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11月29日、中国の習近平 中国共産党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席(*1)が上海市を訪れ、中国海警局（武装警察部隊 海警総隊）の東シナ海を管轄する東海海区の司令部(*2)を視察した。
東海海区司令部の関係者と記念写真を撮影した後、東海海区司令部の業務報告を聞き、海警艦艇編隊の任務の状況を映像で視察した。映像とAIS情報から「海警2901」と「海警1104」は東シナ海ガス田の海域でのパトロール活動を行っていることがわかる。
日本経済新聞の記事では、中国海警局東海海区司令部の紹介として尖閣諸島の周辺海域での活動が書かれているので、うっかり尖閣沖からの映像だと勘違いをしてしまいそうだ。
(*1)日本メディアでは習近平氏の肩書きに国家主席が使われることが多い。正しくは中国共産党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席となる。中国海警局は2018年から党中央と中央軍事委員会が直接に指導する武装警察部隊（武警）に隷属して海警総隊となった（中国海警局(China Coast Guard)の名称は引き続き使用する）ので、国家主席の肩書きだけを伝えるのは片手落ちだろう。肩書きの順番は新華社の記事をもとにした。
（中央電視台より）
習近平氏が中国海警局を視察するのは珍しい。
新華社では、習近平氏が上海の東海海区指揮部に到着して、万雷の拍手をもって歓迎を受けた時の様子を「初冬の上海は、景色がことのほか美しく、爽やかでここちよい。」という表現で始めている。この領域ではいまのところ、緊張感少なめな穏やかな雰囲気を出したいのだろう。
初冬的上海，风景秀丽，清爽宜人。上午10时15分许，习近平来到东海海区指挥部机关，在热烈的掌声中，亲切接见该指挥部有关同志，同大家合影留念。
中国共産党による中国海警への指導を強めるとともに、中国海軍ではない海上法執行機関で準軍事組織の中国海警局を訪問することでグレーゾーン領域での活動を重視する姿勢を示したと考えられる。それに加えて、海上法執行での対外交流と協力を実施し、国際と地域での海洋管理（海洋治理）に積極的に参加して欲しい（要务实开展海上执法对外交流合作，积极参与国际和地区海洋治理）とも述べた。
そのほか習近平がどう指導したかは（長くなるので）書いていません。大手メディアの記事や新華社通信の記事を読んでほしい。末尾に新華社の記事原文をのせた。
このブログ記事では、集合写真と参加した主な将官について書いてみたい。
今回の視察には、中国海警局（武警部隊 海警総隊）の上部組織である武警部隊の司令官と政委（どちらも上将）が参加し、その上の中央軍事委員会から習近平と近い上将と中将が参加した。さらに人民解放軍(*3)東部戦区の司令官と政委（どちらも上将）も参加している。一気通貫の統合作戦指導体制をみせている。
(*3)中央軍事委員会が、中国の武装力量（中国人民解放軍（現役部隊と予備役部隊）、中国人民武装警察部隊（中国海警局を含む）、民兵）を統一・指揮する）
中国海警局からはとくに４人、司令官の郁忠と政治委員の李宋徳（李宋德）、あらたに東海海区指揮部の司令になる（なった？）とみられる王喜武、東海海区指揮部の政治委員？の王权波（王权波）の将官らが参加している。4人の階級はいずれも武警少将。
央視(CCTV)の動画では、万雷の拍手をもって習近平 中共中央総書記、国家主席、中央軍委主席を迎えているときに、習近平の椅子の両側に置かれた最前列の椅子と、習近平のすぐ後ろの二列目に４人分のスペースがあいている場面が写っている。この二列目が中国海警局の将官４人の場所だ。
（中央電視台より）
とくに注目すべきなのは王喜武少将だろう。
公式発表や報道はまだないが、中国海警局 東海海区指揮部の司令になるだろうと言われている。
