久しぶりに「アイオニック5」の炎上事故のブログ記事を書いていたら、タイミングよく/わるく「アイオニック5」の急発進の事故が大きなニュースになっていたので、これについて少し。
【恐怖】EVタクシーが暴走…時速188kmで“ブレーキ利かず” 信号待ちの車に激突し250m飛ばされる 韓国・テグ|FNNプライムオンライン
「ブレーキが効かない、エンジンも切れない」 EVタクシーが時速188kmで暴走 /大邱 - 朝鮮日報 日本語版
9月15日の深夜、韓国の大邱市で客を乗せて時速約50kmで走っていたEVタクシーが、急に加速をしはじめ、わずか30秒で時速188kmにまで達した。約2.5kmを暴走して、交差点で信号待ちだった車に衝突して横転し、ひっくり返った状態で道路を250m滑ったそうだ。運転手と乗客は肋骨や脊椎を骨折する重症、通行人3人が軽傷を負った。(追記修正:EVタクシーがぶつかった車の運転手とさらにその前にいた車の運転手が怪我をし、そして通行人1人も破片で軽傷を負った)。
タクシー運転手と乗客とのやり取りの声と動きが、室内撮影のドライブレコーダーに残っている。メディアの取材に対して、ブレーキは効かず、パワーボタンを押しても停止せず、ペダルから足を離してもスピードは下がらなかったと話している。
この「急発進」事故を起こしたのは現代自動車(ヒョンデ)のEV「アイオニック5 (IONIQ5)」のタクシー。この車には、アクセルペダルだけで完全停止まで出来るワンペダル・ドライブ(i-PEDAL)や回生ブレーキがあり、自動的にブレーキが作動して安全に速度制御をするシステムがあるけれども、むしろ逆に車が勝手にアクセルを踏み続けている状態となり、速度は下がらず加速をし続けた。前方衝突防止補助(FCA)も作動しなかった。
ときどきニュースになる自動車の「急発進」事故では運転手のペダルの踏み間違えがまず疑われるが、今回は車内映像が残っているし、乗客も運転手の行動を見て発言しているので、EV「アイオニック5 」の車両(ソフトウェアも含む)が原因の「急発進」事故の可能性が高いだろう。
この事故について日本語ニュースでも詳しく報じられている。このブログ記事では主に「韓国で、電気自動車(EV)の急発進事故は増えているのか?」「韓国製の電気自動車(EV)は、急発進事故が多いのか?」「軽油やガソリンの車と比べるとどうか?」などを書いてみたい。
「2023年に入り電気自動車が暴走する事故が相次いで起きている韓国。」と書いている記事もあったけど・・・、いやいや、昨年や一昨年から韓国では急発進事故の証言や動画が公開されていて話題になってますよ。
細かい数字が出てくるので、まず結論を書きますと、
・韓国で、電気自動車(EV)の急発進事故は増えているけれども、それは電気自動車(EV)の登録台数の増加によるもの。今年(2023年)に増えたというのは、単に新規登録台数が増えた結果だろう。
・急発進事故を起こした電気自動車(EV)のメーカーの割合は、EV市場シェアとほぼ一致している。ただし一部の輸入EV車を除く(後述)。
・韓国では、電気自動車(EV)の累計登録台数は自動車全体の2%ほど(50万台弱)だが、急発進事故の割合は20%弱であり、EVでの急発進事故の比率はかなり高い。
自動車で、電子装置による車両制御の関与が強まり、電子部品やソフトウェアが複雑になっていくとこういった急発進事故も増える傾向にあるのだろう。
現代自動車(ヒョンデ)のEV「アイオニック5」はタクシーとしても使われているので、車内撮影も出来るドライブ・レコーダーの設置も多い。事故の映像の公開と露出が増えるだろうしその一方で、「またヒョンデのアイオニック5の事故か」といった直感的な勘違いも増えそうだ。
現代自動車のEV「アイオニック5」、事故車を解体【動画】 | 正面衝突で、バッテリーが炎上した場合と炎上しなかった場合。 - pelicanmemo (2023-09-27)
現代自動車のEV「アイオニック5」、縁石にぶつかりバッテリーが損傷して全焼 - 韓国 済州島 - pelicanmemo (2023-03-31)
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9月15日の深夜、韓国の大邱市寿城区で客を乗せて時速約50kmで走っていたEVタクシー(現代自動車(ヒョンデ)の「アイオニック5」)に、信号無視のROVが左後ろにぶつかった”もらい事故”があった。
サイド・エアバッグも作動していない軽い衝突事故だったが、衝突の直後から急に加速をしはじめて、わずか30秒で時速188kmにまでなった。EV車は約2.5kmを暴走し、交差点で信号待ちをしていた車に衝突をして横転、道路を250m滑ったそうだ。横転後に火花を散らして滑っている様子がドライブレコーダーの映像に残っている。
運転手は肋骨を骨折、乗客は脊椎を骨折する大怪我を負った。
事故の関係者たちは「急にスピードが上がり、ブレーキは効かず、エンジンも切れなかった」と話しており、車両が原因で起きた”急発進”の疑いがあると主張している。ドライブレコーダーには、タクシー運転手と乗客が交わしたやり取りがそのまま記録されていた。
現代自動車は「現在、警察が調査中であり、警察や国立科学捜査研究院などから要請が来たら、正確な原因の把握のために最大限の協力をする」と発表した。
国立科学捜査研究院で、事故記録装置(EDR)やGPSと連動しているデジタル運行記録装置(DTG)に記録されたデータの分析が行われるだろう。
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あくまでも当ブログ管理人の想像なんだけど、まったく減速しないどころか加速を続けているので、最初の軽い衝突をきっかけにして制御回路のどこかでブレーキとアクセルの信号が逆転して入力され続けていたのではないだろうか? アクセルやブレーキの制御は速度計の数値や変化とは連動しておらず、フェイルセーフの機能は無かっただろう(追記10/6:韓国の掲示板で、アイオニック5は最高速度190km/hにソフトウェア面での制限がかけられているそうだ。最高速度は青天井では無かった)。
