋局 局長」だった。

 

それでも、行政組織としての職責、管轄と権限をもつ国家海洋局は消滅し、対外的な名称(ブランド(牌子))として国家海洋局が残されてもじきに使われなくなるものと思っていたんだけど・・・、
王宏は2020年に自然資源部副部長となり、公式の肩書きは昨年(2023年)になっても「自然資源部副部長、国家海洋局局長」(自然资源部副部长、国家海洋局局长王宏)が使われている。

そして今回、孫書賢(孙书贤)が自然資源部の副部長、国家海洋局の局長となったことが公表された。

 

王宏(1963年5月生まれ)が60才の定年を迎えたことによる交代人事だと思うが、海事関係の専門家である孫書賢(孙书贤)が中国共産党の中央外事工作委員会弁公室(中央外弁)へ異動し、5年を経てふたたび国家海洋局で局長に就いたところは興味深い。

国連海洋法条約 (UNCLOS)や、大陸棚限界委員会 (CLCS)の勧告などへの影響、中国の思惑や動きが気になるところだ。

頭の片隅に置いておいて、アンテナを向けていても損にはならないだろう。

 

海事 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

Ads by Google

 


続きを読む

デレッキの語源に関する一考察

正月に段ボール箱の整理をしていたら古いCD-Rが発掘され、たわいもないテキスト.txtの中にデレッキの語源について学生時代に調べたメモがあった。

実は小さい頃はテツで、とくに蒸気機関車が好きだった。その後、テツ分は増えていかなかったけれども、運転室で罐焚きに使われる火かき棒「デレッキ」が気になっていて、県立図書館で北海道の図書館等の資料を取り寄せたりインターネット検索(当時)で公式サイトや個人のサイト(当時)などを調べてメモしていたもの。

懐かしく思い、今回改めて調べてみたところ、国立国会図書館などのデジタル・アーカイブの公開資料が増えていて補足できるところもあった。現在(2024年初頭)にインターネットやSNSで調べたものと合わせてまとめてみたい。

20240204212110(Google画像検索より)

 

公文書の資料を参照していますが、画像の使用(WEB掲載など)には申請が必要なため画像転載はあまりありません。

ちょっと長いので😅、長文を読むのが大丈夫で、お時間のあるかた向けです。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「デレッキ」は’北海道方言といわれています。
テレビ番組やネット・SNSで、数年ごとに話題になるよう。近ごろでは、秋田のご当地ヒーロー 超神ネイガー@neiger_akita さんのツイート と返信とで東北地方(東北北部?)では火ばさみ(火鋏、トング、ゴミばさみ)を「デレッキ」と呼ぶと話題になっていました。

 

このブログ記事では「デレッキ」または「デレツキ」とは、特に注釈がない限り、蒸気機関車の罐焚きで使われていた「先の曲がった火かき棒」を示しています。また、石炭ストーブの焚口の扉を開閉したり、燃料の石炭や薪を動かしたり、火格子(ロステル、ロストル)をゆするなど灰や燃え滓を下の灰箱(アクカキ、アク(灰)受け)に落す用途にも使われている。
現在でも、炭や薪を燃料とするストーブや暖炉の道具、火室がある燃焼装置の施設での専門用語として残っています。

先の曲がった火かき棒「デレッキ」の語源には、オランダ語の鈎や引掛棒を示すdregが由来という説、デリック・クレーン(derrick)説,英語の火かき棒the rake説 、お雇い外国人のデリックさん説などを見かけました。
これら諸説についての考察もあとの方で書いてみたい。

 

ーーーーーーーーーーーー

長くなるので、まず結論です。

当ブログ管理人の結論は、英語のthe rake説が近い。
19世紀の米国の南部訛り「de rake」が由来。北海道開拓使に雇われ官営幌内鉄道の建設に関わった米国人お雇い外国人が話した言葉がもとで、原語の音をもとにメモられて現場の専門用語として日本語化されたのが由来と思う。