2014年に、南シナ海のパラセル諸島（中国語：西沙諸島、ベトナム語：ホアンサ(Hoàng Sa)）の沖へ「海洋石油981」石油ガス掘削プラットホームを移動させる際の航行護衛作戦の指揮官だった。当時46才だったそうだ。国家海洋局(当時)で支隊長をつとめていた。
この時は、中国がパラセル諸島沖で「海洋石油981」石油ガス掘削プラットホームによる試掘を強行しようとしたことで、ベトナム側が強く抗議をして実力で阻止をした。パラセル諸島沖でベトナムと中国の海上法執行機関やその他の公船や、両国の漁船船団などによる「文字通りの「海上衝突戦」」があったことをおぼえている人は多いだろう。
【中国海警局】 武警・海警部隊の新たな司令に、海軍出身の少将が就任。ベトナム海上警察と会合。 - pelicanmemo (2022-12-10)
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
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動画はこちらの新華網の記事や、人民網や中国軍網その他で公開されている。
习近平在视察武警海警总队东海海区指挥部时强调 把握海警力量建设运用特点规律 提高海上维权执法能力-新华网
日本メディアのニュースで使われていない「万雷の拍手」は、習近平一強体制の中共中国ぽさを感じさせるニュース映像と思う。
それにしても…、拍手映像を1.5倍速にしたり、拍手の音だけボリューム2倍にしてるんじゃないか？（笑） X(ツイッター）やTikTokなどSNSで流れてる動画を埋め込んで使いたかったけど、「音量注意！！！」なので使い勝手が悪すぎた。
（中央電視台より）
习近平视察武警海警总队东海海区指挥部 - 海警要闻 - 中国海警（公式サイト）
習主席、「海洋権益を断固守る」東シナ海の司令部を視察 - 日本経済新聞
中国海警局を習近平氏が視察、日本の領海侵入など活動活発化の恐れ…王毅外相はベトナム訪問 : 読売新聞
China's Xi tells coast guard to enforce maritime law | Reuters
习近平在视察武警海警总队东海海区指挥部时强调 把握海警力量建设运用特点规律 提高海上维权执法能力-新华网
Xi inspects command office for East China Sea area of China Coast Guard - Global Times
(*2) 本来、「中国海警局の東海海区指揮部」というような組織名のキメラ表記は（、絶対に間違いだ！とは言わんけど）正しくはない。より適切には「中国海警局（武警部隊海警総隊）の東海分局司令部」であり「武警部隊海警総隊（中国海警局）の東海海区指揮部」となる。ただ…、ここは大事なとこなんだけど意識して区別して書いている人は少なそうだしw、いちいちこういった補足説明を書くのがめんどくさいので（苦笑）、ここでも「中国海警局の東海海区指揮部」とか書いています。
会議室の映像では、将官だけでなく2列目、3列目のテーブルの校官（佐官）らも名札といっしょにはっきりと撮影をして放送している。その他大勢の参加者として扱うのではなく名誉となる映像にしたのは、中国海警局（武警部隊・海警総隊）の東海海区司令部を重視しているあらわれではないだろうか。
（中央電視台より）
習近平から見て左側のテーブル１列目に、集合写真での最前列の椅子６人と中国海警局の郁忠司令官と李宋徳政治委員が座っている。
集合写真に、会議場で最前列のテーブルについている将校17人の順番を記してみた。
「左１」は習近平から見て左側のテーブルの１人目を示している。白丸で囲っているのは将官で、白丸が付いていないのは校官（佐官）。
（新華社が報じた集合写真に、ブログ管理人が追記した。）
まず左側１番目に何衛東（何卫东）上将。
中央政治局委員、中央軍委副主席。習近平の信頼が厚い一人。福建閥。
新華社の記事でも「何衛東らが参加した（何卫东等参加活动）」と補足して名前を出している。
（中央電視台より）
