【中国海警局】ロシア国境警備局と海上法執行で関係強化　北極海海上保安機関フォーラムの多国間海上演習はロシアがぼっちで開催

20230429184042 （新華社より）

4月24日〜25日、ロシア西部のムルマンスクで、ロシア連邦保安庁(FSB)国境警備局と中国海警局とのハイレベル会合が開催され、海上での法執行などで協力を強化する覚書を交わした。中国海警局の郁忠局長（武警少将）とロシア国境警備局のウラジーミル・グリゴリエヴィッチ・クリショフ局長（FSB第一副局長、陸軍大将）が覚書に署名をした。

クリショフ局長はこの覚書では、テロとの戦い、不法移民、麻薬や武器密輸、海洋生物資源の違法操業の摘発、海難救助での双方の協力の拡大を規定していると説明した。（Vesti Murman TV）

ロシアと中国との共同演習が近い将来に開催される予定だそうだ。（Zvezda）

中国海警局、ロシアと協力強化｜共同通信

中国海警局和俄罗斯联邦安全总局签署海上执法合作文件 - 央视网(cctv.com)

4月25日にはバレンツ海で、ロシア国境警備局が議長を務めている北極海海上保安機関フォーラム(ACGF)(*1)の多国間海上演習「北極パトロール 2023 (АРКТИЧЕСКИЙ ПАТРУЛЬ 2023)」が開催された。中国海警局がオブザーバーとして招待されたが、事実上ロシアだけの参加で開催された。
(*1)ロシア国境警備局が北極海海上保安機関フォーラム(ACGF)の議長を務めるのは2021年〜2023年。

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北極海海上保安機関フォーラム(Arctic Coast Guard Forum(ACGF))は2015年10月に、カナダ、米国、デンマーク、ノルウェー、ロシアとフィンランド、アイスランド、スウェーデンの北極圏国8カ国によって設立された。ちょうど、日本も参加している北太平洋海上保安フォーラム(North Pacific Coast Guard Forum(NPCGF))の北極海版とも言える。

その活動の一環として多国間海上演習があり、ほんとうは昨年(2022年)2月16日の参加国会合で「北極パトロール 2023」を年内に開催する方向で調整が進められていた。しかし、ロシアによるウクライナ全土への侵略がはじまったため他の7カ国が参加を取りやめた、という経緯がある。

今回、多国間海上演習が開催という発表がされて、そう報じられているが、事実上、ロシアが一国で行ったものだ。

ロシア国境警備局のクリショフ局長は、「ロシア連邦の責任ではなく国際情勢が変化した事実があり、多国間海上演習を実施するために中国海警局の代表がオブザーバーとして招待された」と、例によって「責任はロシアには無い」といった言い訳付きで説明をしている。

多国間という名目をつくるため、中国海警局から武警校官(佐官)がオブザーバーとして観覧したわけだ。

ただ、中国は、「北極政策白書」で自らを北極圏に近い「近北極国家」と位置づけ、北極海を通る航路を「氷上シルクロード」と呼んで「一帯一路」構想と結びつける方針を示している。ロシアと中国の沿岸警備組織間の関係が強化されることで、北極海や”北極航路”での中国の存在感が大きくなると考えられる。

20230426203319 （央视网より）

韓国、釜山で、北太平洋海上保安フォーラム（2018）の多国間訓練｜下関〜釜山の国際フェリーで海上テロ（想定） - pelicanmemo (2018-06-08)

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20230429184054 （ロシア国境警備局より）

4月25日に開催された、北極海海上保安機関フォーラム(ACGF)の多国間海上演習「北極パトロール 2023 (АРКТИЧЕСКИЙ ПАТРУЛЬ 2023)(北极巡航2023)）」は、事実上、ロシア一国の参加で開催された。

演習には、ロシア連邦国家予算機関(ФГБУ(FGBU))の「海難救助サービス (Морспасслужба)」「西部北極海海港管理局(АМП(AMP) Западной Арктики)」、石油ガス会社「ロスネフチ」、ロスアトムの子会社で砕氷船など運用する「アトムフロート (ROSATOMFLOT)」、ロシア非常事態省が参加した。オブザーバーとして中国海警局の武警校官(佐官)などが観覧した。

訓練は、ロシアのノルウェー国境から遠くないバレンツ海中央の海域でクルーズ船「Морская душа（Sea Soul)」から警報が届いたのち通信が途絶したため、ロシア国境警備隊は該船を捜索し、テロ行為を鎮圧して乗組員を救助、それに加えて油流出の事態に対処した、という想定で行われた。

20230426203409 （Zvezdaより）