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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

中国の7000m級有人深海潜水艇「蛟竜号」 2016年の潜航調査へ、国家深海基地から出航

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(via. 新华网

4月12日、中国の水深7000m級有人深海潜水艇「蛟竜(蛟龙)」号と、母船「向陽紅09(向阳红09)」が2016年の蛟竜号試験性応用航海(第37次科学調査)に、青島郊外の国家深海基地の埠頭から出発した。

 

国家深海基地の専用埠頭なのに、すごく広いなー、という個人的すぎる感想はともかくとして、

今回は、北西太平洋のコバルトリッチクラスト探査鉱区と、ヤップ海溝およびマリアナ海溝での水深7000m潜航試験以来となる水深6000m超の“超深海”での連続潜水調査を行う予定だ。

“向阳红09”船从青岛起航 搭载“蛟龙”号探秘海底深渊 - 新华网
“向阳红09”船从青岛起航 搭载“蛟龙”号探秘海底深渊 - 新华网(写真3枚)

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「蛟竜号」はまず、北西太平洋のコバルトリッチクラスト探査鉱区での資源探査と科学調査を行い、将来の「蛟竜号」有人深海潜水艇の業務化へ向けた、開放・共有・応用プラットホームの構築を目指す。

ちなみに日本も2014年に、JOGMECが国際海底機構との間でコバルトリッチクラスト探査契約を締結し、大学やJAMSTECの船・無人探査機による調査も行われている。日本の大手メディアはろくに取り上げないが、深海底のゴールド・ラッシュが、深く静かに始まりつつあると言っても過言ではない(はず)

 

中国は国家レベルで、欧米に(日本にも、・・・大声では言わないけど)"追いつけ、追い越せ"とばかりに、
海洋技術・深海作業技術を、バイオ、情報、新材料、次世代エネルギー、宇宙技術などと合わせて、次世代の高度技術・新興産業の発展の為の重要な基礎技術であり、ハイテク・イノベーションを起こす事が出来る分野の1つに位置づけている。

 

閑話休題、 

次に、科学技術部の973計画項目(国家重点基礎研究発展項目)と中国科学院が先導する、ヤップ海溝での11回(予備3回)の水深5500m級の潜航と、マリアナ海溝での8回(予備2回)の水深6000m超級の潜航を行う。

これは、7000m級潜航試験以来の、はじめての"超深海"での連続潜航作業であり、「蛟竜号」の技術的な安定性と信頼性を検証する絶好の機会となるだろう。

出航の様子の動画を見ると、やはり第二次潜航員候補生も乗り込んでいる。科学技術だけでなく、人材教育・開発も着々と進めている。

 

今回の航海は、青島市郊外に新たに建設された国家深海基地に、はじめて“帰港”してからの初出航となる。

(追記)これまでは、「蛟竜号」は設計・建造の中心である中船重工第702研究所(江蘇省無錫市)に移送されてメンテナンスが改良が行われていた。
これからの運用は、国家深海基地の技術的な能力だけでなく、組織や人材の面でも能力が問われるだろう。(追記ここまで)

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国家深海基地管理中心

 

昨年の南西インド洋での潜航調査では、ブラックスモーカーに焼かれたり、母船「向陽紅09」のA型クレーンのモーターの故障で揚収出来ないなど大きなトラブルを経験していた。

中国中央電視台の特別番組が言うところの “成人式”を終え、新居からの新たな船出と言えるだろう。

中国の有人深海潜水艇「蛟竜号」南西インド洋潜航記 | 『深潜』第一集〜第三集 CCTV正月特別番組 - pelicanmemo (2016/1/10)

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もっとも母船は、未だに船齢37年、御高齢の「向陽紅09」・・・

新しい母船の建造計画は順調に進んでいるようなので、一旦決まれば2〜3年で新造されるのではないだろうか。

この分野での中国のスピード感には目覚ましいものがある。

 

2016年蛟龙号试验性应用航次(中国大洋37航次)启航 - 国家深海基地管理中心 (4/12)
“蛟龙”号再起航 奔赴西北太平洋执行任务 - 国家深海基地管理中心 (4/14)(動画|青岛电视台)
2016年“蛟龙”号试验性应用航次从青岛启航 - 深海基地管理中心 (4/14)(動画|青岛电视台)

国家深海基地管理中心

“向阳红09”船从青岛起航 搭载“蛟龙”号探秘海底深渊-新华网
“向阳红09”船从青岛起航 搭载“蛟龙”号探秘海底深渊_新华网(写真)
有人潜水艇「蛟竜号」が出港、マリアナ海溝での作業に向かう--人民網日本語版

 

めも

国家深海基地については、気が向いたら・・・

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