Deux cadavres de sangliers infectés découverts à Lagland: la peste porcine importée par des militaires? https://t.co/GLPdRcLgXV
— RTBF info (@RTBFinfo) October 6, 2018
ロシア西部や東ヨーロッパで発生が拡大しているアフリカ豚コレラ。8月には中国国内での発生が確認、9月には東欧の発生地域から1000km以上も離れたベルギーで、突然の発生がありました。
中国の税関当局は10月8日、ベルギーでアフリカ豚コレラが発生したことをうけて、豚・イノシシおよび加工品の輸入を禁止したと発表しました。
このニュースで、はじめて、ベルギーでアフリカ豚コレラ(ASF)が発生していたことを知った方もおられるのではないでしょうか。
中国は、ベルギーでアフリカ豚コレラが発生したことから、同国からの豚、野生イノシシおよび関連製品の輸入を禁止した(訂正)。また、日本で豚コレラが発生したことから、同様に豚、野生イノシシ、関連製品の輸入を禁止した。中国税関当局が9日に明らかにした。
(赤字強調は管理人による)訂正:中国、日本から豚などの輸入禁止 豚コレラ発生で | ロイター
(ロイターの記事では当初、日本とベルギーで"アフリカ豚コレラ"、という間違った表現をしていましたが誤報です。すぐに、日本語版記事、英語版記事ともに訂正されました(ただし転載記事で古いままの記事は未だに残っている))
ベルギー南部で発生したのは「アフリカ豚コレラ (African Swine Fever (ASF))」。
日本の岐阜市で発生したのは「豚コレラ (Classical Swine Fever (CSF)、古典的豚コレラ)」。
豚やイノシシの感染症で、症状が似ているために似た名前が付けられましたが、ワクチンの有無など違いがあり、ウイルスが違う別の感染症なので、注意が必要です。どちらも、ヒトに感染したという報告はありません。
9月14日、ベルギー南部のワロン地域、ルクセンブルグ大公国やフランスとの国境に近い地域で、野生のイノシシからアフリカ豚コレラのウイルスが確認されました。
「ついにベルギーにまでアフリカ豚コレラが!」「ヨーロッパで蔓延」というコメントも見かけましたが、これも勘違いです。もっとも近いポーランドの発生地域から1000キロメートル以上も離れていて、突然に、ベルギー南部の比較的に狭い地域でだけ発生しました。
アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルスが、ベルギー南部で出現した原因について、人の社会活動によるウイルスの流入の可能性が高いとして、いくつかの仮説が語られています。。
10月になって新たに、3つ目の仮説、ベルギー南部の軍キャンプで行われた外国の軍事訓練がウイルス流入の原因ではないか?と、現地のニュースを賑わせています。これについて少し。
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ーー(追記:10/16)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イメージしにくいかもしれないと思い、地図を追加しました。😊
ベルギー南部、リュクセンブール州の、アフリカ豚コレラ(ASF)発生による疫区規制地域。630平方キロメートル)。野生のイノシシのASF陽性は丸印、陰性は三角印。
縦x横が 10km x 15km くらいの狭い範囲でだけ、野生のイノシシ(死骸や駆除された個体)で、陽性が確認されていることが分かります。
地図は、Plateforme ESA(Plateforme d'épidémiosurveillance en santé animale) と ベルギー連邦フードチェーン安全庁(AFSCA) より。10月7日更新。比較的に狭い地域でだけ陽性が確認されている。規制地域の外では陽性確認は無い。(赤枠の地図、赤字追記等は管理人による)
AFSCA - Peste porcine africaine
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
9月14日、ベルギー南部のWallon地域、リュクセンブール州のEtalle市の近くの森林で、野生のイノシシの死体から、アフリカ豚コレラ (African Swine Fever (ASF)(peste porcine africaine))のウイルスが検出されました。
