中国の自然資源部の公式サイトが今年(2024年)1月29日に更新され、中国共産党の中央外事工作委員会弁公室（中央外弁(中央外办)）の副主任だった孫書賢（孙书贤）が、自然資源部の党組成員、副部長ならびに国家海洋局の局長となったことが公表された。
部领导 - 自然资源部
自然资源部部长、副部长、纪检组长等领导简历
「国家海洋局は無くなったんじゃないのか？」という声もあるかもしれない。
国家海洋局(SOA(State Oceanic Administration))は国土資源部が管理する国家局だったが、2018年3月の中国共産党と国務院による「深化党和国家机构改革方案（中国共産党と国務院の深化、改革法案）」（以下、"改革法案"）によって、自然資源部に統合され廃止された。
実際には、自然資源部は対外的に国家海洋局の名称を使用すると定められていた（自然资源部对外保留国家海洋局牌子）。2018年3月当時に国家海洋局局長だった王宏は、自然資源部にうつったあとの肩書きが「自然資源部 党組成員、国家海洋局 局長」だった。
それでも、行政組織としての職責、管轄と権限をもつ国家海洋局は消滅し、対外的な名称（ブランド（牌子））として国家海洋局が残されてもじきに使われなくなるものと思っていたんだけど・・・、
王宏は2020年に自然資源部副部長となり、公式の肩書きは昨年(2023年)になっても「自然資源部副部長、国家海洋局局長」（自然资源部副部长、国家海洋局局长王宏）が使われている。
そして今回、孫書賢（孙书贤）が自然資源部の副部長、国家海洋局の局長となったことが公表された。
王宏（1963年5月生まれ）が60才の定年を迎えたことによる交代人事だと思うが、海事関係の専門家である孫書賢（孙书贤）が中国共産党の中央外事工作委員会弁公室（中央外弁）へ異動し、5年を経てふたたび国家海洋局で局長に就いたところは興味深い。
国連海洋法条約 (UNCLOS)や、大陸棚限界委員会 (CLCS)の勧告などへの影響、中国の思惑や動きが気になるところだ。
頭の片隅に置いておいて、アンテナを向けていても損にはならないだろう。
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
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孫書賢（孙书贤）は1966年生、男性、漢族。2018年3月の改革法案の前は、国家海洋局副局長 兼 中国海警局副局長だった。2018年3月から2023年5月まで中央外事工作委員会弁公室の副主任に就いていた。2023年5月から自然資源部の副部長、国家海洋局の局長と記載されている。
ちなみに国家海洋局の統合・廃止が発表された当時(2018年3月)、副局長は石青峰と林山青と孫書賢の3人がいたが、孫書賢は自然資源部の指導部に入ってはいなかった。（あの時は「どうしたんだろう？」くらいに感じたことを思い出した。すっかり忘れたころにまた名前が出てくるあたりがおもしろい）
中国 国家海洋局の門標、自然資源部の本部ビルに掲げられる。 - pelicanmemo (2018-04-14)
孫書賢（孙书贤）のキャリアは国家海洋局からはじまり、国家海洋局第一海洋研究所の所長、中国海監総隊の党委書記・常務副総隊長などを経ている。
香港の鳳凰網は、海事関係の専門家の孫書賢が外交関係部門である中央外弁(中央外办)（中央外事工作委員会弁公室）に異動したのは海洋権益の維護（维护海洋权益）する職責と関係があるとし、外交部門からふたたび国家海洋局の局長として「復帰」をしたことは新たなシグナルだ、と伝えている。
続けて、2018年3月の改革法案による制度改革によって統合・廃止されたが名称（牌子）を残していた３つの組織（国家局・協会）が、2023年3月にもとの政府組織に戻ったことを書いている(*1)。国家海洋局も復活する可能性を示唆しているようだ。
(*1)
・国家外国専門家事務局（国家外国专家局）：人力資源・社会保障部→科学技術部→人力資源・社会保障部。
・国家知識産権局（国家知识产权局）：国務院直属機関→国家市場監督管理総局（代管）→国務院直属機関
・中国老齢協会（中国老龄协会）：民生部（代管）→国家衛生健康委員会（代管）→民生部（代管）
罕见！孙书贤2023年5月任职8个月后到任，透露新动向_凤凰网 (2024年01月31日 )
自然資源部の人事情報では、孫書賢（孙书贤）は2023年5月から自然資源部副部長で国家海洋局局長と記載されている。これには、鳳凰網も言及しているように矛盾がある。
王宏は、中国政府網や新華社通信による公開情報を調べると、2023年の7月や11月に開催された政府公式の記者会見や公式行事などで自然資源部の「副部長、党組成員、国家海洋局局長」の肩書きで発表されている。
インターネット・アーカイブ・サイト(archive.org)で自然資源部の公式サイトを調べると、2023年10月31日に保存された指導部ページ（领导之窗）でも王宏はまだ「自然資源部副部長、国家海洋局局長」として掲載されている。
一方、孫書賢（孙书贤）は、2023年12月28日に央視（中国中央電視台）が放送した中央外事工作会議のニュース映像によると、ほかの副主任と同列で参加していることが確認されている。この時点で孫書賢は中央外弁の副主任の職務を遂行していただろう。
中国の人事情報はこういうとこがなにかとめんどくさい。
孙书贤任自然资源部副部长、国家海洋局局长_手机新浪网（新京报, 2024年01月29日）
自然资源部副部长、国家海洋局局长王宏 - 国务院新闻办公室新闻发布会 (2023-07-11)
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王宏 - 自然資源部 (archive.org 2023-10-31)
王宏 - 自然資源部 (archive.org 2019-01-06)
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