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韓国、現代自動車のEV「アイオニック5」タクシーの暴走・衝突事故、後付けの軽油ヒーター(ボンネット内) で炎上拡大か

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韓国、現代自動車(ヒョンデ)の電気自動車(EV)「アイオニック5」の火災事故と原因について、解説するブログ記事をいくつか書いて少しは読まれるようになると、なぜか関連情報が自然と集まってくるようだ(苦笑)

今年(2023年)11月に釜山で起きた、「アイオニック5」EVタクシーの暴走と衝突からの火災事故について書かれた日本語記事(YouTubeやブログ記事など)を読むと「衝突3秒で1000度」「衝突からわずか数秒で大炎上」という表現が使われています。

確かに衝突してすぐ、ボンネットから発火して大きく炎上しています。

 

これ、「アイオニック5」EVタクシーのボンネット内に後付けの車内ヒーターがつけられてて、その燃料の「軽油によって火災が拡大した可能性があるそうです。

これについて少し。

 

韓国では、ヒートポンプが付いていない電気自動車(EV)で、電費(燃費)とバッテリーの負荷と劣化を抑えたいオーナーにとって後付けのヒーターの需要があり、とくに韓国で増加しているEV個人タクシーが厳しい冬場の対策として付けているそうだ。

EV「アイオニック5」はボンネットに収納スペースがあるので、そこにドイツ製の燃料ヒーター(*)を後付けで取り付けるキットが韓国で制作・販売されている。
(*)本来は、ガソリンや軽油燃料の自動車向けです。WEBASTO社のウェブサイトではトラックやバス、キャンピングカーでの使用を意識した紹介をしています。電気自動車(EV)での流用については書かれていません。

20231201201153(無始動ヒーター・キット(参考画像)네이버 블로그より)

 

韓国語では「무시동 히터(無始動 ヒーター)」と呼ばれている。

Google検索などで”アイオニック5 無始動 ヒーター”「아이오닉5 무시동 히터」で検索してみると、実際の設置例がたくさん出てきます。

これは、韓国での電気自動車の急加速と衝突、炎上の事故のニュースをたびたび目にしている時に聞けば、ただ「怖い」の一言しかない。

韓国ではタクシーを手配する際に「電気自動車(EV)のタクシーだったらキャンセルをする」ケースが増えていると聞いた。その不安感は当然の反応だろう。

韓国、EVタクシー「アイオニック5」が暴走。時速188kmでブレーキ効かず、衝突防止機能も作動しなかった。 - pelicanmemo (2023-09-29)

現代自動車のEV「アイオニック5」、事故車を解体【動画】 | 正面衝突で、バッテリーが炎上した場合と炎上しなかった場合。 - pelicanmemo (2023-09-27)

 

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네이버 블로그の画像に、ブログ管理人が日本語解説をつけた)

車体右側のボンネット内に、ウォッシャー液(青色の蓋で黒色タンク)、一般冷却液(クーラント)(ピンク色の液体)と高電圧バッテリー専用冷却液(青色の液体)の3つのタンクが設置されている。冷却液(クーラント)の原液は可燃性なので、普通は水道水や精製水で希釈するものだが、現代自動車ではEVバッテリー専用冷却液(青色の液体)は希釈せず使用するようだ。
(コナEVの自動車火災が多かった時期は、一般冷却液(クーラント)(緑色)が触媒となって連鎖的に炎上するケースもあったと聞く。新しいモデルでは対策は立てられていると思いたいが、どう対策されたのかその後の安全性の検証など韓国語でも情報が少ない。)

 

現代自動車(ヒョンデ)の電気自動車(EV)「アイオニック5」のボンネットの中、ガソリン燃料の乗用車などでエンジンがあるところは収納スペースとなっている。

20231201201145네이버 블로그より)

そこに、ドイツWEBASTO社製のヒーターAir Top 2000 STCと燃料タンクとポンプなどを設置するというものだ。

(注意繰り返しますが、このWEBASTO社製のヒーターはガソリンや軽油を燃料とする自動車向けで、自動車の燃料タンクからホースを分岐させて使用するものです。WEBASTO社のウェブサイトではトラックやバス、キャンピングカーなど大型車での使用例が紹介されています。電気自動車(EV)での流用、しかも軽油タンクをつける方法などは書かれていません。)

 

韓国では、とくに冬の寒さで電気自動車(EV)のバッテリーの負荷を減らして痛めないという目的のため、わざわざ軽油タンクを積んでヒーターの燃料にするという改造が行われている。

今回、釜山で炎上したEV「アイオニック5」が積んでいた後付けの燃料ヒーターが、この記事でとりあげた製品と同じかどうかは分からない。もし似たものを後付けでつけていたなら、建物に衝突してすぐに炎上したのも、建物に延焼したのも当然だったと言えるだろう。

夏場も衝突・炎上事故は起きているので「全てこれが原因だ!」とか短絡的には言えないし、誰も言っていないそうだけど、韓国の冬場のEVタクシーの衝突・炎上事故の中にはこういう原因の可能性があることを頭の隅に置いておいてもよさそうだ。

 

(追記・投稿翌日:ドイツ製なのでドイツ語圏でも同じ使われ方をしているかもしれないと気付き、あちらの掲示板などを調べてみた。EVでの長時間の駐車や車中泊のときにバッテリー電力を節約するため、灯油やバイオエタノールを燃料とする補助ヒーター(standheizung)の使用が議論されていた。 韓国での電気自動車(EV)「アイオニック5EV」の後付けキットのようなものは見当たらなかった。)

 

韓国では、新たなタクシー登録の4割が電気自動車(EV)と拡大している。コストを重視する個人タクシーのオーナーは、EVの車体価格は高いけれども行政からのEV補助金があり、ガソリン車の燃費よりも充電費用(電費(燃費))が安いのでEVが選ばれているそうだ。さらに冬期にバッテリーの電力を使ってヒーターを動かすのではなく、航続距離を伸ばし充電費用(電費(燃費))を下げバッテリーの負担と劣化を抑えるために、こういうEV向けの後付け軽油燃料ヒーター・キットの需要が生まれている。

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아이오닉5 전기차 개인택시 독일정품 베바스토 무시동히터 장착시공 : 네이버 블로그(アイオニック5 電気自動車 個人タクシー ドイツ 純正 WEBASTO 無始動ヒーター 装備施工:ネイバーブログ

自動車整備工場での、燃料ヒーターのキットを取り付けてる動画。

아이오닉5 무시동히터장착/겨울에 히터끄지마세요/@세차하기좋은날/대형차세차/TruckWash/Carwash/X-KOTE/truckdetailing - YouTube

아이오닉5 전기차 택시 베바스토 무시동 히터 시공 (부산 부경모터스) - YouTube

 

 

例の急加速の問題が大きくて、衝突〜炎上の事故がすぐに減るイメージがもてない。

韓国で起きた電気自動車(EV)火災では消火まで2時間かかるケースが多かったのに、この釜山でおきた暴走〜衝突〜火災事故は鎮火まで50分と短かったところが気になっていた。ボンネット内の後付けヒーター用軽油の炎上があったが、バッテリー・パックへの衝撃と熱暴走は起こらなかったのかもしれない。

前の解体ブログ記事でこの話題は終わったと思っていたら、ヤバい情報が次々とやってくる、それが韓国(苦笑)

現代自動車のEV「アイオニック5」、事故車を解体【動画】 | 正面衝突で、バッテリーが炎上した場合と炎上しなかった場合。 - pelicanmemo (2023-09-27)

 

Standheizung – Wikipedia