pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【地図】 東シナ海を炎上して漂流、沈没したタンカー「SANCHI」号、その後 燃料の流出と海洋汚染の恐れ

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交通运输部より)

中国・上海市の東の海上で、貨物船(香港船籍)と衝突し炎上、漂流していたイラン国営タンカー会社のタンカー「Sanchi(サンチ)」(パナマ船籍)は1月14日午後に大爆発の後に沈没した。
中国の交通運輸部によると、沈没したのは「北緯28度22分, 東経125度55分」の海域、水深は約115m。大陸棚の海域で沈没した。

 

ーー(追記:02/17)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

奄美大島と周辺地域での油状漂着物についての情報源・リンク(海上保安庁、環境省、水産庁、ほか) - pelicanmemo

ーー(追記ここまで)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 

沈没した海域と周辺の海面で、積み荷のコンデンセート(軽質原油)や、燃料油の重油と考えられる油が確認されている。

日本メディアの記事はほとんど見かけなくなったが、中国の交通運輸部や国家海洋局は、沈没した海域の警戒と監視を行い、状況を発表している。農業部も、東海水産研究所の調査船2隻を派遣して、衝突した海域から沈没した海域での漁業への影響調査を始めた。

【地図】 東シナ海を炎上して漂流していたタンカー「SANCHI」号、大爆発の後に沈没。 - pelicanmemo (2018-01-15)

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国家海洋局から、毎日、海面の油の状況等が発表されている。

1月20日の発表によると、午前6時に沈没地点から東南方向約5kmで、長さ約4km・幅約400mの黒褐色と銀白色の流出油の帯(タンカーの燃料の重油と思われる)を確認した。北西方向では複数の流出油(積み荷のコンデンセート原油と思われる)を確認した。衛星からのリモートセンシングによると、20日の海面の流出油は3ヶ所あり総面積は約199.6平方kmまで拡大している。

 

海上保安庁の水路通報・航行警報ウェブサイトによる、沈没直前の1月14日午後8時の、タンカー「Sanchi」号の位置はここ。西高東低の冬型の気圧配置となると、海面の重油は西寄りの風の影響を受けて流され、南西諸島へ近づかないか心配だ。

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水路通報・航行警報 位置図(ビジュアルページ)より)

国家海洋局の調査船による水質検査の結果、 海水サンプルの石油類物質の濃度が、15日には最大で1,261μg/Lもあったものが19日までには50μg/Lとなり、流出したコンデンセート原油は拡散と希釈が続いているようだ。しかし20日に再び500μg/Lの結果が出ている。タンカーの燃料油によるものではないだろうか。
タンカーには、1000トン以上の燃料油の重油が積まれている。

国家海洋局积极开展东海海域油轮碰撞事故应对工作(九) - 国家海洋局 (2018-01-20)
国家海洋局积极开展东海海域油轮碰撞事故应对工作(八) - 国家海洋局 (2018-01-19)

 

1月19日午後、国土交通部と国家海洋局による、最初の合同記者会見が行われた。

20180121093124(交通運輸部|观察者网より)

衝突から沈没までの、消火活動、捜索救助活動の様子が詳しく発表されているので、詳細を知りたいなら、一読の価値アリでしょう。観察者網が詳しく報道しています。 

交通部:“桑吉”事故救援难度高无先例,这是第一次 - 观察者网 (2018-01-19)

 

枝葉末節な事だが、初期の捜索救助活動で、海事局や上海サルベージ局国家海洋局、中国海警局などの公船の他、中国軍の無人機も加わっていたことが分かった。捜索救助活動には、韓国の海洋警察庁の巡視船「3006 太平洋6号 」や日本の海保の巡視船「PL-69 こしき」、沖縄の在日米軍のP-3C警戒機も参加していた。

 

 

また中央電視台(CCTV)が、炎上しているタンカーに、沈没の前日の13日に移乗したレスキュー隊員4人の独占インタビューを行った。

20180121093127央视网より)

爆発や炎上による二次災害の危険がある中、救命艇デッキで船員2人の遺体を発見、居住区やエンジン室へは摂氏89度の高温のため近づけなかったが、ブリッジ近くからブラックボックス(航行情報記録装置)も回収した。
酸素ボンベの残量が少なくなったため、26分で、遺体とブラックボックスとともに上海サルベージ局の船「深潜」へ帰還している。 

独家视频丨26分钟生死较量 登上“桑吉”轮 他们经历了什么? - 央视网

真正的勇士!登上燃烧桑吉船的就是他们! - 新浪网

 

回収されたブラックボックス(Voyage Data Recorder, VDR)。航行記録から、衝突事故の原因の調査が行われている。貨物船「CF Crystal」(香港船籍)の方は、衝突事故の後に船首付近が炎上していたが、消火され、港に曳航された(船員21人(全員が中国国籍)は、付近を航行していた漁船に救助された)

20180121093126央视网より)

 

タンカー船員2人の遺体を運ぶレスキュー・チーム。🙏

20180121093129央视网より)

20180121093130央视网より)

 

沈没したタンカーは、コンデンセート原油や燃料油の漏出を止め、水深115mの海底から引き揚げられる予定だそうだ。

上海沖沈没のタンカー、油の流出拡大 環境汚染に懸念:朝日新聞

タンカー沈没 中国が流出油の影響調査で船派遣 | NHKニュース

视频|桑吉轮溢油带渔业资源调查启动 2艘调查船今起航 - 看看新闻

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