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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【新型コロナウイルス】飲食店・カフェでのエアロゾル感染、空調クラスターの例|韓国のスタバ、中国のレストラン、日本の飲食店など (2/2)

20201125051440(朝鮮日報より)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。

換気の悪いレストラン・カフェなど飲食店で起きた、感染者の会話でできた飛沫やエアロゾルがエアコンの空気の流れによって店員やほかの客へと感染拡大した例を紹介しています。公式発表と論文としてまとめられたものなど。

 

長くなったので記事を2つに分けました。

1つめの記事。

【新型コロナウイルス】飲食店・カフェでのエアロゾル感染、空調クラスターの例|韓国のスタバ、中国のレストラン、日本の飲食店など - pelicanmemo (2021-05-10)

新型コロナウイルス カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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世界でいちばん有名な、空調による感染拡大が発生した飲食店の例。中国の広東省広州市のレストラン。

 

昨年(2020年)1月24日、春節(旧正月)休みに”武漢市”から来た家族Aが10人で会食。となりのテーブルにいた家族B・家族Cから感染者が発生しました。

 20201125051419(画像はプレプリントから)

家族Aは武漢から電車で1月23日に到着。24日には新型コロナ症状を発症していました。

家族B(4人)と家族C(7人)は、湖北省への旅行歴や旅行者との密接接触歴は無く、感染源とされた感染者の家族A(10人)との接触はこのレストランよりも前にはありません。

このレストランでの感染者は、家族Aの5人と、家族Bの3人と家族Cの2人。

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【新型コロナウイルス】飲食店・カフェでのエアロゾル感染、空調クラスターの例|韓国のスタバ、中国のレストラン、日本の飲食店など

20201125051440(朝鮮日報より)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。

換気の悪い飲食店で起きた、感染者の会話による飛沫やエアロゾルがエアコンの空気の流れによって店員やほかの客へと感染拡大した例を紹介しています。公式発表と論文としてまとめられたものなど。めも。

(注)「空気感染」という表現は「飛沫核感染」「塵芥感染」も含んでいて範囲が広く誤解されがちです(*1)。ここでは「空気感染(エアロゾル)」あるいは「エアロゾル感染」とすこし詳しく書いています。(麻疹(はしか)ウイルスのような「空気感染」例は新型コロナウイルスでは起きてはいないと考えています)
「空調クラスター」とは、特に内気循環型のエアコンなど空調装置による空気の流れによって、換気の悪い店内・室内で発生する集団感染・クラスターを示しています。

 

いずれも昨年(2020年)に中国と韓国、日本で発生した飲食店の店内の集団感染例で、いわゆる”従来株”での感染拡大例です。
感染しやすいN501Y変異を有する英国型変異株やインド型などでは、こういった換気の悪い店内・室内での「空気感染(エアロゾル)」によって感染拡大するケースはさらに増えているでしょう。

詳しい調査は難しいので、発表や報道はまったくと言っていいほどありません。

1人対多数の感染拡大以上に、こういう環境での1〜2人への感染拡大は感染経路不明となるでしょう。 

 

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まず、韓国の全羅北道全州(チョンジュ)市のレストランで発生した感染拡大例。

この例が非常に興味深いのは、聞き取り調査や防犯カメラ映像、スマホ位置情報などから、感染源の客とそこから感染拡大してしまった客(会食グループ)の滞在時間を分単位で時系列で調べているところ。

ここで感染して陽性となった1人が入店してから、感染源の客がマスク無しで会話・会食をしていて店を出るまで、重複していた時間はわずか5分でした。

20201228205249 (JKMS)

感染源の客(感染者B)は2人で入店し、マスク無しで会話・会食をしていました。感染者A~Dの番号は論文表記と合わせています。

 

(1)感染者Cは感染源の客(感染者B)から距離4.8メートルの席にいて、3人で会食。店内で感染者Bと重複した滞在時間はわずか5分でした。
会食グループ3人のうち感染したのは1人(感染者C)だけ。

(2)もう1人の感染者Aは感染源の客(感染者B)から距離6.4メートルの席にいて、2人で会食。感染者Bと重複した滞在時間は21分でした。
こちらも感染したのは1人(感染者A)だけ。