蒸気機関車の運転室で、日本人技術者らに対して、実際の運転方法や登坂や下りなど地形に合わせた操作方法、機関士の給炭の仕方やタイミングなど経験と技術を伝授するときに、米国人お雇い外国人は身振り手振りや英語でしゃべったでしょう。通訳がいても、専門用語を簡略な日本語に訳すのは難しいものです。

先の曲がった火かき棒の使い方を「火かき棒をつかって・・・」と説明するときに、訛った英語で「… use de rake」と話すと、それを日本人技術者・通訳らが音をひろって「”でれいき”をつかって」「”でれき”をつかって」とおぼえたのではないだろうか。

北海道の初期の鉄道建設では、米国の鉄道技師ジョセフ・ユーリー・クロフォード(Crawford, Joseph U.)が有名ですが、「デレッキ」の由来となったお雇い外国人は彼が推薦して開拓使に雇われた鉄道技術者でしょう。機械技師ハロウェイ(Holloway, Henry C.)の可能性があり、むしろ機械技師補助兼運転手マキューン(McCune, William H.)の方が蓋然性が高いと考えています。

 

次に、なぜ「デレッキ」が明治から大正・昭和にかけて、ストーブなどで使われる先の曲がった火かき棒の名称として一般化していったのか?について。

 

Ads by Google

 


続きを読む

共同通信「尖閣諸島で「戦争恐れず」 中国軍中将、異例の言及」記事、鳳凰網が検証「捏造」と

20231212220024(共同通信のX(Twitter)ポストより)

共同通信は12月9日、中国の軍事委員会の元副院長、何雷中将が共同通信の単独インタビューに応じ沖縄県石垣市の尖閣諸島をめぐって「戦争を望まないが恐れない」と明言したと伝えた。

47NEWSはじめ地方メディア、多くのネットポータル・ニュースで転載されたので記事を目にした人は多いだろう。日本語ネットSNSでは「中国軍中将」がトレンドになり、かなり批判的なコメントをいくつも目にした(誰かのツイートを取り上げはしないが)。

一気に炎上したあとに沈静化したようにも感じられるが、熾き火のように奥の方でくすぶっているだろう。

尖閣諸島で「戦争恐れず」 中国軍中将、異例の言及 | 共同通信 (2023/12/09)

 

この共同通信の記事について、鳳凰網(*)が当の何雷中将に取材をし、検証記事「关于收复钓鱼岛,何雷将军回应火爆日本,不过这是日媒捏造的(钓鱼岛奪還に関して、何雷将軍の対応は日本を怒らせたが、それは日本のメディアによって捏造されたものだ)」で報じた。

关于收复钓鱼岛,何雷将军回应火爆日本,不过这是日媒捏造的 - 凤凰网 (2023年12月12日)

 

鳳凰網の記事の作者は、何雷中将に記事内容の確認をもとめ、その回答から共同通信の記事には4つのおかしな点があると指摘している。

まず(1つ目)、「まず最初に、日本のメディアは事実を捏造しました(首先,日媒捏造事实)」からはじまる。

(*)香港を拠点とするPhenixTV系ポータル・サイト。凤凰新媒体(凤凰网)(ifeng.com)の国際ニュース解説チャンネル「鳳凰大参考(凤凰大参考)(来自北京市)」が報じた。

 

当ブログ管理人から一言、この鳳凰網の検証記事もまた、中国側の情報工作のひとつかもしれない可能性にご留意ください。炎上ネタにさらに燃料を与えて、読者を混乱させてぐちゃぐちゃにして正常な判断を阻害するのも社会を分断する戦術のひとつです。

