pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 海上保安庁「しきしま」や「れいめい型」「しゅんこう型」等と、中国海警局の大型船を写真で比較。

20240329204105南日本新聞より)

海上保安庁の巡視船「PLH-31 しきしま (初代)」が今年(2024年)4月15日付で引退することが決まり、れいめい型の「PLH-31 しきしま (2代目)」の命名進水式が3月13日に行われた。配備される鹿児島の海上保安庁第十管区海上保安本部では、れいめい型巡視船の配備と桟橋や給油施設、宿舎など施設整備がすすめられている。

Google Earthで鹿児島の大型巡視船基地をみてみたら、「PLH-31 しきしま」(初代)の他に、れいめい型としゅんこう型が写り込んでいる画像もあった。
せっかくなので、中国海警局の万トン級「海警2901」や5000トン級〜3000トン級、718B型や818型、近頃話題のもと海軍の056型コルベット海警船を並べて、Google Earthの画像で大きさを比較してみた。

前回、「PLH-31 しきしま」と「海警2901」を比較したブログ記事を書いたのは2016年3月だったのでこれをやるのはかれこれ8年ぶり。

 

A桟橋の下側に海上保安庁の巡視船(青色)を、桟橋の上側に中国海警局の海警船(赤色)を並べた。(全部ではないのが残念😁)

20240404201220

中国海警局に所属する艦船の全長は、アメリカ海軍情報局(ONI)から発表されたPLA Navy Identification Guide (2022) などを参考にした。NATOコードネームも一緒に記載した。
(*)印を付けた万トン級「海警2901」と818型海警船は、尖閣諸島の領海や接続水域では確認されていない(海上保安庁からの発表がない)

鹿児島海上保安部七ツ島巡視船基地の設計図面を読むと、A桟橋・B桟橋は約180メートル(連絡道30メートルは含まない)なので「PLH-31 しきしま」(全長約150m)や「海警2901」(全長165m)など大型船の大きさ比べには、なにげに使いやすかったりします😁。

 

https://www.oni.navy.mil/Portals/12/2022_PLAN_Recognition_Poster_UNCLASSIFIED.pdf
PLA Navy Identification Guide (2022)  (pdf)
 (3.7MB)

【中国海警局】2022年版・中国海軍、中国海警局、等の船舶一覧 - アメリカ海軍情報局| 日本語つけてみた🙂 - pelicanmemo (2022-12-17)

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中国のフルデプス有人深海潜水艇「奮闘者」号、ジャワ海溝の最深部へ インドネシアと共同探査

20240328200259

3月22日、中国科学院 深海科学・工学研究所(IDSSE-CAS)とインドネシア国立研究革新庁(BRIN)はジャワ海溝における両国共同科学調査遠征を成功裡に終了した。

中国の1万メートル級・フルデプス有人深海潜水艇「奮闘者」号を使い、ジャワ海溝(スンダ海溝)(*)の最深部、水深7,178メートルまでの潜水が行われた。今回の潜水でインドネシアによる深海潜水記録が更新された(*1)
(*)インドネシアと中国の両方の発表と報道で「ジャワ海溝(Palung Jawa, 爪哇海沟)」が使われているので、ここでもスンダ海溝でなくジャワ海溝の方を使用する。

 

調査航海は2月28日から3月22日まで行われ、インドネシアから研究者4人とセキュリティ担当者1人、中国の研究者15人、支援研究母船「探索一号」と「奮闘者」の乗組員40人が参加したそうだ。ジャワ海溝(約3200km(ジャワ島〜スンバ島))で22回の潜水が行われ、うち14回は水深6000m超だった。

インドネシア国立研究革新庁(BRIN)(*)の海洋微生物研究者 ユスティアン・ロヴィ・アルフィアンサー(Yustian Rovi Alfiansah)氏は、「今回の海洋科学調査はインドネシアの深海の生物多様性を研究し、スンダ・サブダクション・ゾーン(沈み込み帯)の独特の地質学、生物学、環境、およびジャワ海溝の超深海(Hadal)生態系への潜在的な影響に関する新たな情報を得ることを目的としている」と述べた。
(*)BRIN(Badan Riset dan Inovasi Nasional (National Research and Innovation Agency))

 

南シナ海では、インドネシアのナトゥナ諸島沖EEZでの中国漁船の違法操業と、中国が一方的に主張する”九段線”の管轄権の主張と実力行使など両国間に海洋権益に関する軋轢がある。それにも関わらず、今回の中国との国際協力をインドネシアの海事・投資調整省(CMMAI)大臣は前向きに評価する発言もしている。

