中国、河南省の鄭州市で、長さ4kmのトンネルがわずか5分で冠水し、6000人が死亡という話題がネット・SNSで話題だ。深夜にトレーラーが遺体を運び出している動画とか、死者数は国家機密とも伝えられている。
これについて検証してみた。
記事冒頭の乗用車が積み重なっている場所は、鄭州市の「京広北路トンネル（京广北路隧道）」南側出口。
まず「4kmのトンネルが冠水して6000人死亡」という人数はあり得るのかどうか考えてみよう。
「京広北路トンネル」は南北に走るバイパス道にあり、上下3車線ずつ（計6車線）。乗用車1台の全長を5m、渋滞して停止している時の車間距離を1.5mとする。4000mの道路なら1車線あたり615台があったことになる。6車線なので3692台。乗用車1台あたり平均2人とすると7384人となる。
これはトンネルの端から端までぎっしりと渋滞していたと仮定した理論的な最大値だ。出入り口近く車からは生き延びられたと考えると、6000人となる可能性はゼロではない。
中国当局は200数十両が被災したと発表したが、信じない人は信じないだろう。 🙂
しかしこの「京広北路トンネル」は全長1835mで、トンネル部分が1360m、前後のスロープ（斜路）が475m。長さ4km (4000m)ではない。
ただ...中国メディアの報道の数字であり、矮小化されている可能性もゼロではない(笑)。地図で確認してみた。
「京広北路トンネル（京广北路隧道）」は、鄭州駅の周辺の渋滞緩和と駅前広場のため建設されたバイパス道で、トンネル部分（含むスロープ）は2kmより短い。
（百度地図）
（GoogleMap）
京広路には、京広北路隧道（京广中路隧道）の他に京広中路隧道（京广中路隧道）と京広南路隧道（京广南路隧道）のトンネルがあって合わせて4.3kmなので「長さ4kmのトンネル」と勘違いをしたのかもしれない。
鄭州市は北側の標高が低く南側は高い。他の２つのトンネルでの車両被害は報道されていないようだ。
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「京広北路トンネル」では上下線3車線が端から端までぎっしりと渋滞していたのだろうか？
よく見てみると、乗用車が積み重なっている車線に対して反対車線では車がまったく浮かんでいないことが分かる。
次の画像が分かりやすい。
この北から南への路線（下り車線）で渋滞が起きたのは、その先で同じような冠水があって通れなくなったためと報道されている。反対側の車線ではトンネルの手前で通行止めとなっている。
「京広北路トンネル」では上下6車線すべてが渋滞していたわけではない。
では半分の、北から南への路線（下り車線）ではトンネルの端から端まで渋滞していたのだろうか？
乗用車が積み重なっているのとは反対側の出入り口を見てみると、乗用車1~数台が浮かんでいたくらいだった。端から端まで渋滞ではない。
トンネル内で撮影された動画がネットSNSで拡散している。
次の画像は動画からキャプチャしたもの。
トンネルが左にカーブしているので、この場所は「京広北路トンネル」の南側の出口から100~200mと考えられる。
（○印の地点）
トンネルの奥がどこまで渋滞していたのか確認できる情報はない。
計算してみた。
「京広北路トンネル」はトンネル部分が1360m、前後のスロープ（斜路）が475m。スロープに停車していた車からは逃げ出せるので計算から除外する。先の計算式と同じように、乗用車の全長5m・車間1.5m、車1台に平均2人とする。
仮にトンネルの半分まで渋滞していたとすると出口から680mまで渋滞。1車線あたり105台、3車線で315台、被災者630人となる。
トンネル内に停車していても出口に近い人は逃げられただろう。100mあたり46台・92人なので、出口から300mまでが生存と仮定すると死亡353人となる。
仮にトンネルの出口から３分の１まで渋滞していたとすると出口から453mまで。3車線で209台、被災者418人。同じように出口から300mまで生存と仮定すると死亡65人となる。
実際には冠水しはじめた頃に逃げていた人も多くいた。
トンネルの中で渋滞に巻き込まれていた生存者によると、自分の車の前には約150台、後ろには40~50台が停止していた。水が上がってきたので、まわりの人と助け合って出口へ逃げたと話している。
見た目の派手さに対して被害者（死者）はかなり少ない。
鄭州市都市管理局（郑州市城市管理局）の担当者によると、トンネルの排水とともに車両265台が撤去された。
“我们专业的抢险队员穿着潜水服已经摸过了，有车的地方和车附近的周边，全部摸排完了。”前述负责人告诉澎湃新闻，经排查，经排查，在京广北路隧道中发现两百多辆车，遇难人数正在核实中。“第一批车有265辆车。现在剩余4、5辆。能看到的车，全都进行了摸排。”他说。
深夜に人民解放軍のトレーラーが死体を運び出してるものという動画が拡散している。
この動画が今回のトンネル冠水の現場かどうかははっきりしていない。よくあるフェイク画像の可能性は充分にある。
仮にこの現場で撮影されたものだとしても、被災死者らが乗っていたはずの数千台の車が搬出されている画像や動画は見当たらない。トンネルから運び出すためにフォークリフトなど重機が多数と、のべ1000~2000台ものトラックやトレーラーが必要となるだろう。ひと晩で出来る数量ではない（死者6000人の場合）。
現場では夜になっても沿道の見物人は多く、SNSで情報が拡散されていた。死者6000人の大災害ともなれば、微博など中国ネットではネット検閲が入りそうなものだがそうなっていない。
中国の報道やネットSNSの情報によると、
交通量はあまり多くなかった。北から南への路線では多めだった。
満員の大型バスは被災していない。
午後4時から5時の時間雨量200mmを越える集中豪雨のため、近くの水路があふれて道路に流れ込みトンネルやアンダーパスが冠水してしまった。ダムからの放流が原因とも伝えられている。
今回の水害で市全体の行方不明者130数名と発表されている。
台湾SNSか掲示板が震源地らしい。掲示板やまとめサイトで話題だが、マスメディアではほぼ相手にされていないよう。大手メディアでは台湾の自由時報が紹介していた。
こんなところで。🙂
解放軍全面接手！京廣隧道傳已挖出6000遺體 真相恐成「國家機密」 - 自由時報電子報
中国、鄭州の長さ4kmのトンネルが5分で冠水、6000人死亡か 深夜になると何台ものトレーラーが遺体を運び出す 死者数は国家機密 ※動画、画像あり - アノニマス ポスト
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