(海上保安庁より、FNN)
8月31日、中国海警局の公船4隻が、尖閣諸島の接続水域を出、入れ替わるように別の4隻が入ってきた。
第11管区海上保安本部によりますと、沖縄県の尖閣諸島の沖合を航行していた中国海警局の船4隻は31日午前7時すぎに日本の領海のすぐ外側にある接続水域を出ましたが、入れ代わるように別の4隻が接続水域に入りました。
尖閣沖 中国海警局の船4隻が接続水域に | NHKニュース (2019年8月31日)
前の4隻は、これまでの中国海警局の船首番号のパターンと、実際の船が違っていた。
今回も、4隻のうち3隻で同じ違いが見られる。
武装警察部隊・海警総隊(中国海警局)(以下、武警海警総隊とも)となって1年が過ぎ、中国海警局への再編統合、正式発足の前から引きずっていた船の所属と番号の、再編成が行われているのだろう。
【中国海警局】領海侵入のニュースの裏側 | 海警局の船に再編成の動き - pelicanmemo (2019-08-18)
中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
入れ替わった4隻は「海警2501」「海警1301」「海警1305」「海警14603」。
5ケタの海警船でも番号ルールの変更と再編成が行われているようだ。これについて少し。
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【#尖閣情勢】第11管区海上保安本部によると中国・海警局の#海警1301・1305・2501・14603の4隻は8月31日7時、魚釣島西北西にて接続水域入域。9月2日9時、久場島北東33kmを北北西向け航行中。#週刊安全保障 #尖閣 #接続水域入域 #海警 pic.twitter.com/HSg1CRcsGq
— 【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」 (@nose_anpo) September 2, 2019
FNN #能勢伸之の週刊安全保障 のツイートの、船の画像を見ると、4隻のうち3隻の船首の番号は、これまでのパターンと実際の船とが違っていた。
一方、海上保安庁第11管区海上保安本部からの発表の中で、「初確認」の船は伝えられていない。すべて尖閣沖で確認済みの船だ。(八重山日報の記事では3隻が初確認と書かれていたけど、記者さんの勘違いと思う)
比較的に分かりやすい3隻は後で書くことにして、まず、気になる「海警14603」について。
「海警14603」という番号は、これまでの船番号のパターンからは説明が出来ない。
「海警14603」は、その船体と上部構造物や主要装備が、国家海洋局・中国海監総隊の頃の“1000㌧級II型 海洋監視船”と、とてもよく似ている。
「海警14603」は「海警2166(もと海監66)」だろう。
(同型船は4隻。海警1123(もと海監23)・海警1126(もと海監26)(この2隻は北海総隊)、海警2166(もと海監66)(東海総隊)、海警3175(もと海監75)(南海総隊)。
海上保安庁から“初確認”の船は発表されていない。4隻のうちの海警2166(もと海監66)と海警1126(もと海監26)が当てはまる。AIS情報から「海警2166(もと海監66)」だろう。)
次の画像は、以前の番号「海警2166」。
さらに前の船名「海監66」の頃から、尖閣沖で確認されていて、石垣島の漁船を追いかけたこともあった船だ。
この画像は6年以上も前、2013年7月24日に、尖閣沖ではじめて「海警2166」の番号で確認された時のもの。
その後、新たに、船橋の上に停船命令等を表示する電光掲示板が設置された。レドームの数が減り、ホイップアンテナも整理されたようだ。
【尖閣】中国海警局の監視船4隻が、尖閣諸島の海域に。「海警2350」「海警2166」「海警2101」「海警2506」とは。: メモノメモ(2013年7月24日)
海警2166 : 中国海警局|尖閣周辺で確認された海警船。(船名の新旧対照まとめ)(2019/06/18 更新) - NAVER まとめ (2013.07.29)
1290吨的新型“海监66”船交付中国海监东海总队 - 凤凰网
それよりも、「海警14603」の “番号” の方が大きな変化と感じる。(特に管理人的には、🙄)
中国海警局の公船の舷号(船首番号)は、基本的に、次のルールで付けられていた。
【中国海警局】船名・船舶番号「海警xxxx」を簡単に読みとく方法 - pelicanmemo (2015-08-04)
数字5ケタ(例:海警46101)は、地方海警部隊。
「海警ABCDE」の場合、1,2番目の数字(AB)は、中国の行政区分のコード番号だった。
(沿海の省(直轄市・自治区)のコードは、12-天津市、13-河北省、21-遼寧省、37-山東省、31-上海市、32-江蘇省、33-浙江省、35-福建省、44-広東省、45-広西チワン族自治区、46-海南省。)
「海警14603」で該当する14番は山西省だが、内陸の省であり、中国海警局に再編統合された3海区総隊・11沿海省(直轄市・自治区)総隊には入っていない。「海警14603」は山西省の所属ではないはずだ。
「海警14603」(もと海警2166(もと海監66))は、国家海洋局・中国海監総隊の頃、2011年2月に、東シナ海を管轄する東海総隊第6支隊に配備された。支隊本部は福建省厦門市にある。
