防衛省 海上自衛隊 は9月27日、小笠原諸島の東方沖の海域にて中国の海洋調査船で発生した緊急患者1人を、海上保安庁からの救助及び輸送の災害派遣要請を受けて飛行艇US-2を派遣し、無事救助したことを公式X(Twitter)で明らかにした。
報道によると、中国の海洋調査船は「向陽紅19(向阳红19)」。9月26日午前10時頃に、同船から海上保安庁へ「乗組員が左手の人差し指を半分切断した」と通報があり、海保から海自へ救助が要請された。ロープの巻き取り機に手が巻き込まれ、指を切断するけがを負ったという。
現場の海域は小笠原諸島・父島の北東約900km。海自は海保からの災害派遣要請を受けて、第71航空隊(山口県岩国市)所属の飛行艇US-2を派遣した。
防衛省 統合幕僚幹部から、飛行艇US-2による救助活動の様子の映像が公開されている。
#第71航空隊(岩国)は、小笠原東方沖における中国の海洋調査船での緊急患者発生に際して、#海上保安庁 から救助及び輸送の#災害派遣 要請を受け9月27日、#海上自衛隊 US-2が乗組員1名を無事に救助しました。#海自 は常に #精強 #誠実 さをもって、任務を遂行してまいります。#人命救助 #US2 pic.twitter.com/cjSSJPeKZi
— 防衛省 海上自衛隊 (@JMSDF_PAO) 2024年9月27日
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中国の海洋調査船「向陽紅19」は、時期的に、西太平洋で海水等のサンプル採取など海洋科学調査を行っていたと考えられる。8月7日~8月25日に、福島第一原子力発電所で第4回目のALPS処理水の海洋放出が行われた。
その作業中に何か不具合があったのか、「向陽紅19」乗組員の男性は不用意にロープに接触して手袋が巻き取られ、ウインチで左手人さし指を切断してしまったのかもしれない。
「向陽紅19」が航行していた海域は、海溝や海膨、海山など特徴的な海底地形があるところでは無い。CTDを使った海水サンプル採取が行われただろうし、水産物のサンプル採取もあったのかもしれない。
これまでにも西太平洋では、中国のほかの海洋調査船によってALPS処理水と関連した海水等のサンプル採取が行われている。これからも行われるだろう。
(SHIPINFOより)
「向陽紅19」は、前の所属と船名は中国海警局の「海警2350」で、その前は国家海洋局 中国海監総隊 東海分局の旗船「海監50」だった船だ。海洋調査船として建造された船や軍の音響測定艦などと違って、特別な設備はもっていない(はず)。
中国では昔から船名に「向陽紅」が使われる海洋調査船は多い(組織や任務の違いで別の船名もある)。
【中国海警局】 もと3000トン級海警船、海洋調査船へ転換 「海測3301(もと海警3383)」「向陽紅19(もと海警2350)」 - pelicanmemo (2016-12-27)
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海洋調査船「向陽紅19(向阳红19)」は、今年(2024年)7月17日に、西太平洋での80日間の海洋科学調査のため上海を出航した。
“向阳红19”轮启航西太平洋,开启80天海洋科考之旅 - 中国水运网 (2024-07-18)
X(Twitter)の300🇯🇵 @300zx_ さんのポストによると、9月3日に大隅海峡を通って太平洋から東シナ海に入り、9月8日には対馬海峡付近にいた。9月11日には津軽海峡を通って太平洋に入ったことが確認されている。
東京電力「処理水ポータルサイト(处理水门户网站 , TREATED WATER PORTAL SITE)」によると、第4回目のALPS処理水の海洋放出は8月7日から8月25日にかけて行われた。
中国の海洋調査船「向陽紅19」は、ALPS処理水の第4回目の放出が行われる前の海水サンプルを採取した後、本州・四国・九州を一周するかたちで航行をすることで、西太平洋で採取するサンプルの恒常性を担保したのかもしれない。
放出実績 | 東京電力 | 处理水门户网站 | 東京電力 | 處理水入口網站 | 東京電力 | 처리수 포털 사이트 | 東京電力 | TREATED WATER PORTAL SITE | Tokyo Electric Power Company Holdings, Incorporated |
海上保安庁 第3管区海上保安本部によると、中国の調査船からの救助要請は今年に入って2件目だそうだ。
西太平洋で、中国の海洋調査船によるALPS処理水に関連したサンプル採取など海洋調査活動は続けるだろうし、これからも事故が起きたときには海上保安庁へ救助要請があるのだろう。
X(Twitter)や微博を見ると、「中国海警局に助けてもらえ」(意訳)や、「(中国も)飛行艇”AG600”を導入すべき」といったコメントを見かけた。
そういえば、ちょうどロシアと中国との共同訓練および北太平洋の公海での共同パトロール活動のため「海警2303(梅山艦)」と「海警2305(秀山艦)」が(比較的に)近い海域にいたかもしれない。
もし仮に中国海警局の2隻が近くにいて、「向陽紅19」からの救助要請を受けたとしても、船内に充分な医療設備は無いだろうから中国本土へ帰港するまでに充分な治療が受けられるとは限らない。
もちろん、中国海警局のヘリに怪我人を乗せて、東京の病院へ移送することも出来ない(やってほしいけど😓
現場海域(小笠原諸島・父島の北東約900km)から、たとえば上海までの距離は約3000km。中国が開発中の水陸両用艇AG-600でも往復飛行は出来ない距離なので、たとえAG-600が配備されていても派遣は出来なかっただろう。
中国産「世界最大級サイズの水陸両用機」来年実用化か? カギの「型式証明」24年にも取得へ | 乗りものニュース (2024.01.17)
#第71航空隊(岩国)は、小笠原東方沖における中国の海洋調査船での緊急患者発生に際して、#海上保安庁 から救助及び輸送の#災害派遣 要請を受け9月27日、#海上自衛隊 US-2が乗組員1名を無事に救助しました。#海自 は常に #精強 #誠実 さをもって、任務を遂行してまいります。#人命救助 #US2 pic.twitter.com/cjSSJPeKZi
— 防衛省 海上自衛隊 (@JMSDF_PAO) 2024年9月27日
【急患空輸】2024年9月27日(金)US-2による緊急患者空輸 - 防衛省統合幕僚監部 - YouTube
Sep 27, near Ogasawara Islands, #US2 dispatched from ARS 71 safely rescued a crew member needing urgent medical care aboard XIANG YANG HONG 19, a Chinese research vessel, by following a JCG request. #JMSDF will carry out missions with strength and integrity. pic.twitter.com/9KBmZ1iuy5
— 防衛省 海上自衛隊 (@JMSDF_PAO) 2024年9月27日
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