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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】2022年版・中国海軍、中国海警局、等の船舶一覧 - アメリカ海軍情報局| 日本語つけてみた🙂

アメリカ海軍情報局(ONI)から12月15日に、2022年版の中国人民解放軍海軍(PLAN)と中国海警局の艦船、その他の政府組織の公船の一覧が発表された。前回の発表は2020年版、約2年ぶり。

当ブログでは中国海警局に関してチェックをしてみたい(中国人民解放軍海軍(PLAN)の軍艦に関しては詳しい方々のチェックを待ちたい)

中国海警局の欄では、中国海軍から退役して移管された056型コルベットや海警学院の練習艦となった大型総合保障船などが追加された。818型や718B型など武警・海警総隊(中国海警局)となってから変更された船名・番号(舷号)が追加・更新されている。

ただ、国家海洋局 中国海監総隊の所属だった4000トン級(ZHAOLAI WPS)(「海警2402」など)のイラストに76mm機関砲が追加・更新されて描かれているにも関わらず、同・5000トン級(SHUOSHI II WPS)(「海警2501」など)の方では描かれていないといったケアレスミスも見かける。

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https://www.oni.navy.mil/Portals/12/2022_PLAN_Recognition_Poster_UNCLASSIFIED.pdf
PLA Navy Identification Guide (2022)  (pdf)
 (3.7MB)

 

元資料pdfのNATOコードの艦船が少し分かりにくいかもなので、中国海警局の欄に掲載されている1000トン級以上について日本語で簡単な解説を付けてみた。
カッコ書きの「もと海軍」や「もと海監」などは以前の所属組織を表している。その他、アスタリスク「*」マークの意味など詳しく書きこめなかったとこを画像の次のテキストで解説しています。

画像ファイルだから船名・番号が潰れてしまって読み難いので、米国海軍情報局(ONI)の元資料pdfと合わせて見てみてください。

(大きい画像(1440x2800pixel)にリンクしています)
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  • 5000㌧級」「4000㌧級」〜「600㌧級」は中国海警局や中国海監総隊(当時)等から発表された船級クラスであり、海上保安庁の巡視船の「公称船型」や総トン数とはそもそも算定基準が違う数字です。
  • もと海軍」「もと海監」「もと漁政」などは中国海警局に公式に再編される前の組織を表している。「現・漁政」など””を付けているものは現在の所属を示している。
  • 海監(省級)」「漁政(省級)」は、10数年前に省級の公船建造計画で建造された船を示している。たとえば国家海洋局 中国海監総隊(当時)では36隻(1500トン級7隻、1000トン級15隻、600トン級14隻)の海洋監視船建造計画が実施された。
  • 特徴的な用途の艦船は、もと海軍の「オーシャンタグ」「砕氷艦」や「練習艦(現・海警学院)」と記載している。
  • 76mm機関砲の搭載が確認されたタイプには「**」アスタリスク2つを付けた。30mmや37mm(以下同文)には「*」アスタリスク1つを付けた。「**(2)」の様に「(2)」がついているのは未だ搭載していない艦(確認されていない艦)があることを意味する。
    アスタリスク・マークがついていないタイプは非武装。機関砲など固定武装を搭載していない。クエステョン()マーク付きは確認が不十分で、特にもと漁政やもと辺防海警の1000トン級以下で取りこぼしたものもあるかもしれない。
  • 一覧の下の方の船はもっぱら地方部隊の600㌧級以下の船艇であり基本的に沿岸海域で活動しているものなのでいちいち書き込んでいない。尖閣諸島沖で確認された船は書き込んだつもり。

”海監型3000トン級”という表現は使っていないけど、うちのブログを見てくださっている方々は分かりやすいんじゃないかと思う。

 

【中国海警局】 排水量12000トン「海警2901」 vs. 排水量6500トン「しきしま型」巡視船、という数字のトリック - pelicanmemo

【中国海警局】 尖閣諸島で確認された中国の公船18隻(8月4日〜16日)、まとめ 辺防海警、漁政、緝私、海監など - pelicanmemo (2016-08-07(追記あり))

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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中国海警局に所属する船舶の船名・番号(舷号)は人民武装警察部隊(武警)に編入されてから大きく変更されている。所属組織の地域が変わった船も多い。当アカも独自に調査を続けてきていて、今回の米国海軍情報局(ONI)の発表(2022年版)とほとんど同じだった。しかし718B型(ZHAOJUN WPS)など一部で食い違いがあったので記録しておきたい。

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米国海軍情報局(ONI)の発表(2022年版)はこちら。

ZHAOJUN WPS

2204 (ex-3311)
4201 (ex-46111)
4202 (ex-21111)
4203 (ex-?)*
5201 (ex-?)*
5202 (ex-35111)
5203 (ex-?)*
5204 (ex-?)*
5205 (ex-44111)

*ex-46112, 45111, 46113, or 37111

”2204 (ex-3311)”は”2204 (ex-33111)”を書き間違えたケアレスミスだろう。
(「海警2204」は11月15日に尖閣諸島の接続水域ではじめて確認された718B型海警船。76mm機関砲を搭載する。)

 

