【#尖閣情勢】第11管区海上保安本部によると中国・海警局の#海警35115のは28日6時、久場島北北西接続水域出域。#海警31241は7時、久場島北西接続水域入域。#海警2502・31241の2隻は9時、魚釣島北西29kmを南西向け航行中。 pic.twitter.com/YT0bLUIFRh
— 【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」 (@nose_anpo) June 28, 2019
6月28日〜29日に、G20大阪サミット2019が開催された。前日の6月27日、はじめて来日した中国の習近平国家主席と安倍総理との間で、日中首脳会談が行われた。
その翌日に、6月28日午前6時半頃に、尖閣諸島の接続水域に1隻の中国海警局の公船が入れ替わるように入り、2隻が航行している。
入れ替わりで確認されたのは、もと海軍フリゲートの「海警31241」。これについてすこし。
昨年(2018年)、中国海警局が、党の中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊(武警)に隷属することが発表され、7月1日から武警海警総隊(中国海警局)となった。
「海警31241」は、上海市海警総隊機動支隊に所属する、もと中国海軍の 053H2G 型ミサイル・フリゲート。2015年に同型の他2隻とともに退役し、100mm機関砲やミサイル発射装置など重武装を降ろして改装され、中国海警局に編入された。37mm連装機関砲を4基装備している。
来歴や、乗員や指揮系統は、再編以前から、他の艦艇よりも海軍に近い。
第11管区海上保安本部によりますと、沖縄県の尖閣諸島の沖合で日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行していた中国海警局の船2隻のうち1隻は28日午前6時半ごろに接続水域から出ましたが、入れ代わるように別の1隻が接続水域に入ったのが確認されました。
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(同型鑑の「海警31239」、もと「539 安慶( 安庆)」鑑)
(時事ドットコムと海军360より引用)(赤丸、赤矢印は管理人による)(注:「539 安慶( 安庆)」艦の画像は、比較の為に左右反転させている)
G20や日中首脳会談の開催中に、中国海警局の公船2隻が、日本の尖閣諸島の接続水域を航行していた。これについて、中国の「軍による独走」というコメントをネット・SNSで見かけたが、そうではないと思う。
海警31241の運用が、どのレベルの指揮によるものか、どのレベルまで知らされていたのかが重要だ。
日中首脳会談やG20(金融・世界経済に関する首脳会合)の最中の、中国の第二海軍とまで言われる中国海警局の、もと海軍フリゲートの武装鑑の行動を、党の中央軍事委員会(中軍委)が把握していないとは考えられないし、中軍委の首席である習近平が知らされていないとは思えない。
もしも、中軍委の習近平首席が知らされていなかったなら、その方が大きな問題となる。
G20と日中首脳会談や米中首脳会談では、緊張緩和の姿勢が予想されていた。
一つ目は、中国国内向けに、特に人民解放軍と軍属向けに、習近平国家首席が安易な妥協や軟化をしたのではなく、強い姿勢を維持していると示す必要があったのではないだろうか。
外交とは、右手で握手を交わしながら、左手には後ろ手にナイフを持って隠しているようなものと言われる。
定常化してしまった4隻ではなく、2隻に減らしてみせたところに、対外的な配慮が感じられる。しかし2隻の活動は維持しつつ、さらに1隻を海軍色が強い31241に交代させたことで、国内向けに強い姿勢を示していると感じられた。
二つ目は、武警海警総隊(中国海警局)となって、ちょうど1年であり、存在感と影響力をアピールする目的があったのかもしれない。
5月になってから、武警海警総隊(中国海警局)の、渤海や黄海を管轄する北海海区と、南シナ海を管轄する南海海区の指揮部の司令官に、海軍の上級大佐などの着任が報道されている。(東海海区も同様の人事が行われているだろう)
武警に隷属してから1年、王仲才少将が武警海警総隊(中国海警局)の司令となり、指揮命令系統の人事が進められてきたのだろう。
中国の「サラミ戦術」「サラミ・スライス戦略」からすると、海軍の独走はむしろ逆効果となる。
それでも今回、これまでの規制事実を積み重ねるだけの戦術よりも、少し厚く削り取ってきた。
しかし、万トン級「海警2901」や、すでに上海や浙江などに配備されている818型や718B型海警船ではなく、過去に尖閣沖で確認された前例のある、もと海軍フリゲート「海警31241」が差し向けられてきた。
シェフが変わってから、サラミをもう何mm厚く削り取れば美味しくなるのか、調整が行われたように感じられる。
6月27日午後7時36分から約60分間、日中首脳会談が開催された。
6月28日午前6時半頃に、海警31241が、入れ替わりで、尖閣諸島の接続水域に入域した。
日中首脳会談が終了してから、海警31241が接続水域に入域するまでに、約10時間かかっている。
中国海警局の公船は、尖閣沖に来る前に、浙江省温州市沖の錨地で待機することが多い。そこを出発してから尖閣沖で確認されるまでに、約9時間かかる。
海警31241も、その錨地で待機していて、日中首脳会談が終わった後に、会談の結果をみてからゴーサインが出たのかもしれない。
あるいは、海警31241の母港は上海市なので、日中首脳会談が始められる前からすでに動いていて、近海で活動したのかもしれない。
どちらにせよ、もと海軍フリゲート「海警31241」への交代は、事前に予定されていた。
日本側は、日中首脳会談の直後であり、習近平国家首席の来春の国賓招請など日中関係の「7年越しの修復」を演出していた手前、対抗策を強めるのはすぐには難しそうだ。
粛々と、警備体制の強化を行っていくのだろう。
(追記:海警31241は、6月28日午前7時頃に接続水域に入り、海警2502と2隻で航行して、7月2日午前7時に2隻とも接続水域を出た(入れ替わるように別の4隻が接続水域に入った)。G20と日中首脳会談があった期間の、4日間だけだった)
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