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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【H7N9鳥インフル】 中国のH7N9鳥インフルエンザ、どこいった?(1年ぶり・3回目) | 高病原性H7N9で新たな変異か

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FAO H7N9 situation update (2019/12/04) 

今年(2019年)12月4日FAO(国連食糧農業機関)から、中国のH7N9鳥インフルエンザのアップデート情報が発表された。2019年10月1日からの今シーズン(第8期)に家禽・環境サンプルもヒト感染例も報告はされていない。

動向をチェックしている、多くの人が感じてきたことだろう。

 

鳥インフルエンザ、「H7N9、どこいった?」🤔 (1年ぶり・3回目)

 

【H7N9鳥インフル】 中国のH7N9鳥インフルエンザ、どこいった?(1年ぶり・2回目) - pelicanmemo (2019-03-07)

 

これは良いニュースだ。しかし、状況は突然に変わるかもしれない。

 

今年(2019年)の4月、高病原性のA/H7N9鳥インフルエンザが、内モンゴル自治区の養鶏場で発生し、ヒト感染例(死亡)もあった。

【H7N9鳥インフル】 今シーズンはじめての感染者 内モンゴル自治区 - pelicanmemo

  

H7N9鳥インフルエンザの発生例の激減には、2017年9月からの広範囲での家禽に対するワクチン(H7-Re1, H7-Re2)接種が大きく寄与している。

しかしウイルスが地球上から無くなったわけではない。高病原性H7N9(HPAI)のウイルスの変異も起きている。

2013年2月以降、2019年12月までの、A/H7N9鳥インフルエンザのヒト感染例は1568人、死亡616人。致死率は39.3%と非常に高い。

ヒトが感染すると、わずか数日で肺炎になり重症化する。早期の診断と治療が重要であり、特に糖尿病など既往症がある患者の場合、予後不良となりやすい。

H7N9鳥インフル カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

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日本では、野鳥の糞から低病原性H7N9ウイルスが検出されている。

また、高病原性H7N9ウイルスも、中国からのフライトで入国した乗客が違法に持ち込んだアヒル肉製品から確認されている(2016年-2017年)。摘発された製品は空港で放棄された。
違法持ち込みの鳥肉製品によって、すでに日本国内に入り込んでいた可能性は高いだろう。

Characterization of H7N9 avian influenza viruses isolated from duck meat products. ,
Wu L, Mitake H, Kiso M, Ito M, Iwatsuki-Hirimoto K, Yamayoshi S, Lopes TJS, Feng H, Sumiyoshi R, Shibata A, Osaka H, Imai M, Watanabe T, Kawaoka Y. , Transbound Emerg Dis. 2019 Oct 25.

【H7N9鳥インフル】 中国の今シーズンの状況は? | 愛知県で野鳥の糞からウイルス検出 - pelicanmemo (2018-12-20)

鳥インフルエンザに関する情報:農林水産省

新型インフルエンザ対策におけるプレパンデミックワクチンの国家備蓄

 新型インフルエンザ発生後のパンデミックワクチンの開発・製造には一定の時間がかかるため、それまでの間の感染症対策の一つとして、わが国では医療従事者や国民生活および国民経済の安定に寄与する業務従事者などがプレパンデミックワクチンの接種を行えるようにするため、プレパンデミックワクチンの国家備蓄が2006年から行われてきました。これまではA(H5N1)亜型ウイルスに対してのみプレパンデミックワクチンの備蓄を行ってきましたが、2019年度の備蓄分からは、A(H7N9)亜型ウイルスのプレパンデミックワクチンも備蓄されるようになります。ワクチン株には、2016年にヒトから分離された高病原性のA/Guangdong/17SF003/2016(H7N9)ウイルスを低病原性に改変した A/Guangdong/17SF003/2016(IDCDC-RG56N)株が採用されました。

鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス|内閣官房新型インフルエンザ等対策室

 

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中国での、H7N9鳥インフルエンザのヒト感染例のグラフ。
第7波(2018年10月〜2019年9月)は1例。

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FAO H7N9 situation update (2019/12/04)

 

中国、内モンゴル自治区の衛生健康委員会は今年(2019年)4月4日、H7N9鳥インフルエンザのヒトの感染例を発表した。内モンゴル自治区のもっとも西部に位置するアルシャー盟のエジン旗の82才男性で、近くの甘粛省酒泉市の病院に移送され治療を受けたが、死亡した。

【H7N9鳥インフル】 今シーズンはじめての感染者 内モンゴル自治区 - pelicanmemo (2019-04-06)

【H7N9鳥インフル】 遼寧省の動物園で、高病原性H7N9が発生 - pelicanmemo (2019-03-29)

  

FAOが10月2日に発表した、2019年前半期(1月~6月)の、家禽サンプルのサーベイランス結果によると、4月に内モンゴル自治区で家禽から22例(農業農村部の発表は14例)、3月に遼寧省で動物園のクジャクから8例(農業農村部の発表は9例)、H7N9鳥インフルエンザ・ウイルス陽性が確認されている。 

20191228093033 FAO H7N9 situation update (2019/10/02)

 

内モンゴル自治区でのH7N9陽性サンプル22例は、上記のH7N9感染患者の家から200mにある家禽屠殺場2ヶ所で検出されたもので、22例すべてが1つの養鶏場の鳥だった。この地域では家禽へのワクチン接種が行われているが、調査の結果、この養鶏場の一部の家禽にはワクチン接種はされていなかった。
このウイルスは、2017年に分離されたHPAI-H7N9ウイルス(高病原性H7N9鳥インフルエンザ)と97.9~99.1%の同一性が確認された。

 

その一方で、今年(2019年)12月に、中国の複数の地域で、高病原性H7N9鳥インフルエンザの抗原変異が、前例がないほど急速に出現したことが報告されている。河北省と遼寧省のようだ。

 

A/H7N9鳥インフルエンザ・ウイルスに対抗するためのワクチンは、2017年9月からH7-Re1が使われ、2018年12月にH7-Re2に変更された。2019年にH7N9亜種が現れたことで、新しい抗原に適合するワクチンと、ウイルスを排除するためのより効果的な対策が求められている。

FAO H7N9 situation update - Avian Influenza A(H7N9) virus - FAO Emergency Prevention System for Animal Health (EMPRES-AH)

Eurosurveillance | The re-emergence of highly pathogenic avian influenza H7N9 viruses in humans in mainland China, 2019

Early Release - Antigenic Variant of Highly Pathogenic Avian Influenza A(H7N9) Virus, China, 2019 - Volume 26, Number 2—February 2020 - Emerging Infectious Diseases journal - CDC

 

ウイルスとの戦いに終わりは見えない。

過去の成功体験で安心せず、慢心することなく、適切な対策が求められる。

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米国の疾病予防管理センター(CDC)による、インフルエンザ危険度評価ツール (Influenza Risk Assessment Tool (IRAT))。

Summary of Influenza Risk Assessment Tool (IRAT) Results | Pandemic Influenza (Flu) | CDC(赤字・赤丸等は管理人による)

  

ところで・・・、

 

 

中国では毎年、スイカやバナナを食べてH7N9鳥インフルエンザに感染したといった話がもちあがる。(笑)

2020年は、何を食べて感染したという亜種が現れるか・・・、こちらのネタはちょっと楽しみ。😊