陽性の結果となったこの2人だけが、エアコンから出た風の流れのまっすぐ下流の席に座っていました。エアコンからの風速はそれぞれ1.2m/sと1.0m/sとされています。

たまたま上流にいた感染者がCt値が高く口から排出するウイルス量が多くて、会話をして出ていた飛沫・エアロゾルを浴び続けていたのでしょう。

スーパー・コンピュータ「富岳」によるシミュレーションで明らかにされたように、会話のときに口から出た飛沫やエアロゾル(マイクロ飛沫とも呼ばれる)は、空気の流れにのって遠くまで移動します。

 

この換気の悪いレストランの店内での感染拡大例での店員・客の陽性率は15.4%。

6階建てビルの1階にある、窓や換気装置が無い(キッチンには換気扇はあっただろう)、テーブル13卓・席数約50人分、店舗面積96.6m(9.2×10.5 m)の店。

韓国の医学雑誌の大韓医学会誌(JKMS)で2020年11月23日に公開。フォーブス紙日本語版が記事にしていたのでご存知の方も多いことでしょう。

飲食店でのコロナ感染、わずか5分で発生も 韓国の事例研究 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) (2020/12/22)

Evidence of Long-Distance Droplet Transmission of SARS-CoV-2 by Direct Air Flow in a Restaurant in Korea:: JKMS :: Journal of Korean Medical Science

 

 

日本では、こういう調査はまったくといっていいほど報道されることはありません。
レストランやカフェなど飲食店(接待を伴わない飲食店)での感染拡大の例が報道されるのは、スタッフで陽性がわかった場合か、都道府県や厚生労働省によって「クラスター」と認定されたり保健所の積極的疫学調査によって判明した場合です。

店名を出すことで心ない中傷を受けたお店もあるそうです。少数ですが、お店の側が「注意喚起の役にたてば」と公表に同意してくださる例もあります。情報を有益に使いたく思います。

 

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台湾、海巡署、最大の国産4000トン級巡視船「嘉義」、配備。 多連装ロケット砲を装備。

20210502203434(海巡署長室facebookより)

台湾、国産の4000トン「嘉義」級巡視船の1番船「嘉義 」が4月29日、海洋委員会海巡署に引き渡された。同時に2番船「新竹」の命名式も行われた。

海巡署最大の巡視船となった。全長126.3m、全幅16.5m。4000トン級は公称船型で、満載排水量は5044トン。(総重量6500トンという報道もあった)
これは、中国海警局の5000トン級「海警2501」「海警2502」(同型4隻)(全長128m、全幅16m、満載排水量6470トン(報道より))とほぼ同じ大きさだ。 

 

 

台湾の沿岸警備隊である海巡署では、「自主国防、自主建造(國防自主、國艦國造)」政策に基づいた巡視船艇発展計画(*1)(籌建海巡艦艇發展計畫)によって2018年から10年間で大小取り混ぜて6種類141隻の建造が進められている。内訳は、4000トン「嘉義」級4隻、1000トン級6隻、600トン「安平」級12隻、100トン級巡視艇17隻、35トン級巡視艇52隻、8トン級沿岸多機能艇50隻。(*1)海巡署では「巡防艦艇」と使われる。

 

日本メディアでは、中国の海警局の組織再編や海警法ばかり注目されているが、隣国の台湾でもグレイゾーン事態に対応して沿岸警備隊と”白い船”、巡視船の役割と存在感が大きく変わってきている。
2017~2018年から組織再編と巡視船艇建造計画、有事には海巡署(沿岸警備隊)の船艇を海軍指揮下で運用できるようにする「平戦転換(平戰轉換)」の法整備が進められてきた。分かりやすい例として、新型のカタマラン(双胴船)の600トン「安平」級巡防艦12隻は、有事には雄風II型・III型対艦ミサイル(SSM)4発・4基の装備と運用が可能だ。

 

台湾、行政院、海洋委員会が発足。|海岸巡防署は海巡署に、艦隊分署や偵防分署などを新設。 - pelicanmemo (2018-05-05)

台湾、海巡署、巡視船の舷側に「TAIWAN」の文字を追加 「TAIWAN R.O.C. COAST GUARD」に - pelicanmemo (2021-02-21)

