pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 3000トン級海警船2隻が津軽海峡を通過 北太平洋の公海での漁業パトロールへ、海警法の施行後はじめて

20210802192144新华网より)

7月30日、中国海警局の3000㌧級の船2隻が北太平洋の公海での漁業法執行パトロールのため上海を出港した。東シナ海から対馬海峡、日本海を、8月2日に津軽海峡を通って太平洋へと航行した。

一昨年(2019年)には、わざと(?)、津軽海峡(国際海峡)の領海をかすめて航行したためニュースになっていたが今年は公海に相当する海峡中央部だけを航行したようだ。

 

中国は毎年この時期に、「北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約(北太平洋漁業資源保存条約)」に基づいて漁業法執行に対応できる船2隻を派遣している。中国海警局が成立するより前の農業部漁業局(当時。現在は農業農村部漁業漁政管理局)の頃から毎年7~8月のこの時期に派遣している。
わざと東京オリンピック開催時期に合わせたわけでは無いだろう。

 

例年は、任務が終わって帰港した後に実績が発表されていたが、今年は出港前からの発表と報道となった。今年2月に「海警法」(中华人民共和国海警法)が施行されてから初めての任務だからだろう。発表ではこれまでになく国際法や国際的なイメージを強く意識した書き方となっている。

北太平洋漁業資源保存条約のメンバーとして、中国は海警(海警局の船)を北太平洋の(漁業)法執行パトロールに派遣することで、国際的な義務を積極的に果たし、責任ある大国としての姿を示している。グローバルな海洋ガバナンスに参加して、公海での漁業生産秩序を維護し、海洋資源保護の重要な役割を発揮する。

作为《北太平洋公海渔业资源养护和管理公约》成员国,中国派遣海警赴北太平洋巡航执法,对于积极履行国际义务,展现负责任大国形象,参与全球海洋治理,维护公海渔业生产秩序、保护海洋资源发挥着重要作用。

中国海警赴北太平洋公海开展渔业执法巡航 - 中国海警 微博

中国海警赴北太平洋公海开展渔业执法巡航 - 新华网

2020年: 【中国海警局】 津軽海峡を公船2隻が通航 北太平洋の公海での漁業パトロールか - pelicanmemo (2020-08-25)
2019年: 【中国海警局】北太平洋の公海で漁業パトロール | 7月下旬、津軽海峡で領海を通航した2隻か - pelicanmemo (2019-08-19) 

 

もちろん海上保安庁も実施していて、毎年の海上保安レポートで発表している。

以前は、米国沿岸警備隊(USCG)と中国海警局(CCG)が共同で違法漁業の取締りも行われており、両国からの発表もあった。しかし米中関係の悪化のためか、中国海警局がそれまでの行政組織から武警部隊に隷属となることで軍事色が強まったためか、止めているのかもしれない。

 

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【新型コロナウイルス】 東京五輪、選手の感染者の人数、国・競技など。 来日の飛行機で集団感染か?

20210729190847(東京2020組織委員会より)

新型コロナウイルスの感染拡大が拡がっている中、東京オリンピック2020が行われている。

毎日、「五輪関係者で新たな感染者〜人」とニュースになっているけど、そのうち半分近くが国内在住の業務委託事業所等のスタッフなところはあまり伝えられていないようだ。プレイブック対象ではないだろう。

そりゃ、東京はじめ首都圏で感染者が急増すれば、首都圏での業務委託スタッフの中からも感染者が増えますよ。🙄

 

 

オリンピック組織委員会による7月29日付け公式発表によると陽性確認は193人(7月1日から)

内訳は、選手20人(*1)競技関係者(Games-concerned personnel)61人、メディア(いわゆる五輪プレス)11人、東京2020組織委員会の職員4人、業務委託事業者等のスタッフ95人、ボランティア2人。(*1)7月27日発表で陽性と発表された選手1人(151番)が、間違いだったとして取り消された。

