pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

中国、海洋調査船「向陽紅21」、大規模改修を終えて進水 原型留めてねぇ🙄(もと 海警2153 ← 海監53 ← 郵電1号)

20191021195021(自然資源部より)

10月10日、海洋調査船「向陽紅21号」の大規模改造を終了し、山東省威海市の造船所で進水儀式が行われた。
進水式には自然資源部(国家海洋局)東海局の呉強(吴强)局長や唐文胜副局長、黄海造船有限公司の赵建平董事長、中船重工702研究所の金承仪副所長などが出席した。

 

この海洋調査船「向陽紅21」、以前の船名は「海監53」。

もとは、国家海洋局 東海分局の1000㌧級近海総合調査船「海監53」、その後の組織統合再編で、中国海警局に変わったことで「海警2153」という船名に変わっていた。
もともとは、1976年に建造された中国海軍のケーブル敷設船「郵電1号」、船齢40年以上の老船だ。

20191021195026(微信より)

 

「郵電1号(邮电1号)」→「海監53(海监53)」→「海警2153」と改造されてきたわけだけど・・・、今回の「向陽紅21(向阳红21)」の外見を見ると、もとの船体や船橋・マストなどは原型を留めていない。

「本当に同じ船か?🙄」と思ったけど、自然資源部の公式サイトが書いているのだから間違いないのだろう。かなり大規模な改造が行われたようだ。

10月10日,完成重大维修改造的向阳红21船(原称“中国海监53”船”)在山东威海黄海造船有限公司顺利下水。自然资源部东海局领导吴强、唐文胜,黄海造船有限公司董事长赵建平、副总经理常军德,中船重工有限公司702研究所副所长金承仪等领导和嘉宾出席下水仪式。
向阳红21船完成重大维修改造顺利下水 - 自然資源部(2019-10-15)

 

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20191021195021(自然資源部より) 

「向陽紅21(向阳红21)」は、全長79.8m、型幅11.6m、喫水4m、設計排水量1925㌧。持続航行は8000海里、50日。最大航速15ノット、定員45人。新たにABB電力推進(いわゆる"アジポッド")とDP1動力定位システムを装備した。

 

20191021195017

近海総合調査船「海監53(海监53)」は、全長71.4m、型幅10.5m、喫水3.6m、排水量1327㌧。持続航行は2400海里、航速11ノット、定員29人(科学調査員)。主に海洋ブイの設置・回収、メンテに従事していた。

 

スペックも外見も変わりすぎている。🙄

いったいぜんたい、船のどこを残したのか?何を残したのか?気になるところだ。

 

さらに前、

 20191021195029

「海監53」から「海警2153」への変更では、舷側の海警局のマークとブリッジまわりと装備の改修くらいでほとんど変わっていなかった。
中国海軍のケーブル敷設艦「郵電1号(邮电1号)」から「海監53(海监53)」への改修で、船首の滑車(バウシーブ)が取り外されたが、船体や船橋・マストはそのままで面影は残っている。

 

 

やはり信じきれなかったので、調べてみたところ、昨年(2018年)に「海監53」の大規模改造が発表されていた。

船体構造と甲板の腐食と変形が激しく船体強度不足、上部構造物の錆腐食も激しい。配置は古くさいく、船室の配置も不合理。メインエンジンを含む推進システムや減揺タンクの性能低下、故障率が高く、安全性に問題がある、その他いろいろ。東海区(東シナ海)での様々な海洋任務の要求に答えられない。

そこまで言ってて、なぜ、この船を残す?🙄

普通、新造して、廃船にした方は払い下げるかスクラップにするんじゃないか?🙄

 

船体構造の一部を残して、他は全部変えたようだ。

根据中国海监53船维修改造目标及改造后船舶功能定位,结合原船图纸情况,将船舶主尺度适当增加,除保留部分船体结构(FR74~FR93双层底部分),其它结构新建,增装调查设备设施,全船机电设备、舾装设备、内装等全部换新。 
中国海监53船重大维修改造项目 - 南海研究论坛 (2018-4-3)

20191021195032

 

 

中国では、船体をぶった切って大規模改造をすることがある。

たとえば中国科学院の、国産4500m級有人深海潜水艇「深海勇士」号の母船「探索一号」も、もとの船の前半分と後ろ半分を分割して、前半分を新たに製造して結合していた。この時も驚いたが、まだ雰囲気は残っていた。 

20160507090724微博より) 

中国、国産の4500m級有人深海潜水艇の母船「探索一号」、大規模改修が終了 中国科学院に交付 - pelicanmemo (2016-05-08)

 

 

余談だが、「海監53」から「海警2153」と名前は変わったけれども、“国家海洋局”界隈ではずっと「海監53」という船名が使われている。国家海洋調査船隊にも登録されている近海調査船であり、召し上げられて警備艦になったわけではないという意味合いもあるのだろうか。

他の、船名が「海監xx」の海洋調査船(その後の船名は「海警xxxx」)にも、改装工事が行われている船がある。何隻が自然資源部の海洋調査船として残されるのかまだ分からないが、数隻から10隻くらいは変わるのかもしれない。

これらの多くは古い近海調査船であり、中国はさらに、大型海洋科学調査船の建造をすすめている。

世界の海洋科学の観点では歓迎すべきことなんだけど、軍官民で活動できる中国のことなので、日本の海洋安全保障の観点ではすこし微妙なところだ。

 

向阳红21船完成重大维修改造顺利下水 - 自然资源部东海局 (2019-10-14)

向阳红21船完成重大维修改造顺利下水 - 自然资源部 (2019-10-15)

“向阳红21”船完成维修改造顺利下水 - 中国海洋报 (2019-10-15)

黄海造船改装“向阳红21”轮下水 - 维修改装 - 国际船舶网

中国海监53 - 国家海洋调查船队

船队介绍 - 国家海洋调查船队

【每日一舰】邮电1号布缆船 - 鹤飞天际

中国海监53船重大维修改造项目 - 南海研究论坛 (2018-4-3)