Wallon地方政府は、63,000ヘクタール(630平方キロメートル)をASF疫病隔離地域として指定し、野生のイノシシの駆除と、隔離地域内にある養豚場・農場などで飼育されている約4000頭の豚・イノシシの予防的な殺処分も決定(多くは殺処分前に出荷された。隔離地域内の動物公園で飼育されていたポットベリー・ピッグのHectorは(中略)"保護"されたそうだ。)。
10月10日までに、発見された死体と積極的に駆除された野生イノシシから、70例のASFウイルス陽性が確認されています。
隔離地域の外で採取されたサンプルからは、ASFウイルスは確認されていません。
10月になって、ベルギー軍のLagland キャンプ地の中に残されていた野生のイノシシの死骸2体からASFウイルス陽性が確認されたと発表があった。Lagland キャンプ地は隔離地域の内側にすっぽりと入っています。
9月21日には、骨となっていた死骸が見かけられていたので、死亡したのはそこから2〜4週間前と見做され、ベルギー南部のASF発生例のうち、もっとも早い感染・死亡例となりました。
ここから、Lagland 軍キャンプで行われた、外国の軍隊との軍事訓練によって、ASFウイルスが、靴や服や装備に付いたイノシシの糞や土や泥に残っていて、ベルギー国内に侵入して拡散した可能性が取りざたされています。
ASFの発生が拡大しているバルト三国との軍事訓練も行われています。ベルギーの国防大臣は、軍事訓練の時には、兵士はまず宿舎に入って対応しているので問題は起こらない、推測にすぎないと発言しましたが、あまり説得力があるようには感じられません。
その後、合同訓練は中止され、装備の洗浄が行われています。
ベルギー南部Wallon地域で、いきなり、アフリカ豚コレラ (African Swine Fever (ASF))が発生した原因は、それまで、主に2つの可能性が取りざたされていました。
Peste porcine africaine: la pose de clôtures débutera ce mardi https://t.co/A6Zs6jV7ki
— RTBF info (@RTBFinfo) October 12, 2018
原因の仮説、一つ目は、EU(欧州連合)圏内の長距離トラック輸送の増加によって、東欧から来たトラック運転手がASFウイルスを持ち込んだと言われているもの。俗に「トラック運転手のサンドイッチ」「ポーランドのサンドイッチ」と呼ばれています。
ASF発生した森林の2キロメートルのところに、高速道路のパーキングエリアがあり、東欧から長距離移動してきた運転手が持ち込んだ、食べ物の残飯が原因という可能性。
外国から持ち込まれた食べ物やその残飯は、アフリカ豚コレラのウイルスが流入して拡大する大きな原因のひとつです。南アメリカやカリブ海の国(ドミニカ共和国、ハイチ、ブラジル。これらは、いずれも浄化に成功した)や、あるいはジョージア(もとグルジア)へは、船舶・航空機から出た残飯が原因とされています。
原因の仮説、二つ目は、ヨーロッパの狩猟文化に関わるもの。
ベルギーの森林でイノシシ狩りを行うために、東欧から生きたイノシシの輸入と放流が行われ、それによってASFウイルスがベルギー南部に流入したのではないか?というものです。ワロン地方の検疫当局は、そのような輸入は行われていないと発表しました。
それでも、ASF発生の初期から "噂" として根強く残っています。
ーー(追記 : 2019/02/13)ーーーーーーーーーーーーーーー
ベルギーの、自然森林局(?)(DNF)の関係者と、Étalle地域の森林の地主の、2人の逮捕状が請求されたそうだ
Peste porcine africaine: deux mandats d'arrêt délivrés - RTBF (02/08)
Peste porcine africaine: un mandat d’arrêt confirmé - Le Soir (02/12)
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここに、三つ目として、軍キャンプ場での軍事訓練によるASFウイルス流入の可能性が話題となった。
西ヨーロッパでアフリカ豚コレラ(ASF) が蔓延しているわけではなく、突然に、1000kmも離れたベルギー南部地域の狭い地域で発生した、それがヒトの社会活動によるウイルスの移動が原因であることはほぼ確かでしょう。
野生のイノシシによるウイルスの拡大を阻止するため、フェンスや電気柵などの設置の検討が行われています。
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