（温州市衛生健康委員会より）
中国、湖北省の武漢市で流行し、中国各地への感染拡大が起きている新型コロナウイルス(2019-nCoV)。
1月30日までに、感染者数がもっとも多いのは、湖北省の武漢市で3215人、次いで黄岡市726人、孝感市628人、以下略。湖北省の地級市が、感染者数上位10位以上のほとんどを占めています。
そんな中で、9位~10位に入ってくるのが浙江省の温州市（地級市）で感染者227例。
感染者数100人以上が確認されている市は、中国全国で１８（副省級市(地級市)１（武漢市）、地級市１４、直轄市３）。
浙江省の温州市（地級市）227例は、同省の杭州市（副省級市(地級市)）85例や、広東省の深圳市（地級市）134例や広州市（副省級市(地級市)）112例、さらには直轄市の重慶市211例や北京市139例、上海市135例よりも多いのです。
温州市の衛生健康委員会の発表を調べてみたところ、武漢の居住歴や旅行歴がある感染者はたしかに多い。その一方で、武漢の滞在等が無い、温州市の市内での人から人への感染（ヒトヒト感染）と考えられる感染例が３割〜４割もいました。
（感染者詳細が発表されている209人から集計（1月27日〜1月31日）（最新は、1月31日までの感染者累計241人）（記事公開時点））。
その多くは、新型コロナウイルス感染者や、武漢市から移動してきた人（感染の有無は不明）との接触歴があり、それぞれが別個の感染経路と感じられます。
はっきりしない感染者も10数例あり、その中に百貨店（デパート）の従業員や買い物客の感染者が１１例（1月31日まで）、全体の５％、が公表されていました。
Ads by Google
（温州市衛生健康委員会より）
温州市衛健委が発表しているのは、浙江省最大手のデパートの銀泰百貨店。
（大手老舗百貨店である「銀泰商業集団（インタイム・リテール・グループ）」）
感染ルートが解明されていない以上、銀泰百貨店での感染拡大と断定は出来ません。
しかし、温州市衛生健康委員会があえて店名を公表しており、温州市の感染者の約５％の１１例（~1/31）というのは無視できないところです。
1月29日発表分で６人（5人が鹿城区の住人）、従業員４人と買い物客２人（店舗名不明）。
1月31日発表で２人、世茂店の販売員１人と、温州世貿店での買い物客１人。
2月1日発表で３人、 温州世貿店の、従業員２人と買い物客１人。
（追記修正：銀泰百貨店に、温州市「世茂店」という店舗は見当たらない（原文：无武汉旅居史，为温州银泰世茂店售货员）。「世貿店」を書き間違えたか？🤔）
最初の感染源が、来客なのか？従業員なのか？、温州市内で感染者の3~4割でヒトヒト感染が起きている状況でははっきりしないでしょう。
ただ、同じ浙江省の杭州市で、「とある企業」の会議参加者30人のうち11人が感染と、杭州市副市長が1月30日の記者会見で発表しました。人民网ほかが報道しています。
掲示板やSNSを調べると、どうもコレが「銀泰」らしいのです。
杭州一企业30人开会11人传染 副市长：未来3-7天很重要 - 人民网
大紀元の記事によると、名前を出していない「とある企業」の、武漢市で行われた会議に参加した１人が浙江省に戻り、感染源となった可能性が高そうです。スーパー・スプレッダーの候補と言えるでしょう。
陈卫强在会上披露，杭州有一家企业开了一个会，“30个人里面11个人传染上（武汉肺炎），所以这天（感染人数）特别高”。
他还说，桐庐一个人曾去武汉开会，回来后，与他有直接或间接接触的两个人确诊了。江干区一名出租车司机也被确诊，他曾于1月23日凌晨1:40接送一名武汉人员到萧山机场。
杭州企业30人开会 11人感染武汉肺炎 | 协和医院 | 高官感染 | 大纪元
（赤字強調は管理人による）
銀泰商業集団の公式ウェブサイトによると、中国各地に店舗があり、武漢市にも３店舗（湖北省に７店舗）があります。
・・・いまのところ、温州市でなぜ感染者が多いのかは不明のまま。😅
－－（追記:02/05）－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
第一財経と他の記事で、なぜ武漢市から900kmも離れた温州市で感染者が多いのか、解説がありました。
簡単に書くと、温州商人（中国のユダヤ人という表現もされる）とそのネットワークは、国内ではもっとも湖北省、特に武漢市との繋がりが深いそうです。（湖北省に約1割の20万人、武漢市に18万人）
第一財経によると、武漢で商売をしている温州人は、いつも、春節連休の前には帰郷をするので、各地の駅での体温測定などサーベイランスでの把握は難しかった。
温州商人のネットワークは地元の郷鎮のネットワークが強く、人間関係や縁故を重視するので、春節前後の宴席に参加や、新年にお互いに訪問したりといった活動が盛んだそうです。
中国各地で、家庭内から大きな宴席など、大小の集団での感染例（聚集性病例）が数多く報告されています。
この点でも、市内での2次感染、3次感染、... が多く発生したのでしょう。
さらに、毎日経済新聞によると、武漢市の12月上旬に感染が発生した華南海鮮市場の東棟２階に（感染者が集中したのは西棟1階）、華南メガネ街（华南眼镜城）があって70以上の眼鏡店が集中していた。経営者は温州市や台州市が多かった。
この華南眼鏡市場は1月10日まで商品の搬入出など人の出入りがあったため、その影響の可能性を推測しています。
千里之外的温州，为何成湖北以外疫情最严重的城市 - 第一财经
距武汉近900公里，温州为何成为重疫之城？ - 每经网
－－（追記ここまで）－－－－－－－－－－－－－－－－－－
温州市では、1月31日までの感染者241例中、楽清市（乐清市）69例、瑞安市48例、鹿城区36例、永嘉県（永嘉县）23例、の順番。温州市中心地に近いあたりで多いよう。
1月28日から30日まで、一日あたり50例以上が確認されていましたが、1月31日は14例と少なくなった。一方で、武漢市の居住歴や旅行歴が無い感染者が11例で、大多数となっています。武漢封鎖による流入人数が減少した効果かもしれません。
今後、温州市内でのヒトヒト感染例が増加するのか、それとも減少するのか、推移が注目される地域のひとつ。
そのためにも、各地の衛生健康委員会には、感染者の詳細を含めた発表を続けてほしいものです。
まえにブログ記事で書いた北京市は、湖北省の滞在歴や北京市以外での滞在歴の有無を公表していましたが、その後止めてしまいました。残念。🙄
【新型コロナウイルス】 人から人への感染、北京市の市内でも発生か - pelicanmemo
地級市 - Wikipedia , 副省級市 - Wikipedia , 直轄市 (中華人民共和国) - Wikipedia