車両の制御装置はブレーキをかけ続けていたつもりだけれど、実際にはアクセルを踏み続けていたのかもしれない。だから前方衝突防止補助(FCA)も作動しなかったのかも。
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2018年から今年(2023年)7月までの約5年間に、韓国の国土交通部 自動車リコールセンターが受け付けた急発進疑いの申告件数はすべての自動車で169件だった。
車種別では軽油車が53件と最も多く、次いでガソリン車、そして電気自動車・ハイブリッド車で46件(電気自動車は31件のようだ)だった。(公式の記録された統計だけでこの数字なので、暗数もかなりあるだろう。)
すべての自動車のうち電気自動車(EV)は約2%(約50万台(2023年8月までに累積48万8216台))だが、急発進が疑われる事故のうち電気自動車(EV)は20%近くになる。
韓国では製造物責任法により、自動車製造会社の責任を認めるためには、消費者の側が”車両が正常に使用された状態”であり、かつ”運転手がアクセルを踏んではいない”と立証しなければならない。消費者紛争保護制度も強くない。これまで、車両の欠陥が認定されたケースは1件も無い。
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EVでの急発進疑い例は、製造メーカー別では(以下のA,B,Cモデルは仮名)、Aモデル6件を含む現代自動車が42%と最も多く、Bモデル3件を含む起亜が23%、Cモデル3件を含むルノーが16%、GMが6%、テスラが3%、その他が10%だった。韓国交通安全公団のデータを’国民の力’党のキム・ジョンジェ議員が公表した。
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この記事では車両台数は報じられていないが、この5年間のEVでの急発進疑い事故申告数の31件が母数かもしれない。もしそうなら、現代自動車13件、起亜7件、ルノー5件、GM2件、テスラ1件、その他3件となるだろう。
急発進事故(疑い例を含む)を起こした電気自動車(EV)のメーカーの比率は、現代自動車が42%で最も多い。しかし、2023年8月時点で現代自動車のシェアは43.9%(21万4093台)なので、現代自の電気自動車(EV)の国内シェアの数字とほぼ合っている。起亜自動車も急発進事故のEVの比率は23%に対して同統計での起亜のシェアは27.8%(13万5866台)で国内シェアとだいたい合っている。
韓国国内で新規登録された電気自動車(EV)は、2020年に4万6623台、2021年に10万0355台、2022年に16万4324台と右肩上がりで増加した。今年(2023年)はEV販売がやや鈍化したが8月までに10万3356台が登録された。
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電気自動車(EV)の登録台数が増えて、電気自動車(EV)の急発進事故の申告件数も増えたので、EVの急発進事故が増えて見えるのかもしれない。…それにしてもEVの申告件数が20%は多い。
それよりも、「輸入車のルノーで16%」というところが気になる 😶⁉️
日本国内で「ルノーの車は急発進して危ない」という話は聞いたことがない。
(2022年のルノー・ジャポンの販売台数は8615台、うちe-techハイブリッド車は約1360台 (Car Watch)でけっこう多い)
韓国国内の輸入EV車のシェアは、テスラが10.7%(5万2116台)、メルセデス・ベンツが2.6%(1万2546台)、アウディが1.1%(5344台)で、ルノーのEV台数と割合は報じられていないのでそれ以下なのだろう。(YNA 연합뉴스)
ルノーの電気自動車(EV)の問題か?とも思ったが、5年前(2018年)に韓国国内で10万台当たり急発進が疑われる事故が最も多い車種として1位にルノー・サムスンのSM3、2位にルノー・サムスンのSM5があげられていた(TAPA)。
もしかしたら韓国のドライバーには、ルノー車のローンチ・コントロール(停止状態から最大の加速力で発進させられるシステム)が合わなかったか、むしろ合いすぎた⁉️のだろうか? あるいは、運転席まわりの配置のどこかに韓国特有の誤操作を招く要素があるのかもしれない。
韓国交通安全公団の「年度別の国内での急発進の疑い車両届出現況(2010~2022年)」によると、急発進と疑われる事例は2012年〜2013年をピークに下落傾向にある。ここ5年間は1年に40件未満の数字が続いている。
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燃料別でみると、ガソリン車が337件、軽油車220件、LPG車149件、ハイブリッド車34件、電気自動車(EV)26件の順だった(2010〜2022年)。
これから電気自動車(EV)のシェアが高くなるにつれて逆転していくのだろう。
変速機の種類別でみると、自動変速機の採用車両(AT車)が669件で圧倒的1位を占めた。変速機を使用しない電気自動車(EV)が21件。手動変速機の採用車両(マニュアル車)はわずか7件だった。
韓国でもマニュアル車は絶滅しかけていそうだ。
自動車メーカー別の累積件数をみると、現代自動車が333件で最も多かった。つづいて起亜119件、ルノー102件、韓国GM49件、双龍車46件、BMW 32件、ベンツ22件、トヨタ17件、などと続く。
電気自動車(EV)だけで販売年数が短いテスラ車はどうしても少ない。トヨタの17台とはアクセルペダルの不具合に関するリコールの頃の数字も含むのだろう。
それにしても、やっぱり、ルノー車の急発進疑い例が韓国では多いな・・・🤨
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