pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】 尖閣諸島の接続水域内に中国海警局の船7隻。2016年8月以来。

20210903194323
 【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」 (@nose_anpo)  twitterより)

8月末、沖縄県の尖閣諸島の接続水域や領海で、中国海警局に所属する船7隻が確認された。そのうち2隻〜4隻は日本の領海に侵入し、日本漁船に接近する動きをみせた。少し遅れたけど、これについて少し。

 

領海侵入した中国海警局の船は8月28日~29日にかけて2隻と、8月30日に4隻(2隻は重複している)。この4隻は8月15日から毎日のように尖閣沖で確認されていた「海警2302」「海警6402」「海警1301」と機関砲を搭載した「海警2103」だった。

そして8月30日に新たに「海警2203」「海警12603」「海警13601」の3隻が接続水域で確認された。この3隻も機関砲を装備している。

尖閣沖の接続水域と領海で中国海警局の船が7隻が確認された、と海上保安庁から5隻よりも多くの発表があったのは2016年8月以来となる。

【中国海警局】 尖閣諸島で確認された中国の公船18隻(8月4日〜16日)、まとめ 辺防海警、漁政、緝私、海監など - pelicanmemo (2016/08/07~)

 

30日未明、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国海警局の船4隻が日本の領海に侵入し日本の漁船に接近する動きを見せたということです。
また、領海の外側の接続水域には、海警局の船3隻が航行していて、尖閣諸島の周辺で中国公船が5隻以上連続して航行しているのは、平成28年8月以来です。

尖閣諸島 中国海警局の船4隻が領海侵入 接続水域にも3隻|NHK 沖縄県のニュース (2021年08月30日)

 

8月16日に中国が設定した休漁期が明け、尖閣諸島の接続水域の外側で中国漁船数十隻が確認されており19日夕方には約100隻が確認されたと報道されている。

実のところ、それら中国漁船の監督管理し違法操業を取り締まる(目を光らせる)ために、東シナ海の広い海域に中国海警局や地方の省海洋漁業局の公船が航行をしている。

・・・していないと考える理由は無い。

日中漁業協定によって東シナ海では、お互いの排他的経済水域(EEZ)での海洋生物資源の量的管理を行っている。尖閣諸島を含む北緯27度以南の海域は棚上げ状態であり、実際にはそこでも日中それぞれが自国の漁船の取締り活動を行っているだろう。

中国海警局が正式発足する前には、東シナ海の暫定措置水域やその南側で、中国漁船群の近くに省レベルの漁業局(漁政)の漁業取締船が活動していたものだ。では今回、尖閣沖の接続水域に新たに入ってきた中国海警局の船3隻はそれだったのか?と見ると、少し毛色が違っていた。むしろ、例の2016年8月の休漁期明けのときに居たのと同じタイプの船だった。

4隻の中国海警局の船が、日本漁船5隻に対するハラスメントのため日本の領海に侵入している間に、尖閣周辺にいる中国漁船の監督管理という名目と主張をする意味で別の3隻が入域したのだろう。

 

30日未明、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国海警局の船4隻が日本の領海に侵入し日本の漁船に接近する動きを見せたということです。
また、領海の外側の接続水域には、海警局の船3隻が航行していて、尖閣諸島の周辺で中国公船が5隻以上連続して航行しているのは、平成28年8月以来です。

尖閣諸島 中国海警局の船4隻が領海侵入 接続水域にも3隻|NHK 沖縄県のニュース (2021年08月30日)

確認された7隻のうち領海内で4隻、接続水域で3隻が今も航行を続けていて、このうち領海内の1隻と接続水域にいる3隻には「砲」のようなものが搭載されているということです。

尖閣周辺に7隻の中国海警船 うち4隻が領海侵入|テレ朝news (2021/08/30)

中国公船4隻が領海一時侵入 尖閣周辺、3日連続 - 産経ニュース

中国公船4隻が尖閣沖侵入、うち1隻が「砲」搭載か : 読売新聞オンライン

 

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

Ads by Google

 


