pelicanmemo

海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

【中国海警局】「海警14609」初確認、600㌧級密輸取締船、ウォータージェット推進

20220929062137(時事通信より(第11管区海上保安本部提供))

海上保安庁 第11管区海上保安本部によると9月28日の午前3時15分頃から、中国海警局の船3隻が尖閣諸島の領海に侵入し、日本の漁船3隻に接近しようとした。海上保安庁は漁船の周囲に巡視船を配置して安全を確保した。

中国海警局の船は領海侵入をした3隻の他に、接続水域に3隻が航行していた。計6隻のうち接続水域を航行した2隻が機関砲を搭載する。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海や接続水域では、中国海警局に所属する艦船の航行が常態化している。今年よく確認されるパターンは、4隻のグループが約1ヶ月ごとに交代をして、時々1〜2隻が接続水域から大陸沿岸に移動をするというものだ。しかし、接続水域で4隻よりも多い船数が公に確認されることと、複数の機関砲を搭載する船が確認されるのは昨年(2021年)8月以来、約1年ぶりとなる。

 

今回(2022年9月)も昨年(2021年8月)も、中国海警局の船に追尾された日本の漁船はネット放送局の”日本文化チャンネル桜”の船と関係する漁船だった。

【中国海警局】 尖閣諸島の接続水域内に中国海警局の船7隻。2016年8月以来。 - pelicanmemo (2021-09-06)

 

前日の9月27日に、尖閣諸島の接続水域で確認されていた中国海警局の船は「海警2502」「海警2301」「海警2302」と機関砲を搭載する「海警2203」。これに「海警2102」と機関砲を搭載する「海警14609」が加わって6隻となった。
日本の領海に侵入をして日本漁船3隻に接近を試みたのは「海警2502」「海警2301」「海警2302」で、この3隻は機関砲は搭載していない。

 

昨年(2021年8月)のケースも今回(2022年9月)でも、ウォータージェット推進の600トン級密輸取締り船が、接続水域を航行している姿が確認されている。

このタイプの船が尖閣沖で確認されるのはほとんど無い(*)。

中国側は日本の漁船の取締りを強化し、漁業法違反の容疑だけではなく、あわよくば尖閣諸島(沖縄県石垣市)の沖で法執行活動を行うチャンスをうかがっているのだろう。

(*)尖閣沖で確認されたのは、2016年8月に中国漁船200隻以上と中国公船10数隻が確認された時をと2021年8月、今回の2019年9月の3回だけ。

Ads by Google

 


 

20210831200216 【公式】「能勢伸之の週刊安全保障」 (@nose_anpo)  twitterより)(2021年8月)

 

「海警14609」は福建省海警局に所属する600トン級密輸取締り船。前の舷号(番号)は「海警35105」、船名「惠安号」。

また、昨年(2021年)8月に確認されたのは「海警12603」(もと海警31103)、2016年8月に確認されたのは「海警35104」(当時)。2014年からの中国の税関総署(海関)による600トン級密輸取り締まり船(缉私舰)建造計画によって9隻が建造された。後に2隻が追加されて同型艦は11隻となった。

現段階で当ブログ管理人が知っているこの9隻+2隻の最初の配備時の舷号(番号)と、その後に変わった新しい舷号(番号)のうち確認出来たものを書いておこう。

海警21105       :遼寧海警第2支隊
海警31103(海警12601):上海海警
海警33104(海警13604):浙江海警第2支隊
海警35104(海警14xxx(?)):福建省海警1支隊
海警35105(海警14609):福建省海警2支隊
海警44105      :広東海警第1支隊
海警44106(海警4006):広東海警第2支隊(直属第4局)
海警44107      :広東海警第3支隊
海警45103      :広西(広西チワン族自治区)海警第3支隊

追加された2隻は次の2隻のようだ。

海警44109(海警3001):広東海警(直属第3局)
海警44110(海警3002):広東海警(直属第3局)

 

海警3001、海警3002、海警4006の3隻は、2019年から変更された中国海警局の舷号(番号)命名パターンと少しずれている。直属第3局と直属第4局の1000トン級未満ということかもしれない。マストの形状などデザインが変わっているものもある。

【中国海警局】 船名・船舶番号、変更(2019年7月〜)。| 「海警6501」は直属第六局所属の5000トン級。 - pelicanmemo (2019-12-15)

 

 

閑話休題、

600トン級密輸取締り船は、全長68m、全幅8.7m、型深さ5m、設計排水量600トン。ウォータージェット推進により最高速度30ノット以上。機関砲1基と重機関銃2基を装備する。さらに船尾広くにスリップウェイを装備して、2隻の大型法執行艇を運用できる設計となっている。

 

日本の海上保安庁にはウォータージェット推進の巡視船として「あそ型巡視船」(PL型・1000トン型高速高機能大型巡視船)や、「かとり型巡視船」(PM型・500トン型)「とから型巡視船」(PM型・350トン型)(どちらもPM型)などがある。

「かとり型巡視船」(公称船型500トン型)は全長72m・全幅10m、「とから型巡視船」(公称船型350トン型)は全長56m、全幅8.5mなので、この中国海警局の600トン級密輸取締り船(全長68m、全幅8.7m)の船体がさらに細長いことが分かる。その分、外洋での安定航行能力は下がるだろう。艦橋構造物が流線型でマストが一体型の設計も、空気抵抗を意識したものと思われる。
(排水量・総トン数は日本の海上保安庁と中国とで基準や計算方法が違うので数字だけで単純に比較はできない)