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観客5000人のコンサート実験、コロナ陽性は6人 何が目的でどのように実験が行われたのか? スペイン、バルセロナ

20210429110128(YouTube -  Love of Lesbian - Concierto Palau Sant Jordi (Making Of))

スペイン、バルセロナで3月下旬に行われた屋内の大規模コンサート実験で、チケット購入者のうち当日の抗原検査で陰性だった観客約5000人のうち、講演後に陽性結果と分かったのは6人だけだったと発表された。

マスメディアの日本語記事は端折っていたり説明不足があって、読む側の先入観もあってか、いろいろ勘違いもあるようだ。これについて少し。

 

この実験は「大規模イベントで集団感染が起こるかどうか?」を調べる目的ではもちろんない。

 

これは大規模なイベント参加者で「検疫バブル」集団を作った場合に、集団感染を起こさずに無事にすませられるかどうかを調べた実験と言えるだろう。

「検疫バブル」は、日本ではあまり使われていない表現だ。簡単に書くと、感染していない可能性が高いと信頼できる家族や親族、友達などのグループを作って、そうでない人との接触機会を避けて感染リスクを減らす事を求めるもの。日本での「会食は家族だけで」「不特定多数の人との接触や、会食は避けましょう」などが検疫バブルを作るうえでの初歩的な行動にあたる。

 

昨年12月には500人規模で実験を行い、この夏には3000人規模の実験も検討されている。バルセロナは赤字覚悟で市の文化的イベント、事業の再生を目標にしている。

  

 

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シリア沖、イランのタンカー炎上? ドローン攻撃? → 火災は別の船で、勘違いでした。【画像】

20210426192023

シリア沖で起きたタンカー火災の事件?事故?について情報が錯綜していた。

イランのタンカーというのは間違いで、ドローン(無人機)による攻撃の可能性があるという情報もシリア当局者の勘違いがもとの誤報のようだ。

そこからさらに、イランや中東情勢をからめたデマ情報やプロパガンダに発展している。

”地中海でイランのタンカーに対してドローン攻撃”…、もし、これが事実なら超ド級のニュースなのに、原油市場はまったくと言っていいほど反応しておらず違和感を感じていた。

 

場所はシリアの北西部、タルトゥース県北部の港湾都市バニヤス(バニヤース(Baniyas, بانياس))市の沖。街の北には石油精製施設がある。

火災を起こしたタンカーの船名は「WISDOM」 (IMO: 9182069)。TankerTrackers.comによると、タンカー「WISDOM」はベイルート籍で、イラン籍の大型タンカー「ARMAN 114」が水深制限のため入港できなかったため、軽くするために抜き取り移送の作業を行っていた。

 

ロシアの RUSVESNAが火災があったタンカー「WISDOM」の、消火後の空撮画像を公開した。

20210426192010

沿岸から撮影された画像だけを見ると、イランのタンカー「ARMAN 114」に似た船から煙が上がっているように見える。しかし火災を起こしていたのはその向こう側に隠れていたタンカー「WISDOM」だった。

さらにシリア石油鉱物資源省が、”ドローン攻撃の可能性”といったことを発表したため、そのニュースが世界を飛び回ってしまった。

 

空撮を行ったロシアのRUSVESNA (Русская весна)紙によると、現地の軍事特派員からの情報として、火災は船内で発生した事故だと伝えている。溶接か電気系統のショートが原因らしい。

そして、シリア支援に派遣されているロシア軍の司令官は、船舶火災に対してVSU-5空中消火用バケットを装備したMI-8大型ヘリの派遣を迅速に決定し、総量30m3(海水5トンを6回分)の放水を行って消火活動を支援したそうだ。

火災は船内で発生したため、ドローン(UAV)による攻撃は完全に除外されています。(Google訳)

Атака БПЛА полностью исключена, так как возгорание произошло внутри судна.

Взрыв танкера у берегов Сирии: при чём тут удар БПЛА и операция армии России? (ФОТО, ВИДЕО) | Русская весна (シリア沖のタンカーの爆発:UAV攻撃とロシア軍の作戦は何か関係があるのか​​? (写真、ビデオ)) 

 

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