pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 尖閣諸島の領海で日本漁船2隻が操業(3月28日~30日)、中国側の公式発表なし。

20240402200816(中国海警 微博(2024-04-02 にスナップショット画像を取得)より。3月25日の投稿の次は4月2日)

海上保安庁 第十一管区海上保安本部によると、3月28日午前2時半ごろから3時前にかけて沖縄県石垣市の尖閣諸島の南小島と魚釣島の沖合で、中国海警局に所属する「海警1301」と「海警1302」が、日本の漁船2隻の動きにそれぞれあわせるように相次いで日本の領海に侵入した。海上保安庁の巡視船が中国海警局の船に対して領海からの退去を要求するとともに、進路規制を実施して日本漁船の安全を確保した。

八重山日報によると3月28日午後3時時点で、日本漁船2隻(6・6㌧、4・9㌧、いずれも2人乗組み)が操業していた。中国ネットSNSの分析によると、日本漁船2隻は「第八泰生丸」と「ZENKOUMARU Ⅱ」(中国語SNSでは「善幸丸 II」と表記)のようだ。

「海警1301」と「海警1302」は57時間以上にわたって尖閣沖の領海内を航行したあと、日本漁船が領海から出たのに合わせるように30日正午ごろ、それぞれ南小島沖と魚釣島沖で領海を出た。

中国船2隻が領海侵入 今年5日目、日本漁船追跡 | 八重山日報 (2024-03-29)
中国船2隻、領海離れる 3日連続、今年7日目 | 八重山日報 (2024-03-31)

 

中国海警局は海警船が尖閣諸島の領海を航行した時には、一方的に主張している”パトロール”を行ったと公式ウェブサイトや公式SNSで発表をしてきた。昨年(2023年)からは、尖閣諸島の日本の領海で日本の漁船や海洋調査の作業船、さらには海保の巡視船に対して”法執行活動”を行ったという公式発表もはじめていた。

ところが今回は、中国海警局は公式サイトでも公式SNSでも、”パトロール”や”法執行活動”といった一方的な主張どころか公式発表自体を行っていない。公式発表がないので、大手の中国メディアも転載記事で報じていない。(最後に確認したのは4月2日午後8時(日本時間)) これについて少し。

 

海上保安庁 - 尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処

中国海警局 - 海警要闻维权执法

【中国海警局】 尖閣沖の日本の領海での、海上保安庁の巡視船に対する法執行活動をはじめて発表 - pelicanmemo (2023-10-18)

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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20240402194501(中国海警局の公式サイト 海警要闻 ページより)

中国海警局の公式サイトの海警要闻 (海警ニュース)ページを確認したところ、4月2日時点の最新の更新記事は3月15日に実施した台湾の金門島周辺の海域での活動に関するものだった。
维权执法(法執行活動)ページの方の最新の更新記事は3月23日の南シナ海のフィリピンEEZにありフィリピンが実効支配するセカンド・トーマス礁(アユンギン礁、中国語名:仁爱礁)の海域に関する中国海警局報道官の一方的な声明だった。

20240402194505(中国海警局の公式サイト 维权执法ページより)
中国海警局の公式微博(SNS)では公式サイトよりも頻繁に、”パトロール”など公式発表を行ってきている。…にも関わらず、3月25日付けの天津市海警局が行った文化活動に関する投稿記事のつぎは、4月2日付けの中国海警局とカンボジア国家海洋安全委員会が北京で初の実務者会合を開催したことについての投稿記事。今回(3月28日~30日)の領海侵入の事案は投稿されていない。

いずれも4月2日午後8時(日本時間)に再度の確認を行った。

20240402200816

(中国海警 微博(2024-04-02 にスナップショット画像を取得)より)

 

 

中国海警局は、2023年2月に、尖閣諸島沖の日本の領海内で一方的に主張する”法執行活動”を行ったことをはじめて公式発表した(*)。この時は、石垣市が海洋調査活動を行った作業船「新世丸」(997㌧・乗員34人)と日本の領海内で操業をしていた日本漁船4隻に関するものだった。

【中国海警局】 石垣市、尖閣諸島で海洋調査 | 中国海警局は日本船に対する領海での法執行をはじめて公式発表 - pelicanmemo (2023-02-02)

(*)もしかしたら気付かずに勘違いしていた人もいるかもしれない。2023年2月より前は、実は、中国側は事前に予定されたものだろう領海”パトロール”の他は、日本漁船を追尾して領海侵入をしていた時には公式微博や公式サイトでの発表は行っていなかった。

 

同年7月から、日本漁船の船名を名指しして”法執行活動”の一方的な主張の発表をしはじめた。

20230715062032

【中国海警局】 尖閣沖の日本の領海での法執行活動を公式発表 日本漁船を名指し - pelicanmemo (2023-07-17)

 

同年10月からは、日本の領海内で海上保安庁の巡視船に対しても”法執行活動”を実施したと発表。さらに同年12月10日には、中国海警局の甘羽報道官が声明のなかで「日本側はとやかく言う権利はない(日方无权说三道四)。」と述べ、海上保安庁による法執行活動の権利をも公式発表で否定していた。

【中国海警局】 尖閣沖の日本の領海での、海上保安庁の巡視船に対する法執行活動をはじめて発表 - pelicanmemo (2023-10-18)

【中国海警局】 報道官発表の変化 海上保安庁による法執行活動の権利も否定 - pelicanmemo (2023-12-11)

 

2023年から中国海警局は、尖閣沖での緊張を高め続けるような発表を、とにかく一方的に続けていたわけだ。その間、海上保安庁の側から、尖閣沖での緊張を高めるような発表は行ってはいない。(海保で、近頃もっとも話題となった広報というと例のAIイラストという(以下略😅、X(Twitter)ポストの埋め込みも省略)

今回の事案で中国海警局は、うってかわって沈黙している。公式サイトでも公式SNSでも領海での”パトロール”や”法執行活動”を行ったという一方的な主張どころか、公式発表すら行っていない。

 

南シナ海の方で、フィリピンの沿岸警備隊や公船や漁船へのハラスメントと攻撃(放水等)と対応で忙しく、尖閣に関して日本に向けた罵詈雑言を忘れているのだろうか?