 

中国では新たに、更なる外洋での航行安定性を持ち、大型搭載艇2隻を迅速に運用出来るなど新型の600トン級法執行船の設計計画を進めている。

海上保安庁の「あそ型巡視船」(PL型・公称船型1000トン型)や韓国の海洋警察庁の「太極級(태극급)警備艦」(新型500トン級)に並ぶ性能が想定されているそうだ。

海上保安庁は公称船型180トン型のPS型巡視船でのウォータージェット推進の設計と運用経験や知見をもとにして、350トン型や500トン型、1000トン型へと発展させていった。中国の公船の法執行船ではまだ多くはなく、経験を積み上げているところだろう。

 

 

つけたしのようになってしまった。今回(2022年9月28日)に尖閣諸島の沖で操業をした日本の漁船3隻などについて書いておきたい。

漁船3隻は八重山漁協所属の「第一桜丸」「恵美丸」「第二幸徳丸」だった。石垣島を出港した時にはもう1隻、「たいせいまる(第八泰生丸だろう)」が一緒に出発したが途中で引き返している。

”チャンネル桜”が9月27日に公開した動画では【生中継始まりました!】と銘打っていたので、あわよくば生中継から続いて尖閣諸島の沖の海域での映像に繋げようとしていたのかもしれない
しかし、漁業活動が目的ではないとして、海上保安庁から引き返すように求められただろう。今回はいつもの石垣島から約20海里の海域まで行ったのではなく、Wi-Fi電波が届くあたりまでしか行かなかったようだ。

【民間防衛】再び尖閣へ!守るぞ日本!日本の心![桜R4/9/27] - YouTube

 

昨年(2021年)8月30日に尖閣諸島の沖で操業を行った日本漁船は「第一桜丸」「恵美丸」「理恵丸」「第八泰正丸」「ZENKОUMARUⅡ」の5隻だった。

【中国海警局】 尖閣諸島の接続水域内に中国海警局の船7隻。2016年8月以来。 - pelicanmemo (2021-09-06)

【中国海警局】 尖閣諸島で確認された中国の公船18隻(8月4日〜16日)、まとめ 辺防海警、漁政、緝私、海監など - pelicanmemo (2016-08-07) 

中国海警局 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

 

中国船3隻が領海侵入 尖閣周辺、日本漁船接近 | 八重山日報 (2022年09月28日)

第十一管区海上保安本部によると28日午前3時15分ごろから、石垣市の尖閣諸島周辺で中国海警局の艦船3隻が相次いで領海に侵入。周辺で操業する日本漁船3隻に近づこうとする動きを見せた。海保が漁船の周辺に巡視船を配置し、漁業者の安全を確保。3隻は正午ごろまでに相次いで領海を出た。尖閣周辺では接続水域も含め、一時、計6隻の中国艦船が航行した。中国艦船の領海侵入は9月8日以来で、今年に入って21件、27日目。
漁船には、それぞれ2~3人が乗船。領海侵入した中国艦船3隻は「海警2502」「海警2302」「海警2301」で、直前まで尖閣周辺の接続水域で航行していた。
3隻の領海侵入に合わせ、接続水域には「海警2102」と機関砲らしきものを搭載した「海警14609」が新たに入った。機関砲らしきものを搭載した「海警2203」も引き続き接続水域を航行した。

日本漁船対応で増派 中国、尖閣侵奪へ「機動的展開」(八重山日報) - Yahoo!ニュース (2022年09月29日)

尖閣諸島周辺では28日、領海内と接続水域で一時、計6隻の中国艦船が航行した。直前まで接続水域には4隻の中国艦船が航行していたが、うち3隻が周辺で操業を始めた日本漁船3隻の追跡を開始したため、新たに2隻が増派されたと見られる。中国政府が尖閣周辺で機動的に艦船を展開し、尖閣侵奪の既成事実化を図っている現状が浮き彫りになった。中国艦船の増派を受け、日本の海上保安庁も通常の尖閣警備体制に加え、28日未明に急きょ、石垣島から巡視船2隻を出港させて対応に当たった。尖閣を巡る日中のせめぎ合いも緊張の度を増している。

 

中国公船3隻が領海侵入 日本漁船に接近―沖縄・尖閣沖:時事ドットコム (2022年09月28日)

中国海警局の船3隻 約8時間半にわたり日本の領海に侵入 尖閣沖 | NHK 

中国船が尖閣周辺の領海侵入 機関砲搭載か - 産経ニュース

中国海警局の船3隻、尖閣領海に相次ぎ侵入…海保巡視船が警戒 : 読売新聞オンライン

 

舰出泉州港 海警35105舰巡航祖国海疆 - 中国军网 (2019-02-03)

海警35105舰命名“惠安号” (2017-6-29)

探访海警35105舰:忠诚守卫这片海

“600吨级海上执法通用平台”通过评审

 

あそ型巡視船 - Wikipedia

かとり型巡視船 - Wikipedia

とから型巡視船 - Wikipedia