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【中国海警局】 4000トン級海警船に76mm機関砲を搭載か

20211021052943(微博より。鳴謝、酸梅梅梅干)

中国のネットSNS微博で、中国海警局に所属する4000トン級の船に76mmと思われる機関砲が搭載されている撮影画像が公開された。

緑色のカバーに覆われているその外見から、中国海警局の万トン級「海警2901」「海警5901(もと海警3901)」や818型、718B型に搭載されているH/PJ26型76mm単管速射砲だと考えられる。

今年(2021年)1月には、5000トン級「海警2501」が搭載している写真が中国海警局から公開されていた。

 

この4000トン級(NATOコード:Zhaolai class)や5000トン級(同:Shuoshi II class)では、建造時から”台座”が設置されていたけれども機関砲のような固定武装はずっと装備していなかった。

中国海警局が、中央軍事委員会の直接の指揮下にある中国海警局人民武装警察部隊(武警)の海警総隊(中国海警局)となったことで、行政組織でもあった国家海洋局/中国海警局のときよりも武装化のハードルが低くなったと考えられる。

20211021052954(中国ネット掲示板より)

いきなり同型船ぜんぶに76ミリ砲が搭載されてはいない。中共が国際関係をどう認識してどう対応したいと思っているか次第だし、時間の問題だろう。

また、いわゆる”海監型”3000トン級10隻でも建造時から同じように、30mm機関砲に対応するだろう”台座”2基が設置されている。

 

【中国海警局】5000トン級「海警2501」、76mm機関砲を新たに装備 - pelicanmemo (2021-01-23)

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20211021053932

ブリッジの前の折り畳み式中型クレーンが無くなって、そこにFCS(火器管制システム)と思われる装備が設置された。

ブリッジ脇のドアの上にある船名・番号が書かれたプレートに白いカバーがかかっている。もしかしたら船名・番号ではない固有名を掲示するのかもしれない(例えば、船名・番号「海警2901」の固有名は「舟山艦」)

ブリッジの上のレドームなどにも白いカバーがかかっている。更新や新設されたのかもしれない。その後ろのマスト前にあるLRAD(長距離音響発生装置(強声装置))は同じタイプが残っている。

20211021052943

 

今回の撮影画像には舷側の番号は描かれていない(撮影主による画像処理・マスキングではないだろう)

同型船は4隻で、尖閣諸島の沖で確認されたことがある「海警1401(もと海警2401)」「海警6402(もと海警1401)」と、南シナ海を管轄する南海分局の「海警5402(もと海警3401)」「海警5403(もと海警3402)」。(2018年頃から組織再編に伴って船名・番号が変わったので新旧の番号を併記している)

4隻の細部を見比べてみた結果、機関砲が搭載されたのは南海分局の2隻のどちらかであり、当ブログ管理人はこれは「海警5402(もと海警3401)」だと思う。

もちろん4隻以外に、誰も気付かないうちに新たに建造されていた可能性はあるけれども、この4000トン級(Zhaolai class)をわざわざ新造した上で76ミリ砲を載せたとは思えない。

 

 

4000トン級海警船(Zhaolai class)は、中国海警局が正式発足するよりも前に国家海洋局によって計画・建造された多機能海洋法執行船(多功能海洋执法船)。交通運輸部・救助サルベージ局の、同時期に建造されていた8000KW海洋救助船(「北海救117」など)がモデルシップといわれている。

全長99m、型幅15.2m、設計吃水5.6m。満載排水量5196トン。設計航行速度19.1ノット。航続距離12000海里、45日。乗員57人。
高圧放水銃、ヘリポートを装備する(ヘリ格納庫はない)。

20211021065545

 

 

進水したときから機関砲の台座があると言われてきたけれども、設計や来歴からこの4000トン級に76ミリ砲が搭載されるとは思ってはいなかった。ちょっと驚いた。🙄

 

上から撮影された画像を多く見ていると、”機関砲の台座”のすぐ近くには揚錨機など設備があり”混み合って”いて危なく感じられる。

20211021053935(海警3401(現5402))

20211021053929(海警1401(現6401))

 

その一方で、718B型や818型では76ミリ砲の砲身先端あたりまで保安距離を設定して黄色い線で範囲を描いている。

次の画像は、718B型海警船でのH/PJ26型76mm速射砲の実弾射撃訓練の様子。

20200524000546

子供の腕よりも大きな薬莢が、76ミリ砲の正面から勢いよく排莢される。オットー・メラーラの76ミリ砲のような、砲の近くに薬きょうを落とす工夫も施されていない。

同じ76ミリ砲を搭載していても、船のタイプごとに性格が違ってきている。

もしも、この4000トン級で発砲が必要となる可能性がある情況が近付いてきたら、砲のまわりに丈夫な防護板やネットを配置するつもりなのだろう。

 

 

中国海軍のH/PJ26型76mm単管速射砲は本気で撃つとこんな感じ。
グレイゾーン事態では、中国海警局の船がここまで派手な連射を求められるようなことはないと思うけれど、これだけの戦闘能力を持っていると見られるし威嚇になるということだ。

Chinese PJ26 76mm Naval Gun Test - OedoSoldier - YouTube

 

 

 

機関砲の後ろの一段高いところに、濃い緑色のカバーが付いた2つの装備がある。

確証はないが、もしかしたら12.7mm自動機銃・RWS(リモート・ウェポン・ ステーション、遥控武器站) が新たに設置されたのかもしれない。

20211021053301

 

まだ写真1枚だけの速報だし、続報を待ちたい。

 

 

--(追記:同日)--------------------

4隻の細部を見比べてみた結果、機関砲が搭載されたのは南海分局の2隻のどちらかであり、当ブログ管理人はこれは「海警5402(もと海警3401)」だと思ったその理由をツイートしました。

 

--(追記ここまで)------------------

 

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