実際問題、インドネシアは長大な海岸線を持つ島国であり管轄する海域も広大なのに、海洋調査は充分には行われていないため19%ほどしか海洋地図が作成されていないそうだ。自国での調査をすすめたくても機材や人材、技術力や時間など足りないものは多い。こういうとき、複数の有人深海潜水艇と支援母船をもつ中国の強みが発揮される。
中国との共同研究や有人/無人潜水艇の共同開発を模索する国はほかにもあるだろう。

 

20240328200405(新華社より)

 

中国、フルデプス有人深海潜水艇「奮闘者」号、潜水作業回数が累計230回、「蛟竜」「深海勇士」と合わせて1100回超 - pelicanmemo (2024-03-12)

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英国で「酔っ払い」表す英単語、546例。 理由は「酔っ払い」が多いから? 元の論文を調べてみた。

 

先日少し話題になっていた、英国では「酔っ払い」「酔っていること」を表す単語が546例もあるという記事。記事コメントやX(twitter)の反応を読むと、「酔っ払いが多いから」という感想のほかに、他の国には「〜を表す単語がたくさんある」「日本では〜を表す単語がたくさんある」といった比較もされていた。

例えば、国際政治経済学の鈴木一人氏のX(twitter)によると「フィンランド語では「雪」を示す言葉が11種類」あり、英国ガーディアン紙の記事によるとノルウェー北部やスウェーデン、フィンランド、ロシアに住むサーミ人は雪を表す言葉を300 以上持っていると言われている。"Åppås" は冬の手つかずの雪を意味し、 "Säásj" は緩んで粗くなった古い雪、 "Tsievve"はトナカイですら掘ることが出来ないくらい硬くなった雪を差すそうだ。確かにまるで、日本の雪や雨、天気や色彩を表現する単語の多彩さのよう。

 

最初は同じように、英国で「酔っ払い」を表す単語が多いのは「酔っ払い」や「酔っていること」に対する解像度が高かったり、”般若湯”や”賢人”や”聖人”という隠語が多いのだろうと思っていた。

たとえば、酔っている程度によって違う単語が使われ、ほろ酔い、泥酔、酔い加減のグラデーション、エールやビールやウイスキー、飲んでるものの違いから、街角パブでの流行語、政治談義とボクシング、笑い上戸に泣き上戸、やぶらこうじのぶらこうじ、等々それぞれの酔っ払いによって違う単語があるのだろう、そう、いっぱい(1杯?一杯?)やりながら🍻読んでいて感じた。

 

ちょっと気になったので、英国メディアの記事と元の論文を読んでみると、英国で「酔っ払い」「酔っていること」を表す単語が546例もあるのは、そんな隠語の数が多いとか解像度が高いというわけではなかった。また「酔っ払いが多いから、それを表現する単語も多い」というのは勘違い(酔っ払いが多くないと言っているわけではない)のようだ。

 

これが言語学者によるもので認知言語学の学会誌で発表というところをスルーせず、素面のときに読んでいたら見落とさなかったのかもしれない。🥂

英国では「酔っ払い」「酔っていること」を表す英単語が546例もあるとの研究結果が明らかになった。ドイツ・ケムニッツ工科大学のクリスティナ・サンチェスシュトックハマー教授ら2人の言語学者が2月、認知言語学の学会誌で発表した。

英国ではパブが連日盛況で、飲酒は日常の風景となっている。同教授や英メディアはこうした飲酒文化に加え、英国人の「ユーモアのセンス」が関連語を多くしたと分析している。

英国で「酔っ払い」表す英単語、546例も パブ飲酒文化など影響? | 毎日新聞

 

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【中国海警局】 第24回北太平洋海上保安フォーラム専門家会合、東京で開催 めずらしく中国海警が公式発表

20240313195643

中国海警局 微博より)

3月4日〜8日、第24回北太平洋海上保安フォーラムの専門家会合が東京で開催された。中国海警局が公式SNSで伝えた。

長官級会合や、中国で開催されている会合や訓練では公式発表を行ったり新華社など中国メディアが報じることもあったけれども、実務者による専門家会合への参加をわざわざ発表するのはめずらしい。

どういう心境の変化だろう?  🤔

海保はまた発表していないのに 🙃

 

今年は日本で、海上保安庁の主催で開催されている。専門家会合はニュー・オータニで行われたようだ。

中国海警局の発表によると、専門家会合には中国海警局、カナダ沿岸警備隊、海上保安庁、韓国海洋警察庁、米国沿岸警備隊(記載順は中国海警局の発表に合わせた)等フォーラム構成メンバーが参加した。ロシア国境警備局は参加しなかったらしい。