フィリピンが行っている「積極的な透明性キャンペーン」戦術、国内外のメディアの記者とカメラを巡視船に乗船させて中国がグレイ・ゾーン領域で行っている振る舞いと国際法違反の行動を顕わにしていく対応に対して、中国側は相当にあたまにきているだろう。

「南シナ海は海洋安保の最前線」 海保出向・米沢夏希一等書記官インタビュー - 海上保安庁から出向している米沢夏希一等書記官にPCGの南シナ海問題への対応や日本の協力のありかたについて話を聞いた|「日刊まにら新聞」ウェブ (2024.3.19)

フィリピン沿岸警備隊、ジャーナリストが中国海警局の船をバックに自撮り、現地の状況を報道 - 南シナ海 - pelicanmemo (2023-09-13)

 

それとも中国側は日本に対して、少し軟化した対応を見せているのかもしれない?(管理人注:見せているだけ)
今年(2024年)、日本で第24回北太平洋海上保安フォーラム(NPCGF)が開催される。9月には長官級会合(サミット)の開催が予定されている。
2月6日の領海侵入の事案までは中国海警局の公式サイトと公式SNSの両方で発表をしていたが、3月4日〜8日に東京で行われたNPCGFの実務者による専門家会合をはさんで、その次の領海侵入の事案だった3月20日の時は、微博など公式SNSで発表はしても公式サイトには載せられていない。
東京で行われたNPCGF専門家会合の開催について、中国海警局がめずらしく公式SNSで発表していたものだ。

【中国海警局】 第24回北太平洋海上保安フォーラム専門家会合、東京で開催 めずらしく中国海警が公式発表 - pelicanmemo

 

あるいはもしかしたら、4月から広報の担当者が交代してて、単に、前の担当者が3月末の引き継ぎ前の最後の仕事をバックレたうえ、後任への連絡もうまくやってなかったりかも?w
一応、領海侵入の事案が発生(3月28日)してからこのブログ記事を公開するまで5日ほど、週明けまで待ってみたんですけどね😅

昨年(2023年)12月には、中国海警局の公式サイト(www.ccg.gov.cn)のSSL証明書が期限切れとなってしまい、日曜日にも関わらず大急ぎでSSL証明書の認証局を変更していたこともあったなー😆

【中国海警局】 公式サイト(www.ccg.gov.cn)、SSL証明書が期限切れ(追記あり) - pelicanmemo (2023-12-10)

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

 

付け足しとなったが今回、領海外側の接続水域では「海警1401」と機関砲を搭載した「海警1103」が航行していた。

八重山日報によると「海警1401」と「海警1103」は3月30日の午後1時過ぎに接続水域を出たと報じている。海上保安庁の発表によると接続水域を航行した中国海警局の船は、3月31日に4隻、4月1日に8隻と記載されている(4月2日にpdfファイルを確認)

中国海警局の船は、4月1日に別の4隻と交代した。「海警1301」「海警1302」「海警1401」と機関砲を搭載した「海警1103」と入れ替わるように確認された4隻は「海警2502」「海警2302」「海警2102」と機関砲を搭載した「海警2202」。

 

「第八泰生丸」のAIS登録情報は「TAISEIMARU NO.8」、 MMSI: 431010847。「ZENKOUMARU Ⅱ」の方は「ZENKOUMARU 2」、MMSI: 431010936。

中国船2隻が領海侵入 今年5日目、日本漁船追跡 | 八重山日報 (2024-03-29)

中国船の領海侵入続く 今年6日目、日本漁船も操業 | 八重山日報 (2024-03-30)

中国船2隻、領海離れる 3日連続、今年7日目 | 八重山日報 (2024-03-31)

沖縄 尖閣諸島沖 中国海警局の船2隻領海侵入 海保が警告続ける | NHK | 尖閣 (2024-03-28)

中国海警局の船2隻が尖閣諸島沖の領海から出る 28日に領海侵入 | NHK | 尖閣 (2024-03-30)

 

#中国海警舰艇编队3月20日在我钓鱼岛领海... 来自中国海警 - 微博 (2024-03-20)(公式サイトでの発表は無い)

中国海警舰艇编队2月6日在我钓鱼岛领海巡航 - 维权执法 - 中国海警 (2024-02-06)

中国海警依法驱离日非法进入我钓鱼岛领海船只 - 维权执法 - 中国海警 (2024-01-27)

中国海警依法驱离日非法进入我钓鱼岛领海船只 - 维权执法 - 中国海警 (2023-12-10)

 

鮮度バツグン!「尖閣アカマチ」水揚げ 石垣市がふるさと納税の返礼品発送へ | 沖縄のニュース|RBC 琉球放送 (2023年11月7日)

尖閣の魚が石垣市のふるさと返礼品に 初水揚げ - やいまニュース | やいまタイム (2023年11月06日)