以下、習近平派の福建閥（闽江新军）や浙江閥（之江新军）かどうかはwikipedia中文版の「习近平派系」のリストを元にした。
続いて、何衛東上将の左に、
林向陽（林向阳）人民解放軍陸軍上将、東部戦区司令官。中共第二十回中央委員。福建閥。
劉青松（刘青松）人民解放軍海軍上将、東部戦区政治委員。中共第二十回中央委員。海軍の軍服なので分かりやすい。
（中央電視台より）
王春寧（王春宁）上将、武警部隊司令官。中共第二十回中央委員。福建閥。
張紅兵（张红兵）上将、武警部隊政治委員。中共第二十回中央委員。福建閥。
（中央電視台より）
鐘紹軍（钟绍军）人民解放軍中将。中央軍事委員会の弁公庁主任などを兼任。中共第二十回中央委員。浙江閥。
習近平の軍事面での「幕僚長」と呼ばれている。習近平と近いが中将なのでこの席次となる。
（中央電視台より）
そして中国海警局から、
郁忠 武警少将、中国海警局司令官。
李宋徳（李宋德）武警少将。中国海警局政治委員。
余談だが、この郁忠司令官、会議がはじまる最初の拍手のときも椅子に浅く座って背筋もぴんとしていてとても姿勢が良い（次の画像の手前から2人目）。
となりの鐘紹軍がずっと姿勢が悪かったので、余計に姿勢が良く感じられる（苦笑）
これまで幾度かの公式の場のニュースで感じたように、まじめな性格をしていそうだ。
（中央電視台より）
習近平から見て右側のテーブルに変わって、
右側１番目は、王喜武 武警少将。武警・上海市海警総隊。東海海区指揮部の司令になると言われている。眼光がするどそう。
続いて、王权波（王权波）武警少将。順番からして東海海区指揮部の政治委員ではなかろうか。
彼らはそのうちにwikipediaや百度百科で個別の項目が作られるだろう。
（中央電視台より）
さらにその隣に武警上校（校官(佐官)）と続いている。次の将官候補たちの順位によるだろう。
－－（追記:）－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
南シナ海の「猛者」起用 尖閣 中国が退去警告 空域でも日本とせめぎ合い - 琉球新報デジタル (2024/02/04)（北京共同＝福田公則）
戦歴
昨年１１月２９日、上海にある海警局東シナ海海区指揮部会議室に向かう通路。軍最高指導機関、中央軍事委員会のトップを兼ねる習近平国家主席の背後を無表情で歩く海警局幹部の姿があった。
同指揮部司令に就任したとみられる王喜武氏。南シナ海の西沙（英語名パラセル）諸島で２０１４年に中国が石油掘削施設の設置を強行した際、施設の警護任務に当たったとされる。ベトナム公船と衝突を繰り返した「華々しい戦歴」（関係者）を持つ猛者だ。
「領土主権と海洋権益を断固として守らなければならない」。会議室で幹部らにげきを飛ばす習氏に時折視線を向けながら、王氏はメモを取る手を止めなかった。中国人研究者は、王氏は「何があろうと任務を貫く強い意志が上層部に高く評価されている」との見方を示した。
－－（追記ここまで）－－－－－－－－－－－－－－－－－－
今回、武警・上海市海警総隊から王喜武 武警少将が参加したのに、同総隊司令官の陳源（陈源）少将がいなかったところも注目されている。
ここから、上海で急死したリカちゃん（故・李克強氏）は実は毒死で、裏で動いていたのが上海武警部隊の陳源少将だという例の陰謀論がふたたび話題になっている（ﾔﾚﾔﾚ。
習近平の信頼厚い中央軍委副主席の何偉東（何卫东）上将は、陳源（陈源）少将と同じ江蘇省東台市出身の同郷でありこれまでの昇進の後ろ盾だったとも指摘されている。
大紀元などの記事やネットSNSで”失踪”とも書かれているが定かではない。
被爆毒死李克强 武警上海总队司令陈源失踪？ | 近平考察上海 | 武警沪总队司令 | 大纪元
習近平 中国共産党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席は、そのうち中国海警局（武警部隊 海警総隊）の南海海区司令部や北海海区司令部も視察するのかもしれない。そのときには発表や報道があるかもしれない。続報を待ちたい。