直近3日の検査数は、選手と競技関係者では17,000回前後、その他の関係者では18,000回前後。7月1日からののべ検査回数は約31万回。

COVID-19 Positive Case List

集計してみたところ、選手村に入村した後に陽性が確認されたのは選手と競技関係者(コーチや医師など)だけで、人数は23人(選手11人、競技関係者12人)。他はすべて日本入国時・検疫で確認された。

 

検査で陽性の結果が出た選手20人の国と競技の内訳は以下の通り。(”入国時”と”入村後(選手村入村後)”は検査時)(~2021年7月29日)

南アフリカ:2人(サッカー2)入村後
チェコ:4人(自転車ロード(入国時)、ビーチバレー2入村後、卓球入村後
オランダ:4人(テコンドー(入国時)、ボート入村後、テニス入村後、スケートボード入村後
チリ:1人(テコンドー)(入国時)
米国:1人(ビーチバレー)(入国時)
ドイツ:1人(自転車ロード)(入国時)
国名等未発表:7人。(このうち3人は直近の7/29発表(組織委員会は、各国のオリンピック委員会からの発表と報道を元にして国名と競技を発表している。)

チェコとオランダが4人ずつで特に多い。この2つの国の選手団(来日済み)ではコーチや医師でも陽性が確認されており、来日した時の飛行機の機内での感染拡大が疑われている。それぞれの国のメディアでは大騒ぎとなっている。

 

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マスメディアの報道では、この組織委員会からの発表を元にして「五輪関係者で〜の感染」と報じている。このうち感染者数のほぼ半分を占めている「業務委託事業者等」とは会場輸送や清掃・消毒、広告、資材調達その他いろいろ。(業務委託にどういうものがあるかは、東京五輪2020公式ウェブページの”調達(入札結果一覧)”一覧)

ほぼ全員が国内在住で、普段の社会生活での市中感染の可能性が高い。五輪関連業務で感染した可能性がゼロだとは言わないけれど、業務委託スタッフはプレイブックによる感染予防対策の対象とはならないだろう。選手やコーチたちと同列に考えるのはちょっと無理がある。

警備の警察官などの感染例はこれには含まれていないようだ。

 

東京2020組織委員会の発表にある「競技関係者(Games-concerned personnel)」は、国際オリンピック委員会(IOC)・国際パラリンピック委員会(IPC)関係者、各国のオリパラ委員会(NOC/NPC)関係者、国際競技連盟(IF)、オリパラファミリー、パートナー、オリンピック放送機構(OBS)等、その他と定義されている。外国在住の入国者が多く、「五輪関係者」と聞いて直感的にイメージするあたりに近い。

この「競技関係者(Games-concerned personnel) 」にはコーチや医師など選手村に入村ができる人も含まれている。61人も陽性が確認されている(7/29発表)にも関わらず、どういう立場の人なのか詳しい情報は発表されていない。14日間の検疫期間の”後”に陽性が確認された例もあり、調べていてモヤモヤする。

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中国、鄭州市の長さ4kmのトンネルが5分で冠水、6000人死亡は本当か?国家機密?検証してみた。

20210726060518

中国、河南省の鄭州市で、長さ4kmのトンネルがわずか5分で冠水し、6000人が死亡という話題がネット・SNSで話題だ。深夜にトレーラーが遺体を運び出している動画とか、死者数は国家機密とも伝えられている。

これについて検証してみた。

記事冒頭の乗用車が積み重なっている場所は、鄭州市の「京広北路トンネル(京广北路隧道)」南側出口。

 

まず「4kmのトンネルが冠水して6000人死亡」という人数はあり得るのかどうか考えてみよう。

「京広北路トンネル」は南北に走るバイパス道にあり、上下3車線ずつ(計6車線)。乗用車1台の全長を5m、渋滞して停止している時の車間距離を1.5mとする。4000mの道路なら1車線あたり615台があったことになる。6車線なので3692台。乗用車1台あたり平均2人とすると7384人となる。

これはトンネルの端から端までぎっしりと渋滞していたと仮定した理論的な最大値だ。出入り口近く車からは生き延びられたと考えると、6000人となる可能性はゼロではない。