八重山日報(8/31)によると、8月30日に尖閣諸島の領海に侵入した中国海警局の船4隻は「海警1301」「海警2302」「海警6402」と機関砲を搭載した「海警2103」。午後0時半頃から相次いで領海を出た。
30日午後3時時点に接続水域では、「海警1301」のほか、機関砲と搭載した「海警2103」「海警2203」、そして新たに確認された2隻「海警12603」「海警13601」の5隻が航行した。

 

海上保安庁から発表された新たな2隻の画像は、巡視船から撮影されたものではなく航空機から撮影されたものだった。

20210903194323
 【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」 (@nose_anpo)  twitterより)

 

現時点で関連情報がほとんど無いため、接続水域の外側を航行していた中国海警局の船3隻が入り込んだのではなく、海上保安庁の巡視船の展開情況や航空機のパトロールのパターンの隙をついて尖閣諸島へ接近してきて、接続水域へと入ったようにも感じられる。海保の巡視船はそれらの行動をフォロー出来ていなかったのかもしれない。

 

 

 

「海警2203」は、尖閣沖で何度も確認されている2000㌧級の元海軍のミサイル・フリゲート。前の艦名・番号は「海警31241」。FNN『週刊安全保障』公式ツイッターが報じた画像はこれまでと同じように、海上保安庁が最初に確認した時(2019年8月15日)に撮影された資料写真だ。(参照
20190816214914

 

 

「海警12603」は600㌧級密輸取締船。中国海警局(武警・海警総隊)となる前に、税関総署(海関)で建造された9隻のうち1隻。舷号(船名・番号)から「海警12603」は上海海警の「もと海警31103」だろう。

この画像では停止して漂泊しているようだ。

20210831200216

2016年8月には同型の「海警35104」(当時)が尖閣沖で確認されていた。

全長68m、全幅8.7m、型深さ5m、計画排水量600トン。最高速度30ノット以上。機関砲1基と重機関銃2基。船尾にスリップウェイを装備し、2隻の大型搭載艇を迅速に運用できる設計となっている。

20160806205111(海警35154(当時))

 

 

「海警13601」は、公安部辺防海警部隊などで運用されてきた618B型・600㌧級警備船。
舷号(船名・番号)のパターンと既存データから、浙江海警の「もと海警33101」と推測される。

20210831200212

2016年8月にも同型の「海警33102」(当時)が尖閣沖で確認されていた。(この船が後に「海警13602」と変わった事が確認できている)

全長63.5m、全幅9m。満載排水量650トン。最高速度25ノット。航続距離2000海里。単管30mm機関砲を装備する。

20160812121428(「海警33102」(当時))

南シナ海のパラセル諸島(中国名:西沙、ベトナム名:ホアンサ(Hoàng Sa))の沖で起きている、中国海警局によるベトナム漁船へのハラスメントや漁船へ移乗して行われる操舵室の破壊や漁獲物の略奪(中国側は摘発と言っている)のニュースでよく見かける船だ。

 

2014年の「西沙諸島沖での海上”衝突”戦」の時は、中型艦船での主力として、ベトナム沿岸警備隊の巡視船へ船体を衝突させるなど強い対応をしていた。
(中国の海南島の基地から西沙諸島沖(西沙諸島とベトナム本土との間の海域)へは200~250km、中国の浙江省や福建省の大陸沿岸の基地から尖閣諸島沖へは300~350km)

【中国海警局】 尖閣諸島で確認された中国の公船18隻(8月4日〜16日)、まとめ 辺防海警、漁政、緝私、海監など - pelicanmemo (2016/08/07~)

 

 

8月30日に尖閣諸島の領海内で漁業操業を行った日本漁船は「第一桜丸」「恵美丸」「理恵丸」「第八泰正丸」「ZENKОUMARUⅡ」の5隻。チャンネル桜(YouTube)によると「理恵丸」は初参加だそうだ。それぞれ漁業者3人ずつが乗船していた。

その前の8月28日から29日にかけて、沖縄県石垣市の仲間均市議ら3人が乗る「鶴丸」(9.1㌧)が尖閣の領海内で操業を行い、この時も中国海警局の船2隻が接近していた。