「海警14603」の“14”は、福建省を示すのではないだろうか? 🤔
国家海洋局・中国海監総隊(中国海警局)の頃(〜2013年)は、省総隊の船の番号(4ケタ)は、沿海の省(直轄市・自治区)に、北から南へ、順番に割り振られていた。単純で分かりやすかった。
(遼寧(辽宁)省「10xx」、河北省「20xx」、天津市「30xx」、山東(山东)省「40xx」、江蘇(江苏)省「50xx」、上海市「60xx」、浙江省「70xx」、福建省「80xx」、広東(广东)省「90xx」、広西チワン族自治区(广西)「11xx」、海南省「21xx」)
【再掲】 中国海監、海洋監視船の船番号「海監xxxx」(4桁)のつけ方、まとめ。【中国海警局】 - pelicanmemo
2013年、中国海警局に再編統合された後は、前述したように、行政区分のコード番号が使われた。これは、公安部・辺防海警局の船艇番号に合わせたルールと思われる。
【中国海警局】船名・船舶番号「海警xxxx」を簡単に読みとく方法 - pelicanmemo (2015-08-04)
武警・海警総隊(中国海警局)となった(2018年〜)ことで、中国共産党の中央軍事委員会による直接の指揮下となり、国務院(行政組織)との二重支配体制では無くなった。
そこで、行政組織のルールには拠らない、武警部隊や軍組織の方の文法での、新たな船艇の番号パターンが作られているのかもしれない。
たとえば陸上での、車両のナンバーは、人民解放軍や武警部隊は、民間車両ナンバーとは少し違う番号のルールを持っている。(07式車牌や、後の2012式車牌)
次に、「海警ABCDE」の数字の3番目(C)。
排水量トン数(推測)を示していた。(0・・・500トン級(1000トン未満)|1・・・1000トン級、1500トン級|2・・・2000トン級(推測))
では「海警14603」は6000㌧級?🤔 →いや、1000㌧級II型だ。😊
海警船の舷号5ケタの数字の3番目は、単純に排水量の数字を示したのでは無くなったらしい(推測)。
これは、あくまでも当ブログ管理人による推測だけど、この3番目の数字は市や県を示しているのではないだろうか?
国家海洋局・中国海監総隊の、番号4ケタの船は似たルールで付けられている。
(例えば福建省の場合、福州市「801x」「807x」、厦門市「802x」、寧徳(宁德)市「803x」、莆田市「804x」、泉州市「805x」、漳州市「806x」、等。)
(注:中国海監総隊は無くなったが、地方海監の海洋監視船艇はいまでも活動している)
「海警14603」は、武警海警部隊(中国海警局)の“福建省”支隊に所属し、埠頭がある“厦門市”の支隊・大隊ということかもしれない。
合っているのか、間違っているのか?🤔
他の船の舷号の変化など、続報を待ちたい。
【中国海警局】領海侵入のニュースの裏側 | 海警局の船に再編成の動き - pelicanmemo (2019-08-18)
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付け足しのようになっちゃったけど😅、ほかの3隻について。
「海警1301」は、外見から海監型3000㌧級。東海分局の「海警2307」だろう。
(前回の4隻のうちの1隻「海警1302」は「海警2308」だと考えられる。
外見から2306か2307の可能性が高く、AIS情報と合わせて「もと2307」だろう)
(海保提供のFNNが報道した画像が暗かったので、全体的に明るくなるよう画像調整をした)
次の画像は、以前の番号「海警2307」。
「海警1305」は、外見から漁政型3000㌧級。東海分局の「海警2303」だろう。
(同型の"漁政船"は12隻で、東海区漁政局(当時)には「海警2302」「海警2303」「海警2304」の3隻が配備された。AIS情報から「もと2303」と思われる。
「2304」は江蘇海警総隊の旗艦なので、もしかしたら5ケタ番号に変わるのかもしれない。)
次の画像は、以前の番号「海警2303」。
(FNN #能勢伸之の週刊安全保障のツイート・報道で使われている画像はなぜか横に潰れているので、美人さんに直しました。😊)
(← オリジナルはこんな画像)
【中国海警局】 3000トン級「海警2303」、尖閣沖ではじめて確認 30mm機関砲"のようなもの"を装備 - pelicanmemo (2018-01-16)
「海警2501」は、外見から5000㌧級。東海分局の「海警2501」だろう。😊
同型船は4隻、「1501」「2501」「2502」「3501」。
次の画像は、これまでにFNN #能勢伸之の週刊安全保障のツイートで使われてきた「海警2501」の画像。まったく同じ画像だ。
海上保安庁第11管区海上保安本部から、マスメディアに対して、「2501」の最新の船体の画像が提供されなかったのではないだろうか?
海上保安庁も「2501」は以前と同じ「2501」だと判断したのだろう。AIS情報からも「2501」。
当ブログ管理人は、この「海警2501」は古い番号のままなのではなく、新しいルールに則った新しい番号「海警2501」で、たまたま同じになったと思っている。
「2501」の新しい船体の写真が出てこなかったのが、ちょっと残念。
初確認の時に撮影され、その後に、船橋構造物や装備に変化があるのかどうか、曖昧なままだ。😊
【中国海警局】 「海警2501」空撮画像 5000トン級新型海警船の装備 - pelicanmemo