中国当局は200数十両が被災したと発表したが、信じない人は信じないだろう。 🙂

 

しかしこの「京広北路トンネル」は全長1835mで、トンネル部分が1360m、前後のスロープ(斜路)が475m。長さ4km (4000m)ではない。

ただ...中国メディアの報道の数字であり、矮小化されている可能性もゼロではない(笑)。地図で確認してみた。
「京広北路トンネル(京广北路隧道)」は、鄭州駅の周辺の渋滞緩和と駅前広場のため建設されたバイパス道で、トンネル部分(含むスロープ)は2kmより短い。

 20210726123757(百度地図)

20210726060847(GoogleMap)

京広路には、京広北路隧道(京广中路隧道)の他に京広中路隧道(京广中路隧道)と京広南路隧道(京广南路隧道)のトンネルがあって合わせて4.3kmなので「長さ4kmのトンネル」と勘違いをしたのかもしれない。

鄭州市は北側の標高が低く南側は高い。他の2つのトンネルでの車両被害は報道されていないようだ。

 

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【新型コロナウイルス】デルタ変異株、豪州で「すれ違い感染」? → マスクをしていなかったのでは? 🙄

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の、インド型変異株(デルタ、カッパ、等)の感染力が強いと話題です。とくにデルタ変異株の感染しやすさは、国内での感染者の研究結果から従来型のウイルスと比べて1.78倍になる可能性があると、6月9日の厚生労働省の専門家会議で示されました。

デルタ変異株(B.1.617.2)は感染に気付きにくく、感染拡大をしやすい特徴を持っている、これまで以上に警戒しなければならない変異株です。日本でもアルファ(英国型)からデルタへと置き換わっていきます。特にワクチンが未接種の年齢層で感染率が高くなるでしょう。

 

ただ・・・、「感染力が強い」ばかりが独り歩きしていて過剰に煽るような表現も見かけます。

オーストラリアではその傾向が強いようで、「すれ違っただけで感染 (transmission through 'fleeting contact')」や「麻疹(はしか)のような感染力(Now that's in a kind of measles level of infectiousness)」と衛生当局者が口にしている。

コレにはかなり強い違和感を感じています。

日本でオーストラリア発の「デルタ変異株は、すれ違っただけで感染!」と紹介した記事を読むと、「もう買い物に行けない!😰」「電車やバスに乗れない!😰」や「マスクをしていても感染してしまうの?😱」と不安に感じてしまいそうなんですが・・・

それらのシドニーでデルタ変異株に感染した人たちって、マスクをしていなかったんじゃないでしょうか。感染予防の基本をやっていなかった。🙄

 

デルタ変異株は、従来株やアルファ変異株で起きる味覚障害や嗅覚障害の症状は出にくく、頭痛や鼻水などかるい風邪症状が多いため感染に気付きにくいという英国の研究結果があります。
デルタは感染予防の行動がちゃんと出来ていないと、これまで以上に感染しやすく拡大させやすい変異株です。

デルタ株の症状、頭痛や鼻水など=英研究 新型コロナウイルス - BBCニュース

 

 

そこでオーストラリアの国内でインド型変異株(カッパとデルタ)が話題になる前の、近頃ではない過去ニュース動画をいろいろと見てみました。動画20数本くらい。

結論:オーストラリアでは、店内や街角でマスクをしていない人がとても多かった。

 

たとえば2ヶ月前の今年(2021年)4月のイースター(復活祭)、買い物客でにぎわうシドニー市(NSW州)ピエモンテ地区の魚市場(フィッシュ・マーケット)のニュース映像より。東京でいうと年末の買い物でごった返す築地や豊洲市場みたいなものですね。子供と家族連れで来ている人も多く、とても混雑しています。(肖像権配慮のためモザイク処理をしています。以下同じ)

店員もお客さんもほぼ全員がマスクをつけていません。マスク着用の客は2~3人しか見つけられなかった。

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Record seafood sales expected over Easter long weekend | 7NEWS - YouTube (2021/04/03)