本次会议由日本海上保安厅主办,中国海警局和加拿大海岸警备署、日本海上保安厅、韩国海洋警察厅、美国海岸警卫队等论坛成员参会,中方牵头打击非法贩运工作组。

今回、中国海警局は違法な密輸や人身売買の撲滅に関する作業部会を主導している。これは今回初めてではないし、とくに目新しいことでもない。

 

南シナ海でのフィリピン沿岸警備隊へのハラスメントや傭船の貨物船艇への高圧放水銃を使った攻撃は国際的に非難をされ、台湾の大陸近くに位置する離島の金門島沖で起きた中国の小型高速漁船の転覆・死亡事故もあり、中国海警局や地方組織の強硬な発言と対応がエスカレートしていかないか懸念されている。

これに対し中国海警局は多国間の海洋協力で貢献していることを、全人代が開催されている間に内外へアピールしたい意図があったのかもしれない

 

 

北太平洋海上保安フォーラム(NPCGF (North Pacific Coast Guard Forum))は、北太平洋における海上の安全・セキュリティの確保、海洋環境の保全等を目的とした各国間の連携・協力について、北太平洋地域に位置する主要6カ国(米国、カナダ、日本、韓国、中国、ロシア)の海上保安機関の長が一堂に会する多国間の枠組み。2000年に東京において第1回会合を開催した後、毎年開催国を代えながら長官級会合(9月頃)及び専門家会合(3月頃)を開催している。

北太平洋海上保安フォーラム - 海上保安庁

【中国海警局】北太平洋海上保安フォーラム、多国間多目的訓練(2023年)を浙江省寧波で開催 - pelicanmemo (2023-08-20)

【中国海警局】北太平洋公海漁業パトロール、2023年度は日付変更線まで - pelicanmemo (2023-09-17)

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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中国、フルデプス有人深海潜水艇「奮闘者」号、潜水作業回数が累計230回、「蛟竜」「深海勇士」と合わせて1100回超

20240310203051交汇点/新华报业网 より)

中国の全国人民代表大会(全人代)と合わせて開催された中国人民政治協商会議(全国政協)で3月4日、会議場の外で行われる集団記者会見「委員通道」が実施され、全国政協委員(江蘇省)で中船(中国船舶重工股份有限公司)第702研究所副所長の葉聡(叶聪)が中国の有人深海潜水艇の実績と最新の成果などを発表した。

葉聡(叶聪)は、1万メートル級・フルデプス有人深海潜水艇「奮闘者(奋斗者)」号の総設計師で、7000m級有人深海潜水艇「蛟竜(蛟龙)」号の主任設計士とテストパイロットを勤めていた。1979年11月生、43才と若い。

彼のチームメンバーの平均年齢は34才で、何人かは95后(1995年生まれ)と言い、若い科学人材の育成は自分の職務での重大な関心事の一つだと述べた。

中国の3隻の潜水船、潜水作業回数は累計1100回超--人民網日本語版(2024年03月05日) 

叶聪委员亮相2024全国两会首场“委员通道”:培养更多青年科学家担重担、挑大梁 - 人民网 (2024/3/5)

20240310203047交汇点/新华报业网 より)

フルデプス有人深海潜水艇「奮闘者」号「奋斗者」中国語読み Fendouzhe、英語名はStriver)は、2020年に海試が行われ同年11月にはマリアナ海溝チャレンジャー海淵で中国初の水深1万909メートルの有人潜水記録を成功させた。それから2023年までの4年間に累計230回の潜水が行われた。そのうち水深1万メートル超は25回、潜水士と科学者ら32人が潜ったそうだ。

 

水深1万メートル以上の、世界でもっとも深い海の底に到達した人類は宇宙に行った人数よりも少ない。

2018年まではわずか3人(*1)、2019年からCaladan Oceanic社のDSV「リミティング・ファクター(Limiting Factor)」では20人以上が潜水している。さらに「奮闘者」号によって世界最多の人数が超深海の水深1万メートルへ送り込まれている(国際共同研究で外国籍の科学者が搭乗したケースもある)

「蛟竜」号と4500m級「深海勇士」号と合わせて潜水作業の回数は累計1100回以上、この3年間は、世界の有人深海潜水の半分以上を中国が行っている。日本語ではほとんど話題にならないが、これらは意識しておいた方がよいところだ。
(*1)1960年1月の「トリエステ (Trieste)」で2人、2012年3月「ディープシー・チャレンジャー (Deepsea Challenger)」で1人。

List of people who descended to Challenger Deep - Wikipedia

 

 中国、フルデプス有人深海潜水艇「奮闘者」号、マリアナ海溝での水深1万m超の潜水と着底に成功。 ”双船双潜” - pelicanmemo (2020-11-22)

中国、1万m級・フルデプス有人深海潜水艇、「奮闘者」号と命名 - pelicanmemo (2020-06-21)

深海 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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