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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

台湾、海巡署が海上保安庁と10時間対峙 台湾の海洋調査船の活動をめぐって

20221005052508(張競氏のFacebookより)

9月29日、沖縄県の与那国島の南方の排他的経済水域(EEZ)で、台湾大学の海洋調査船「新海研一号」の海洋調査活動をめぐって海上保安庁と海巡署(台湾の沿岸警備隊)の巡視船が対峙した。中時新聞網電子版などが報じた。

海上保安庁の巡視船は「新海研一号」に対して、日本の排他的経済水域(EEZ)で我が国の同意のない海洋調査は認められないと無線で通信をした。一方、海巡署の巡視船は「新海研一号」と海上保安庁の巡視船の間の水域に割って入り、ここは台湾の排他的経済水域(EEZ)であり海洋調査船への干渉をやめるよう伝えた。

双方の対峙は「新海研一号」がその水域を離れるまで約10時間続いたそうだ。その際に問題とされるような行動は双方ともに無かったのだろう、台湾側の発表も報道はなく海上保安庁からも発表もない。

海巡艦隊為「新海研一號」驅離日保安艇 張競:為海巡弟兄鼓掌敬禮 - 軍事 - 中時新聞網 

 

海巡署東部機動海巡隊の陳源欽副隊長によると、今回の一件が起こった海域は花蓮港の東南に78海里(約144.5km)、「北緯23度37分・東経123度00分」。その緯度経度をGoogle地図でプロットしてみると(下の地図の❌印)、与那国島の南に約90kmの海域で実は日本の方が近い。
(この地図は、台湾の行政院(日本の内閣に相当)が2014年11月に制定した自国の漁民や漁船の操業の安全を保護するため海域を設定した複数の地図の一つ(一部切り抜き)。海巡署の公式ウェブサイトでも法執行活動の範囲として公開されている。尖閣諸島の周辺の海域と日台漁業協定に関してはこの地図には記載されていない。しかし同じ法令に附属する別の地図で記載されています。勘違いはしないでください)

20221006195052

200海里(約370km)の排他的経済水域(EEZ)という距離だけで見ると日本と台湾のどちらも入って重複している海域だけれども、両国の間で明確な境界の合意はされていない。そこで台湾の行政院はEEZの線(赤色の二点鎖線)を、日本の領海や台湾本島をも横切る形で引いちゃっている(苦笑)
(そこ、もうちょっと何とかしとけよ🤨

 

それよりも問題なのは、日本の領海近くの海域にまで、台湾が一方的に設定している「暫定執法線(暫定法執行線)」(黒色の一点鎖線)だ。今回の台湾側の管轄範囲の主張もこの「暫定執法線」に基づいている。
この内側の海域は、台湾の漁民や漁船の操業の安全を保護するために法執行活動を行える海域と、2014年11月に行政院で決定された(この背景には尖閣諸島の周辺海域での日台漁業協定も関係しているがここでは余談)。

ほとんど話題にならないが、この暫定執法線を日本側、特に沖縄の人たちが見たらけして良い気分になるようなものではない。

また、中国が、この台湾行政院が設定した「暫定執法線」を法的な根拠だとして「中国海警局に所属する船舶が法執行活動を行ってよい海域だ」と主張する可能性もあるだろう。

https://www.rootlaw.com.tw/Attach/L-Doc/A040270061022400-1031120-3000-002.pdf(全体の地図)(pdfファイル)

政府護漁標準作業程序 - 行政院農業委員會 

執法範圍 - 海洋委員會海巡署 (法執行の範囲 - 海洋委員会 海巡署)

 

台湾の国民と国の主権を守るための行動を頭から否定することはしないけど、一方的な境界線の主張をもとにしてあまりに強硬に対応するようでは、まるで嵐の海に漕ぎ出すような真似はおすすめできない。台湾の海巡署も政府もそれが分かっているから今回の一幕に関する発表は行わなかったのかもしれない。台湾メディアも報じていなかった。

ところが、3日後の10月2日に台北を拠点とする中華戦略学会の張競(Chang Ching)研究員がFacebookで写真付きで記事にしたことで、中時新聞網電子版が取り上げて報じた。翌日には、他の台湾メディアが後追いで報道をし、海巡署が概要について発表をすることとなった。

