【アフリカ豚コレラ】フィリピン、国内製ソーセージ等からウイルス検出。国産の豚肉が原因か？

20191025052244 (Manila Bulletin Newsより)

フィリピンでも発生したアフリカ豚コレラ(ASF)。
7月25日にマニラ首都圏近くの州で発生し（9月9日にフィリピン農業省から公式発表）、FAO（国連食糧農業機関）の10月31日発表によると、ルソン島の７つの州･市の22地区に拡がり、約62000頭が病死・殺処分されている。

今のところ、ルソン島の中部のマニラ首都圏（メトロ・マニラ）と周辺地域、そして島北部の１州でASF発生（政府の公式発表は無いが、ほぼ確実）しており、さらに拡大する危険性は高い。

農業省(DA)は10月24日、ルソン(Luzon)島からミンドロ(Mindoro)島への船便で運ばれていた豚肉の加工食品から、アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルスのDNAが検出されたと発表した。

ウイルスが検出された豚肉加工食品は、フィリピンの特徴的な加工食品名のホットドッグ(hotdog)（赤いソーセージ）、ロンガニーサ(longganisa)、トチーノ(tocino)。(*)

(*)ホットドッグ(hotdog)は赤いソーセージ（ソーセージとは区別されている）。ロンガニーサ(longganisa)は豚肉やトリ肉などの挽き肉を香辛料と甘辛く味付けしてまとめたバルク・ソーセージ。トチーノ(tocino)は豚バラ肉の加工保存食。いずれもフィリピン特有の食材で料理の名前。（ブログ管理人による、ざっくりとした説明）（記事タイトルでは、あえて、分かりやすく"ソーセージ等"と書いた）

これらは、中国などASF発生国から密輸された製品ではなく、フィリピンの食肉加工メーカー"Mekeni Food Corp."が国内で製造した製品だということが分かった。

アフリカ豚コレラカテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

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実は、フィリピンからの航空便で日本に入国した、旅客手荷物の中の豚肉加工品から、アフリカ豚コレラ(ASF)のウイルスが検出されている。

マニラ発・成田空港着の10月5日の便。

20191107200716 （動物検疫所より）

品名は“ソーセージ(9.1kg)”と書いてあるが、その外見と断面から“ロンガニーサ”と思われる。

近頃、中国からだけでなく、東南アジアのASF発生国からのフライトで、旅客手荷物からのASFウイルスのDNA検出例が続いている。（この記事では余談）

20191107200709

アフリカ豚コレラ遺伝子検査陽性事例(PDF : 694KB)（更新：2019年10月25日）

アジアで発生しているアフリカ豚コレラへの対応：動物検疫所

フィリピンは公的には、中国やベトナムなどアフリカ豚コレラ(ASF)が発生した国（現在、14ヶ国を指定）からの、豚肉や豚肉加工品の輸入を禁止している。

公的には、ASFウイルス汚染された豚肉は、フィリピン国内には入っていないはずなので、メケニ・フード(Mekeni Food Corp.)が製造した豚肉加工食品に使われた豚肉は、フィリピン国内で飼育された豚となるのだろう。
メケニの主工場は、マニラ首都圏の北隣のパンパンガ州にあり、ASFの発生はパンパンガ州でも起こっている。
（ASF陽性だったロンガニーサは家庭で作られたもののようだ。同じ船便で運ばれていた。これらが混在して、中途半端に発表されたので報道も混乱していたようだ）

ASFウイルスが混入した原因はまだ分かっていない。

フィリピン貿易産業省によると、国内の大手食肉加工会社が使用している原材料の85%が輸入品（2016年）。
国内の各地域で飼育された家畜の肉・卵が使われるのは15%ほど。その多くは、価格や、冷蔵設備・輸送の不備、食肉産業向けの品質でない、という理由で地元のウェット・マーケットで販売、消費されている。((pdf) PROCESSED MEAT INDUSTRY(2016/08))

ここから、もしかするとASFウイルスが混入した豚肉製品の原材料が、実は密輸された冷凍豚肉でASFウイルスに汚染されていた、という可能性もあるのかもしれない。
メケニ・フードのガルシア(Prudencio Garcia)社長によると、すべての原材料には政府の証明書と許可書があると述べている。ここんとこ、その証明書の内容がどこまで信頼できるかだろう（微妙）。

メケニ・フードは製品を回収。自社の２製品からASFウイルスのDNAが検出された事を公にし、当局による感染原因の特定に協力すると発表した。

【アフリカ豚コレラ】フィリピンではじめて発生｜対応の遅れと情報の透明性に問題 - pelicanmemo (2019-10-11)

アフリカ豚コレラカテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

フィリピンの、マニラ首都圏やルソン島でアフリカ豚コレラ(ASF)が発生したことで、他の地方では、州外からやルソン島からの豚や豚肉・加工品の流入を禁止するなど、自治体独自の防疫体制を行っているところが増えている。

前のブログ記事でもすこし書いたように、フィリピン農業省(DA)の発表に対して不満が出ている。

今回も、フィリピン国内製の豚肉加工品でASFウイルス検出の発表で、最初は、その製造メーカー名を発表しようとはしなかった。（再検査の結果が出た後にやっと発表した。）

フィリピン食肉加工業者協会 (PAMPI) は、それではASFウイルス感染原因が分からず対策も立てられない、養豚業界やほかの食肉加工業者も影響を受けると反発し、むしろ協会会員企業に対して、国内のASF発生地域にある養豚場からの豚肉の使用をしないよう要請をしていた。（注："Mekeni Food Corp."はPAMPIの会員企業ではない）

いろいろとゴタゴタしているのは、どうもフィリピン国内の政治的な背景もあるように感じられる。

フィリピンの大統領府（マラカニアン宮殿）か農業省が、アフリカ豚コレラ(African Swine Fever(ASF)) の防疫のためのコントロール・センターとして、充分に機能しておらず、対策を充分に行えていて監督管理出来ているようには感じられない。

フィリピンに侵入したアフリカ豚コレラ(African Swine Fever(ASF)) のウイルスは、中国など国外からの、豚肉を使った食品や豚肉加工品の密輸によって入ってきた可能性が高いだろう。

7月下旬に、ASFのはじめての発生が、ルソン島のリサール州で確認された。

10月には、豚肉を使った加工食品からASFウイルスが検出された。

ルソン島での、マニラ首都圏やその近くのリサール州やブラカン州でのASF発生と感染拡大は、明らかに、フィリピン政府の国内での防疫の失敗によるものだ。

アジアで発生しているアフリカ豚コレラへの対応：動物検疫所

アフリカ豚コレラについて：農林水産省

第67回フィリピンの“サリサリ”な豚肉料理 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

Longaniza - Wikipedia

OIE | Follow-up report No. 2 | Information received on 04/11/2019 from ..., Bureau of Animal Industry, Department of Agriculture, Manila, Philippines

DA confirms confiscated meat products contain ASF virus | Philippine News Agency (November 4, 2019)