新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の、PCR検査と数がなにかと話題です。
よく使われるのは、累積のPCR検査数や、累積の感染者数や死者数。
そこで、日本と韓国と、感染者数の増加が著しいイタリアとの、1日あたりのPCR検査数(国の発表)と、1日あたりの陽性率(検査数に対する感染者数の割合)(国の保健衛生当局の発表による、3月11日発表分まで)を比較して、グラフにしてみました。(データのソースは記事末尾に)
解説。😊
イタリア(保健省)のPCR検査数の発表は、1日あたりの検査数は平均3000件だったのを12,000件へと急増させた。検査数が増えた分、陽性確定数も増えています。
しかも、3月以降の、1日あたりの陽性率(陽性確定数÷PCR検査数)は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での陽性率(20%前後)と同じくらいかそれ以上です(下図)。(*1)
陽性確定の80%弱が、イタリア北部のロンバルディア州、エミリア=ロマーニャ州、ヴェネト州(北部9州だと90%弱)であり、イタリア全体の数字を押し上げてしまっている。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の検疫と隔離の対応に対して、欧米メディアが「ペトリ皿(シャーレ)(ウイルスや細胞の培養実験皿)」という表現を使っていました。条件は違いますが、ロンバルディアはじめ北部の陽性率はそれ以上の日が続き、隔離も充分に行われているとは言えず、まずい状態にあります。
人の往来が多い場所や集まりやすい場所は、同時にその場所にいなくても、ウイルス濃度は高いでしょう。物の表面を触った手・指からの接触感染が心配です。
(*1) クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での全数検査の結果は2月26日発表と3月10日分発表の2つを使用した。
(追記 当日:“発表日”は“発症日”から数日から1週間の遅れてピークがきます。ここでは、発症日は考慮していないので、実際の流行のトレンドとは数日のずれがあります。PCR検査に要する時間は6時間くらいなので、検査数が多ければ誤差は減り、日本のように少ない場合は誤差が多くなるでしょう。)
韓国(保険福祉部)からの発表では、3月のPCR検査数は平均12,000件(8,000~16,000件)。統計として良いデータを発表しています。(WHOや各国の衛生当局者からの信頼という根拠もここにある)
陽性率(陽性確定数÷PCR検査数)は平均3.75%(3.0~4.5%)の日が多く、ここ数日、減少傾向に見えます。
大邱市で、新天地イエス教会信徒での大規模な集団感染があったので、信徒に対する集中検査が行われました。その時でも陽性率は最大12%。
新天地大邱教会以外でも、陽性確定が5人以上の集団感染(クラスター)が40件以上(10人以上は20件以上、50人以上のクラスターは6件)発生しています。それでも陽性率はこのくらい。
イタリア北部の状況がどれほどか、比較になります。
韓国では、今後の経過次第ですが、じきに「ピークを越えた」という公式発表がされるのではないでしょうか? 韓国MERSの経験とトラウマがあるので、早々の公式発表は難しくても、4月の総選挙までを考えているのかもしれません。🙄
日本(厚生労働省)からの発表は、PCR検査数が少ないので、韓国やイタリアとの陽性率の比較は難しい。参考値。(チャーター機やクルーズ船の検査数と陽性確定数は除外)
陽性率(陽性確定数÷PCR検査数)は、グラフでは高めに見えてしまいますが、感染が疑われる人と陽性確定者の濃厚接触者に限定した発表で、そもそも感染の可能性が高い人だけを抽出しているので、当然の結果です。
(厚生労働省が、都道府県に対してPCR検査の結果を照会するのは、3月4日より前は感染疑い例への検査だけ、3月4日からは感染疑い例と陽性確定者の濃厚接触者)
よく、日本が、韓国くらいの数のPCR検査を行ったら、感染者数はもっと増えると言われます。
その通りです。 😊
PCR検査数を増やせば、陽性確定数も増えます。そして陽性率(陽性確定数÷PCR検査数)は下がります。普通はこうなります。
イタリアはそうなっていません。
では、もし、日本が韓国くらいの数のPCR検査を行ったら陽性率はどうなるでしょう?
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