习近平视察武警海警总队东海海区指挥部 - 海警要闻 - 中国海警（公式サイト）
习近平在视察武警海警总队东海海区指挥部时强调 把握海警力量建设运用特点规律 提高海上维权执法能力-新华网
Xi inspects command office for East China Sea area of China Coast Guard - Global Times
习近平在视察武警海警总队东海海区指挥部时强调 把握海警力量建设运用特点规律 提高海上维权执法能力 | CCTV「新闻联播」20231201 - YouTube
習主席、「海洋権益を断固守る」東シナ海の司令部を視察 - 日本経済新聞
中国海警局を習近平氏が視察、日本の領海侵入など活動活発化の恐れ…王毅外相はベトナム訪問 : 読売新聞
China's Xi tells coast guard to enforce maritime law | Reuters
【中国海警局】 郁忠局長の初めてのお披露目は、ベトナムでの国際交流プログラム - pelicanmemo (2022-12-14)
【中国海警局】 武警・海警部隊の新たな司令に、海軍出身の少将が就任。ベトナム海上警察と会合。 - pelicanmemo (2022-12-10)
【中国海警局】 局長の王仲才、東海艦隊の司令官に - pelicanmemo (2022-08-06)
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
市司法局和监狱管理局领导“八一”前夕 走访慰问武警上海市总队_监狱戒毒矫正_上海市司法局 (2023-08-02)
习近平视察武警海警总队东海海区指挥部 - 海警要闻 - 中国海警（公式サイト）（2023年12月03日に取得）
2023-12-01 18:40:22
11月29日，中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习近平到武警海警总队东海海区指挥部视察。这是习近平发表重要讲话。新华社记者 李刚 摄
习近平在视察武警海警总队东海海区指挥部时强调把握海警力量建设运用特点规律
提高海上维权执法能力
中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习近平11月29日到武警海警总队东海海区指挥部视察，强调要深入贯彻党的二十大精神，把握海警力量建设运用特点规律，提高海上维权执法能力。初冬的上海，风景秀丽，清爽宜人。上午10时15分许，习近平来到东海海区指挥部机关，在热烈的掌声中，亲切接见该指挥部有关同志，同大家合影留念。
11月29日，中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习近平到武警海警总队东海海区指挥部视察。这是习近平亲切接见东海海区指挥部有关同志，同大家合影留念。新华社记者 李刚 摄随后，习近平听取东海海区指挥部工作汇报，通过视频察看海警舰艇编队执行任务情况。习近平对东海海区指挥部建设和完成任务情况给予肯定。
习近平强调，要有效维权执法，坚决捍卫我国领土主权和海洋权益。要建立健全海上执法协作配合机制，依法严厉打击海上违法犯罪活动，维护我国海洋经济健康发展。要务实开展海上执法对外交流合作，积极参与国际和地区海洋治理。
习近平指出，要立足当前、着眼长远，加强整体谋划和工作统筹，制定好路线图、施工图，扎扎实实提高指挥部建设水平。要抓好相关改革任务落实，推动力量体系优化升级，为指挥部建设创造更好条件。
习近平强调，要全面加强指挥部党的建设，确保政治过硬。第二批主题教育正在深入开展，要力戒形式主义、官僚主义，切实解决实际问题，取得扎实成效。要严格教育管理，狠抓经常性基础性工作落实，确保秩序正规、安全稳定。要高度重视基层建设，锻造坚强战斗堡垒，提高基层自建能力。各级要满腔热忱为基层排忧解难，激发大家干事创业积极性，齐心协力开创指挥部建设新局面。
何卫东等参加活动。
来源：新华社记者：梅常伟