 

張競氏の発言は強い論調のものが増えていて、今回のFacebookの記事でも台湾の管轄海域や国家主権を強調している。

それに蔡英文総統の政策に批判的な中時新聞網がとびついたあたり、どの方向へ煽っているのか分かりやすい…中国(北京)が背後にいるかも?とまではさすがに言わないけれども。

台湾と日本の間が冷えたなら、それを喜ぶのは中国なわけですし。

20221005052707
張競 CHANG, Ching - Facebook
(2022/10/02 03:42)

海巡艦隊為「新海研一號」驅離日保安艇 張競:為海巡弟兄鼓掌敬禮 - 軍事 - 中時新聞網 (2022/10/02 20:24)

 

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国立台湾大学の海洋調査船「新海研一号(新海研一號)」は2020年2月27日に進水した、最新の2000トン級海洋調査船。全長66m、全幅14.8m、喫水4.3m。排水量2155トン。ダイナミックポジショニングシステムにより船の位置を高精度で補正して海洋調査を行うことが出来る。マルチビーム探査装置や超短基線水中測位系統などを装備する。

20221005053803

新海研1號研究船 - 國立臺灣大學

 

今回の「新海研一号」の調査活動は科学技術部と気象局によるもので、9月28日から10月7日まで10日間の日程で北部の基隆港から南部の高雄港を往復する航海が予定されていた。今回の記事で、K105海洋観測ステーションの作業に戻ったと書かれていたので、台風シーズンが終わった後の秋の定期気象調査かもしれない。

20221005053759最新船期表 - 新海研1號研究船より)

 

中華戦略学会の張競(Chang Ching)研究員がFacebookで公開した写真によると、海上保安庁の巡視船は1000トン級「PL-13 もとぶ」と「PL-61 はてるま」のようだ。台湾の海巡署からは、500トン級「CG-119 花蓮艦」が派遣されたと報道されている。

海洋調査船「新海研一號」から撮影された写真では、「PL-13 もとぶ」の間に「CG-119 花蓮艦」がいる。

張競氏Facebookによると500トン級「CG-125 連江艦」も派遣されたそうだが、写真で確認はできない。

 

9月29日午前11時頃、海洋調査船「新海研一號」が、レーダーで海上保安庁の巡視船が近付いてきていると気付き、海巡署へ連絡をした。海巡署は「CG-119 花蓮艦」を派遣、海保の巡視船と対峙することとなった。夜9時15分に「新海研一號」がこの水域を離れるまで約10時間、双方は対峙していたそうだ。

10時間ずっと無線で日本語と中国語と英語で通信していたわけはなく、ほとんどの時間は相手側の出方を見つつ遊弋していたのだろう。

20221005052512(張競氏のFacebookより)

 

台湾、海巡署、巡視船の舷側に「TAIWAN」の文字を追加 「TAIWAN R.O.C. COAST GUARD」に - pelicanmemo (2021-02-21)

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海巡艦隊為「新海研一號」驅離日保安艇 張競:為海巡弟兄鼓掌敬禮 - 軍事 - 中時新聞網 (2022/10/02 20:24)

張競 CHANG, Ching - Facebook (2022/10/02 03:42)

 

戒護台大研究船 海巡艦對峙日艦10小時 - 中國時報 (2022/10/03)

好樣的!「新海研一號」被日艦騷擾 海巡署派艦對峙10小時逼退 -- 上報 / 焦點 (2022/10/03)

臺大研究船去東部海域 煞予日本海安船趕 | 公視新聞網 PNN (2022/10/03)

花蓮艦逼退干擾我船日艦 海巡署:持續維護科研船權益 | 聯合新聞網 (2022/10/03)

 

新海研1號研究船 - 國立臺灣大學

提升海洋研究量能 耗資16億造研究船 | 公視新聞網 PNN (2020-07-21)

-艦艇-花蓮艦(500噸級)

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海巡署500噸級巡防救難艦 (金門) - 维基百科,自由的百科全书

海巡署 - Wikipedia

日船黑水溝追我漁船狂廣播「立刻停船」 釣友:我們沒越界 | ETtoday新聞雲 (2018年03月05日)