以下、鳳凰網の記事が共同通信の記事内容を紹介している部分は、共同通信の記事の原文の方から引用をして二重引用符(“”)で囲い下線付きフォントにしています。
鳳凰網の記事の抄訳では、例えば何雷将軍や何将军と呼んでいるところは何雷中将と書くなど、少し調整をしています。記事の内容を丸ごと日本語訳やそのまま紹介ではなく、当ブログ記事の構成に合わせて順序を変えています(そのように記載した)。
記事内容を紹介するために、中国側の一方的な主張を書く場合もありますが、それらは当ブログ管理人の意見では無いところにご注意ください。赤字強調は当ブログ管理人によるもので、原文の同じ文も一緒に赤字強調としました。

 

20231212220016凤凰网より)

 

Ads by Google

 


続きを読む

【中国海警局】 報道官発表の変化 海上保安庁による法執行活動の権利も否定

20231211194914(中国海警局 公式サイトより)

12月9日10時50分ごろ、尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の艦船2隻が相次いで侵入した。

魚釣島周辺の領海では、仲間均石垣市議の漁船「鶴丸」(9.1㌧・3人乗組み)が操業しており、海上保安庁の巡視船が漁船に近づかせないよう進路規制を実施して安全を確保した。中国海警局の船2隻は10日正午ごろに領海を出た。

八重山日報の12月10日付け記事によると、日本の領海に侵入した中国海警局の船2隻は「海警2502」と「海警2301」で、接続水域では「海警2302」と、機関砲を搭載した「海警2202」が航行していた。

尖閣沖 中国海警局の船2隻相次いで領海侵入 海保が警告続ける | NHK | 尖閣 (2023年12月9日)

沖縄 尖閣沖 領海侵入の中国海警局の船2隻 いずれも領海出る | NHK | 尖閣 (2023年12月10日)

 

これに関連して中国海警局の甘羽報道官は12月9日、日本の漁船「鶴丸」と数隻の(海上保安庁の)巡視船が中国の钓鱼岛領海に不法に侵入した云々、取締り措置を講じた、退去警告を行ったといういつもの一方的な主張を繰り返した。

日本メディアの記事では、日本漁船に対して「退去するよう警告したと発表した」というところを特に取り上げているものが多いが、その表現を使った発表は今回から始まったことではない。

中国海警局、尖閣周辺で“日本の漁船などが領海侵入し退去するよう警告”と発表(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース

 

甘羽報道官による発表は基本はコピペで同じような文言だ。それでも表現が少し強くなってきている。今回(12月9日)は「日本側はとやかく言う権利はない。(日方无权说三道四)」が出てきた。

この「无权说三道四(とやかく言う権利はない)」は台湾海峡問題に関する記者会見でよく中国側が使っている。内政干渉だ口出しするな、ということだ。

尖閣諸島に関してもさらに踏み込んできて、日本の海上保安庁による法執行活動の権利も公式発表で否定してきた。

中国海警依法驱离日非法进入我钓鱼岛领海船只 - 海警要闻 - 中国海警 (2023-12-10)

中国海警局 釣魚島領海侵入の日本船に退去警告 - CRI 中国国際広播電台 (2023-12-10)

 

日本メディアではTBS NEWS DIG がとくにタイトルに使って報じている。

中国海警局は日本の漁船と数隻の巡視船が、9日に沖縄県・尖閣諸島の周辺を航行したことに対し、「中国の領海に不法に侵入した」と主張し、「必要な取り締まり措置を取り警告を発した」と明らかにしました。

そのうえで、「中国の管轄海域で海洋権益の保護と法執行活動を行っており、日本側がとやかく言う権利はない」と強調しました。

中国海警局 尖閣周辺で日本の漁船に警告 「日本がとやかく言う権利ない」 | TBS NEWS DIG (1ページ)

 

 

【中国海警局】 尖閣沖の日本の領海での、海上保安庁の巡視船に対する法執行活動をはじめて発表 - pelicanmemo (2023-10-18)

【中国海警局】 尖閣沖の日本の領海での法執行活動を公式発表 日本漁船を名指し - pelicanmemo (2023-07-17)

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

Ads by Google

 


続きを読む