同じイースターのニュース番組から、行列が出来ている街角のベーカリー(2021年4月3日)。ここでもマスクを付けている人はいません。

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次は今年(2021年)5月3日の、メルボルン市(ビクトリア州)のワクチン接種会場で順番を待つ人たち。この画像では半分以上がマスクを付けていません。ニュース動画全体でもマスクをつけていない人を多く見かけます。

20210624063939

Melbourne's mass vaccination centres swamped by over 50s looking for COVID jab | 7NEWS - YouTube (2021/05/03)

このビクトリア州は昨年の冬(7月~10月)に国内としては最も大きい集団感染が起きたので、感染リスクと予防への意識は他地域よりも高いでしょう。

特徴的だったものを紹介しました。そのほかにも、レポーターの後ろを通る人や店から出る人などいろいろと。

 

 

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尖閣諸島をめぐる問題に関する質問主意書、および答弁(第204回国会)【全文テキスト】

第204回国会で行われた「尖閣諸島をめぐる問題に関する質問」について。

衆議院 |第204回国会 質問の一覧

 

衆議院から公開されているのは縦書きpdfファイルだけで、コピー&ペーストしにくく分かりにくい。自分用に質問と答弁をテキスト化してたので載せておく。
(衆議院ウェブサイトではhtml化したテキストは未だ公開されていない(記事公開時点))

ここでは分かりやすいように、質問の項目とそれぞれに対する答弁の個所を繋げて記載した。

質問の提出者は屋良朝博(沖縄3区・衆議院議員(1期)・立憲民主党)。

 

 

日中漁業協定(漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定)の第六条(b)で規定される水域で、中国側による日本漁船に対し、臨検や拿捕などの取締りを行った事案はない(”承知していない”という表現)。

日本側による中国漁船の臨検や拿捕など取締りについても質問してほしかった。

 

尖閣諸島の周辺海域での漁獲量については「特定の海域における年間総漁獲量は把握していない」との答弁だった。

 

マニアックなところでは(笑)、
”二の2”の尖閣諸島の我が国の領海に侵入した中国海警局の船の「領海に侵入した日時」「領海侵入時間」「領海に侵入した公船の隻数」の一覧と、
”二の2”の日中漁業協定(漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定)による、日本側と中国側のそれぞれの漁獲割当量と漁獲量データが興味深い

 

NHKが、質問と答弁の最後の部分だけを報道した。 

沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に繰り返し侵入している中国海警局などの船舶について、政府は「国際法上認められた無害通航にあたらず、全く受け入れられない」とする答弁書を決定しました。

中国公船の尖閣周辺領海侵入“無害通航にあたらず国際法違反” | 尖閣 | NHKニュース

 衆議院|第204回国会 答弁第一八一号|尖閣諸島をめぐる問題に関する質問に対する答弁書

三について
 政府としては、御指摘のような「日数」、「隻数」等を含む船舶の動向を注視しているが、その評価についてお答えすることは差し控えたい。
 中国海警局等に所属する船舶が、尖閣諸島に関する中国独自の主張を繰り返しながら、我が国の領海を航行することは、国際法上認められた無害通航に当たらず、全く受け入れられない。したがって、政府としては、このような航行を防止するために、中国海警局等に所属する船舶が我が国の接続水域を航行していることが確認された時点において、中国政府に対して申入れを行っている。

 

個人的には、その中国海警局等に所属する船舶の動向の「評価について」もう少し知りたかったり(笑)

 

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_s.nsf/html/shitsumon/pdfS/a204181.pdf/$File/a204181.pdf質問(PDF 327KB)

 

質問第一八一号 |尖閣諸島をめぐる問題に関する質問主意書(HTML版)(まだテキスト化されていない(記事公開時点))

 

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b204181.pdf/$File/b204181.pdf答弁(PDF 336KB)

答弁第一八一号(HTML版)(まだテキスト化されていない(記事公開時点))

衆議院 |第204回国会 質問の一覧

屋良朝博 - Wikipedia

 

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