当ブログが718B型(ZHAOJUN WPS)で推測したのはこちら。過去のAIS情報の履歴などをもとに検証した。

海警2204 (もと 海警33111)(海軍情報部の資料と一致)
海警4201 (もと 海警46111)(同・一致)
海警4202 (もと 海警21111)(同・一致)
海警4203 (もと 海警45111)
海警5201 (もと 海警46112)
海警5202 (もと 海警35111)(同・一致)
海警5203 (もと 海警37111)
海警5204 (もと 海警46113)

残りの1隻「もと 海警44111」は、米国海軍情報部の発表では「海警5205」とされているが当ブログでは「海警4204」と推測している。

よく参照させてもらっている”海洋装备与公务船资讯”さんの微博(2019年11月05日付け)でも「海警44111」の近日図として「海警4204」の画像が掲載されている。

 

直属第5局(三亜)と直属第4局(文昌)とで5隻:4隻と考えるか、4隻:4隻と考えるかだろう。

改めてこの718B型9隻の以前の所属と現在の所属とを見比べてみると、東シナ海の管轄から南シナ海へと大きく変えられたことが分かる。浙江省の1隻(海警2204 (もと 海警33111))は直属第2局(寧波(浙江省))で東シナ海に残したが、遼寧省の1隻は直属第4局(文昌(海南省))へ、山東省と福建省のそれぞれ1隻は直属第5局(三亜(海南省))へ変更された。

818型海警船6隻の方は、直属第5局(三亜)と直属第1局(上海)に3隻ずつで変更なく振り分けられている。

 

718B型を大幅に南シナ海へと移し、その空白を埋めるように南シナ海北部から台湾海峡、東シナ海・黄海へと056型を配備するつもりなのかもしれない。056型の22隻はまだ全ての艦の舷号が確認されていない。続報を待ちたい。組織改編では南を重視しつつも、台湾海峡・周辺海域から東シナ海に対する戦力と体制の拡充が行われているようにも感じられる。

818型や718B型はもとは公安部边防海警であり、056型はもとは海軍なんですよね。統合再編されたとしても組織内での”風の通り具合”に違いがあるとも思う。

 

【中国海警局】 718B型「海警2204」初確認、76ミリ砲(H/PJ-26型76mm単管速射砲)を装備 - pelicanmemo (2022-11-20) 

【中国海警局】 船名・船舶番号、変更(2019年7月〜)。| 「海警6501」は直属第六局所属の5000トン級。 - pelicanmemo (2019-12-15)

 

 

あまり気にされず細かいけれど大事なところでは、

まず、4000トン級(ZHAOLAI WPS)(「海警2402」など)のイラストに76mm機関砲が追加されているにも関わらず、5000トン級(SHUOSHI II WPS)(「海警2501」など)には描かれていないというケアレスミスもあった。

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20221217162816
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よく見ると「海警2401」の舷号は変化なしと書かれているけど、それは「海警1401」に変わったはず。

 

また500トン級の近岸海洋環境監測船「海監108」「海監201」など7隻(建造計画では12隻)が、現在は自然資源部に所属している海洋観測船にも関わらず「KAOBO WAG」として載っている。これを"WAG"指定するのは明らかな間違い。
20221217162747

2017年に進水した国家海洋局(SOA)(当時)所属だった船舶で、「中国海監」の船名がついたままなのでNATOコードでWAG指定されたのだろう。
これは、中国海監総隊(当時)の旗船だった「もと海監83(現・海測3301(もと海警3383))」や「もと海監50(現・向陽紅19(もと海警2350))」のように「中国海警局(CHINA COAST GUARD)」の欄から「OTHER GOVERNMENT ORGANIZATIONS」欄に変更したほうがよかった。

 ”WAG”ではなく、”WAGOR”ですら無いと思うぞ。

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【中国海警局】 もと3000トン級海警船、海洋調査船へ転換 「海測3301(もと海警3383)」「向陽紅19(もと海警2350)」 - pelicanmemo (2016-12-27)

 

 

そして、中国ネットSNSですこしだけ露出していた大手造船会社によるウォータージェット推進の2000トン級プロトタイプ(と言われる)「海快一号」も相変わらず。

その後どういう扱いなんだろう…、この船体?😆

20221217162754

Google Earth で見てみると、ず〜〜〜っと同じ埠頭に停泊したままなんですよね。

甲板の塗装くらいはされているよう。😆

 

【中国海警局】 新型の高速海警船を計画か? 最高速度35ノット 2000トン級、3000トン級 - pelicanmemo (2015-12-12)

 

【中国海警局】 『世界の艦船 2019年11月号』 ・・・「違う、 そうじゃないんだ。」 - pelicanmemo (2019-09-28)

 

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

 

https://www.oni.navy.mil/Portals/12/2022_PLAN_Recognition_Poster_UNCLASSIFIED.pdf
PLA Navy Identification Guide (2022)  (pdf)

China's Naval Capabilities - U.S. Navy, Office of Naval Intelligence(ONI) (米国海軍情報局)

Document: Office of Naval Intelligence's Chinese People's Liberation Army Navy, Coast Guard Ship Identification Guide - USNI News