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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 孟宏偉局長、インドネシア海上安全保障局の長官とはじめての会談

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11月24日、インドネシア海上安全保障局(BAKAMLA(Badan Keamanan Laut)RI(*)のArie Soedewo中将が、中国の北京で、中国海警局の孟宏偉局長とはじめての会談を行った。(海上安全保障局(BAKAMLA)は実質的に、インドネシアの沿岸警備隊、コーストガードとなるだろう組織。)

 

8月の、ベトナム沿岸警備隊のグエン・クアン・ダム(Nguyen Quang Dam、阮光淡)司令官との会談に続く、大きな動きと考えられる。

【中国海警局】 孟宏偉局長、ベトナム沿岸警備隊の司令官と第一回会談 - pelicanmemo(2016-09-02)
【中国海警局】 「海警46305」 ベトナムを公式訪問 南シナ海の周辺国への訪問ははじめて - pelicanmemo(2016-11-12)

 

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中国とインドネシアの間では、南シナ海の南西部、インドネシアのリアウ諸島州のナトゥナ諸島の沖での緊張が高まってきている。両国間に領有権争いはないが、中国は、インドネシアの排他的経済水域(EEZ)を含む南シナ海の大部分を、「九段線」という国際法を無視して一方的に決めた境界線を根拠として中国の管轄海域だと主張し、また行動している。

インドネシアの海軍軍艦や海洋水産省の公船が、違法操業を行っていた中国漁船を摘発や拿捕したところ、中国海警局の公船が妨害したり中国漁船を奪い返すという事件が起こってきた。

インドネシアは、南シナ海の領有権争いには中立的な態度を示してきていたが、中国の海洋権益の覇権的拡大に対して、ジョコ・ウィドド "ジョコウィ" 大統領はナトゥナ諸島を同国の大統領としてはじめて訪問し主権と海洋権益を守るよう指示をした。10月にはインドネシア空軍が、過去最大規模の軍事演習を実施している。

【中国海警局】 インドネシア漁業水産省が中国漁船を拿捕(EEZで違法操業)、中国海警局が奪取(九段線の内側だから) 2013年にも - pelicanmemo(2016-03-23)

 

中国海警局の孟宏偉局長とインドネシア海上安全保障局(BAKAMLA)のArie Soedewo中将の会談では、両国の海上法執行組織の間の、開かれた対話による今後の協力について意見交換を行った。

海上での安全など共通の利益に関わる問題に対処する時の、協力関係の強化の重要性を表明。ハイレベル会談、人材育成の拡大や、訓練、公船の訪問、能力構築でも合意した。海上での犯罪に適切かつ効果的に対応するため、お互いの信頼関係を強化する。

特に、ナトゥナ諸島の周辺海域での問題に関連して、大きな事件や衝突するような事態に発展させないためだろう。

共同訓練や情報交換も検討されているようだ。

Badan Keamanan Laut RI(インドネシア海上安全保障局(BAKAMLA))

中国海警局和印尼海上安全机构在京举行首次工作会晤--法治--人民网
中国、印尼海上执法机构举行首次工作会晤-新华网

Bakamla RI Jajaki Latihan Bersama dengan Cina | Republika Online

Badan Keamanan Laut Tiongkok-RI Gelar Pertemuan Perdana - china radio international
Badan Keamanan Laut China dan Indonesia Bahas Laut Tiongkok Selatan - Tribunnews
Kepala Bakamla dan Kepala Coast Guard China Bahas Keamanan Kawasan - Poskota

 

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インドネシアでは長らく、海軍力と海洋警備能力の強化が必要と言われてきたにも関わらず(*)、遅々として進まなかった。しかし、ジョコ・ウィドド(Ir. H. Joko Widodo)"ジョコウィ" 大統領の海洋国家構想、いわゆる「海洋軸ドクトリン」によって大きく舵をきった。

日本のニュースでは、漁業分野での、スシ・プジアストゥティ(Susi Pudjiastuti)海洋水産大臣による、違法操業で拿捕した外国漁船を爆破して外国メディアにも広く公開するなど、大胆かつ強硬な対応とパフォーマンスをイメージする人も多い事だろう。

Jokowi launches maritime doctrine to the world - The Jakarta Post

Why illegal fishing is becoming a national security issue - Politico

 

それでもまだ、海上警備に関わる組織は、海軍、国家警察海上警察局、運輸省海運総局、海洋水産省、税関管理局などなど、そして海上安全保障局(BAKAMLA)と権限や手続きが分散し重複している。外国からの支援もあるが、予算も人員も船数も多くはない。

これから海軍と、海上法執行組織の主体となることが期待される海上安全保障局(BAKAMLA)が、どう組織化され他組織と調整されて効率的に活動できる体制になっていくのか、あるいはならないのか、注目が集まっている。

今回の、中国海警局(CCG)とインドネシア海上安全保障局(BAKAMLA)との会談と合意は、どう影響していくだろうか?

インドネシア「海洋開発で日本と協力」 海事調整相に聞く :日本経済新聞(2016/10/29)
南シナ海巡り、 米豪と急接近するインドネシアの思惑 | ニューズウィーク日本版(2016年11月4日)

 

インドネシアなど後進国では、違法操業の外国漁船に対して、海軍の軍艦による海上警備活動と摘発や拿捕がよく行われている。そのニュースを見聞きしたのか「日本も海上自衛隊の護衛艦を出せ」をいう無邪気なメントも見かけている。

これはその国の、海上法執行組織の海上警備力が弱いためで、結果として、海軍の軍艦と他国の沿岸警備隊の公船が対峙する(戦車とパトカーが対峙している)という危険な状況も生み出している。

どのように非軍事・脱軍事化を進めていくのか、各国の対応が期待される。

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インドネシア海軍、アルゼンチンがICPOを通して国際手配した中国漁船を拿捕 いずれ爆破される可能性も - pelicanmemo(2016-04-25)

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