Japanese frogmen approached Chinese warship at Djibouti, state media say https://t.co/IBIb3t2tQW pic.twitter.com/V5Z5q9kj4g
— SCMP News (@SCMP_News) 2017年8月2日
ジブチに派遣された中国海軍の軍艦に対して、日本の海上自衛隊がダイバー(フロッグマン、潜水士)を送って接近させたと、8月2日のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が伝えた。これがもし本当なら、祖国から遠い第三国の、地政学的に重要な港で行われた、まれなケースとなる。
A Japanese naval ship sent frogmen to approach a Chinese warship as both ships were docking at Djibouti in eastern Africa, Chinese state media reported.
The incident, if confirmed, would constitute a rare case of Chinese and Japanese naval forces having friction at a key geopolitical port far from their homes.
(赤字強調は管理人による)Japanese frogmen approached Chinese warship at Djibouti, state media say | South China Morning Post
・・・と書いてあるから、そう書いてみたんだけど、😊
中国メディアの記事はこちら。
いきなり「同時期に近くの埠頭に停泊していた日本の軍艦がフロッグマンを派遣し我が艦に接近」と、断定して書いちゃってます。
在军舰靠泊吉布提港休整期间,同时靠泊在邻近码头的日本军舰派遣蛙人抵近我舰。“这是不受国际法支持的危险行为,我舰可以采取必要措施制止直至行使自卫权。”简家民随即作出了判断,并指导进行了光电照射、喊话警告等驱离措施,组织收集了有关证据,而后又通过与吉布提方沟通,揭露了日舰在他国港口违法作业的不正当行为。
(赤字強調は管理人による)
ありがちなのが、アシカやアザラシなど海の動物の見間違えだろう。
(追記:ツイッターで、ジブチに鰭脚類は分布していないのでは?とのご指摘をいただきました。アシカやアザラシに限定して書いたのは誤りでした。)
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检察日报(検察日報)は、中国の最高人民検察院の機関紙。
7月12日に、208日ぶりで帰国したジブチ派遣部隊(海軍第25次護航艦隊)の、ただ一人の法律顧問である简家民検察官(海口軍事検察院)の、現地でのお仕事の紹介記事の中のエピソードのひとつだ。ストレート・ニュースではないインタビュー記事で、それをSCMPが、中国のジブチ基地の運用開始と合わせて取り上げた。
ほかの中国メディアや、日本メディアは伝えていないようだ。(どこかの週刊誌・タブロイド紙やネット・ニュース・サイト、日本のまとめサイトが取り上げそうなネタかなあ。😊)
ーー(追記:当日昼)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
産経新聞が記事にしていました。
日中、ジブチで「軍事摩擦」 中国紙、海自艦を非難「潜水員が違法に接近、警告し追い払った」 - 産経ニュース (2017.8.3 08:41)
SCMPの記事では「もし確かなら( if confirmed,)」と書いている一方、産経新聞の記事では「自衛隊も拠点を置くジブチで日中間の軍事的摩擦が伝えられるのは初めて。」(一部引用)と確認されたかのように書いている。
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー(追記:8/4)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
思っていた以上に、大きな話になっているようです。
自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は3日の会見で「中国側が指摘するような危険行為があった事実はない」と述べた。
(中略)
河野統合幕僚長は3日の会見で「船が入港した場合、安全確保の観点から船底などを点検しており、潜水作業自体は通常のこと。警告を受けた事実も認識していない」と述べた。
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー(追記:8/5)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
中国、国防部新聞局が、環球網の微信アカウント(环环(ID:huanqiu-com))に対して、「中国海軍の艦艇は任務期間中は、周囲の水域の活動状況を厳密に監視し有効な処置を行っている」と回答した。
针对有关媒体报道中国护航编队靠泊吉布提港修整期间遭到日本自卫队舰艇派遣蛙人抵近中国军舰的消息,8月4日中国国防部新闻局回应环环(ID:huanqiu-com) 问询时表示,“我们注意到有关报道。中国海军舰艇在执行任务期间,对周围海域活动情况保持严密监控和有效处置。”
日本の自衛隊の河野統合幕僚長の回答と、中国の国防部(新聞局)の回答の、どちらからも、何か特別な、産経新聞が書いているような「軍事的摩擦」があったとは考えにくい。
あえて言葉にするなら「擦れ違い」。検察日報の、ジブチでのお仕事紹介記事に登場する検察官の、「過剰反応」だったのではないだろうか?
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
記事によると、简家民検察官は「国際法が認めていない危険行為であり、我が艦は自衛権の行使にあたる必要な制止行動をとることができる」と判断し、サーチライトを照射し、スピーカーで警告をして、関係する証拠を収集することを指導。ジブチ当局に対して報告をして、日本の軍艦の他国の港湾での違法行為をあきらかにしたそうだ。
同時期だと第26次派遣海賊対処行動水上部隊の、護衛艦「DD-104 きりさめ」?
どこから、海自のダイバーだと判断したのだろうか???
日時は書かれていない。サーチライトを照射しているので真っ昼間ではない、水面が見えにくい暗い時間帯だったのだろう。😊
最高人民検察院の機関紙の記事だけに、法律的にどうだという部分がとても多い。简家民検察官が、船長や政委を通してジブチ当局に正式に報告したのなら、そう書かれているだろう。派遣部隊のただ一人の法律顧問で、判断を仰ぐ上司もいなさそうなので、ほぼ一人で判断して決めて、ジブチ当局のカウンターパートに報告したのかもしれない。
ーー(追記:当日)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このようなツイートもありました。
中国海軍も海自もジブチ港に専用岸壁持ってるわけじゃないから、隣で作業している海自潜水員にライト当てた程度の話じゃないの pic.twitter.com/Ui5jEMXLuC
— ぱらみり(準軍事組織&LE情報収集アカ) (@paramilipic) 2017年8月3日
ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
検察官の仕事は非常に忙しく、海賊を捕まえた時は昼夜を問わず一ヶ月近く、現地当局とのやりとりを繰り返し、平均の睡眠時間5時間だったそうだ。
中国のジブチ派遣部隊は、2月5日にダイバー対策訓練を行っている。誰が発見したのか書かれていないが、その訓練の印象が残っていて、アシカやアザラシの頭をダイバーの頭と見間違えたのではないだろうか。何かと見間違えたのではないだろうか?
(追記:ツイッターで、ジブチに鰭脚類は分布していないのでは?とのご指摘をいただきました。今朝早い時間帯に、よくある例として書いたもので、ジブチにアシカやアザラシが生息しているのか、海流にのってインド洋から紛れ込めるものか、十分に確認しないまま書いていました。修正いたしました。)
日本军舰派蛙人抵近邻近码头中国军舰 遭警告驱离 - 观察者网
中国海军第25批索马里护航编队出航208天凯旋 官兵家属到港迎接 - 观察者网 (2017-07-13)
捏造報道と言ってみたり、何らかの意図の存在を裏読みするのも大人げない感じ。😊
遠い異国の中東の地での、心身の危険があってストレスが大変そうな、船舶の航行の安全を守るお仕事、海上自衛隊や、他国の軍隊も含めて、ご苦労さま。😊
いまのところ(記事執筆時点)、中国の国防部や、日本の海上自衛隊・統合幕僚監部からコメントは無いようだ。(追記:上の方で追記したように、コメントがあった。)