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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

中国、国家海洋局の 10m型 海洋ブイとは | 3000トン級 海洋ブイ作業船「向陽紅22」進水

20181005055937(国家海洋局より)(このタイプか?)

沖縄県の尖閣諸島周辺の、日本の排他的経済水域(EEZ)内に、中国がブイを設置したとNHKほかが報道した。

海上保安庁によると、ブイが設置されたのは尖閣諸島から北西約80kmの海域。ブイは黄色で、高さ、直径とも約10m。「国家海洋局」と書かれ、アンテナが取り付けられている。日本のEEZ内で、中国の大型ブイが確認、発表されたのは2016年以来だそうだ。

尖閣諸島周辺にブイ設置 中国側に抗議 官房長官 - NHKニュース 
日本のEEZ内で中国の新たなブイ 軍事目的でも収集か - 産経ニュース
中国が尖閣諸島付近にブイ設置 日本政府が抗議 - 朝日新聞デジタル

 

中国の、直径と高さが10mの黄色い海洋ブイというと、自然資源部(国家海洋局)や中国科学院、ほかが使用している 10m型錨泊式大型海洋ブイかもしれない。(以下、今回のニュースは、このタイプだとして話を進めていきます)

 

海洋ブイには設置型と漂泊型がある。中国の標準的な海洋ブイシステムのうち、錨で設置するタイプ(錨泊式)には10m型、6m型と3m型がある(中国科学院海洋研究所は、新たに15m型三点錨泊大型智能海洋ブイの研究開発をしている)
10m型大型海洋ブイは鋼鉄製で、一点錨泊式。尖塔の上にGPSと、気温・気圧・風速・風向、等、各種の海洋気象観測のためのセンサーを搭載でき、係留ワイヤにも水深ごとに、水温、塩分濃度、濁度、等のセンサーを設置できる。海洋気象科学や、台風等の災害の予報で活用され、南シナ海では津波予報警戒システムでも使用されている(東シナ海には同レベルの津波予警システムは未だ無いようだ)

軍事目的での専用ブイや、間借りしてのセンサー設置、あるいはデータの軍事利用があっても不思議はないと思うが、そういう発表や報道はされないだろう。

近年のトピックスは、東シナ海で炎上・沈没したパナマ籍のイランのタンカー「Sanchi」号の事故の際に、臨時で、沿岸海域に、海洋と大気の汚染調査のため設置されていた。 

 

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20181005055939(国家海洋局より)

9月29日、中国のはじめての大型海洋ブイ作業船である3000m級「向陽紅22(向阳红22)」が、武漢の造船所で進水した。同型船「向陽紅31(向阳红31)」も建造中。2019年3月〜4月に正式に引き渡される予定だ。
「向陽紅22」は、東シナ海を管轄する自然資源部(国家海洋局)東海分局に、「向陽紅31」は南シナ海を管轄する同・南海分局に配備される。(*)

 

船尾の巨大なA型クレーンが目をひく。

これまで、大型海洋ブイを設置する時には、現場海域まで、作業船がワイヤーで牽引していく方法をとらざるをえなかった(小型ブイは作業船に積載)

 

20181005055944(国家海洋局より)

 

「向陽紅22」「向陽紅31」のA型クレーンは、内径が高さ22.9m・幅14.5m、吊能力75トン(750KN)。50トンの大型海洋ブイの設置や揚収が可能となる。

正式配備された後は、中国の海洋観測システムの大型ブイの設置・揚収、運用、定期メンテナンスなどの作業効率が格段に高くなるだろう。

 

「向陽紅22」「向陽紅31」は全長89m、型幅18m、型深7.2m。最高速度16ノット。航続距離10000海里、60日。定員60人。無段階の電力推進システムで、自動船位保持DP2級。6000mワイヤー用のウインチを装備する。

20181005055943(国家海洋局より)

(*) 2018年3月に発表された、党・国務院の深化機構改革で、国土資源部、国家海洋局、国家測量地理情報局、いくつかの組織の職責を統合し、自然資源部が新設された。自然資源部は、国家海洋局の名称も用いる。   

我国首批3000吨级新型专业海洋浮标作业船建成下水 - 国家海洋局南海分局

我国首艘大型浮标作业船“向阳红22”下水 将提升海洋观测水平-新华网

[湖北新闻]我国首艘大型浮标船“向阳红22”在武船集团下水 - 央视网

“向阳红22”在武船下水 -  长江日报

我国首艘大型浮标船“向阳红22”在武船集团下水 - 光明网

东海预报中心成功完成“桑吉”轮碰撞及沉船事故附近海域监测浮标紧急布放工作 - 国家海洋局东海预报中心

三锚式浮标综合观测平台完成主体建造并顺利下水 - 中国科学院海洋研究所 

「中国が日本EEZ内にブイ」 実際は中国側 | GoHoo (2013年2月23日) 

我が国周辺海域における海洋調査船の活動状況|海上保安庁