7月13日早朝、沖縄県の尖閣諸島の沖合いで、中国海警局の船2隻が日本の漁船1隻の動きに合わせるように相次いで日本の領海に侵入をした。
これに関連して、中国海警局は公式ウェブサイトや微博(SNS)などで「法律に基づいて、不法に侵入した日本の漁船「瑞宝丸」を領海から退去させた」などと主張をしている。
中国海警局が、日本の領海で法執行活動を行ったことを公式発表するのはまれであり、漁業操業が目的の日本漁船の船名を書いて名指ししたのははじめて。
これに対して、海上保安庁や首相官邸からの発表は無く、内閣官房長官の記者会見でも取り上げられていない（7月15日(土)朝の時点）。
日本の領海で中国が法執行活動を行ったことに対して、すぐに内閣官房や海上保安庁がコメントを出さなければならない問題だ。
今年(2023年)に入ってから、中国側は、尖閣沖での対応をさらに強めてきている。
尖閣沖 中国海警局の船2隻 日本の漁船1隻に合わせ領海に侵入 | NHK | 尖閣 (2023年7月13日)
一時領海侵入の中国海警局の船 「日本漁船退去させた」と主張｜NHK 沖縄県のニュース (2023年7月14日)
中国海警依法驱离日非法进入我赤尾屿领海船只 - 维权执法 - 中国海警 (2023-07-13)
中国海警局は、今年(2023年)1月に石垣市が尖閣諸島の領海を含む周辺海域で海洋調査を行ったときに初めて、法執行活動を行ったことを公式ウェブサイトと公式SNSで発表した。
今年3月には日本のヨットが尖閣諸島の領海内を航行したときにも似た主張をしていた。
その一方で、尖閣諸島の日本の領海でこれまでに行われてきた、仲間均石垣市市議の漁船「鶴丸」（八重山漁協所属）による漁業の操業や、インターネット放送局”日本文化チャンネル桜”の番組と関連して複数隻の漁船の操業などに対して、中国海警局はまったく公式発表を行っていなかった。
今回、中国海警局から名指しされた日本の漁船「瑞宝丸」は、与那国町漁協所属の9.7㌧の小型漁船。尖閣ウォッチャーの間ではよく知られている船。中国側の視点だと、尖閣諸島の領海内での操業を繰り返している目障りな日本漁船だろう。
【中国海警局】 石垣市、尖閣諸島で海洋調査 ｜ 中国海警局は日本船に対する領海での法執行をはじめて公式発表 - pelicanmemo
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海上保安庁 第11管区海上保安本部の発表とNHKや八重山日報の報道をまとめると、7月13日午前5時前に尖閣諸島の大正島の沖合で、日本漁船「瑞宝丸」（9・7㌧・３人）の動きに合わせるように中国海警局の「海警1302」「海警1102」が日本の領海に侵入した。午後4時40分すぎに1隻が領海から出た（再度、領海に入ったかもしれない）、午後9時35分までに相次いで領海から出た。
海上保安本部が日本漁船の周囲に巡視船を配備して安全を確保するとともに、中国海警局の船2隻に対してただちに領海から出るよう警告を続けた。
「海警1302」はいわゆる海監型3000㌧級「もと海警2308」で、「海警1102」は1000㌧級で「もと海警2101（もと漁政201）」。どちらも機関砲の搭載は確認されていない。
7月4日に、台湾の立法院（国会に相当）の游錫堃院長（議長）と立法院議員（国会議員）らが宜蘭県蘇澳港からフェリーで与那国町を訪問した。游錫堃院長は立法院で、日本との関係強化を目指す議員連盟「台日交流聯誼会」の会長も兼ねている。現職の立法院院長（国会議長）による沖縄訪問は初めて。
そこで、与那国町漁協に所属する「瑞宝丸」が名指しされた可能性も考えられる。
游立法院長、フェリーで与那国訪問 復路は日華懇・古屋会長も同乗へ／台湾 - フォーカス台湾
うがった見方をしてみると、中国海警局は海上保安庁に対して、さらに、尖閣諸島の領海での漁業活動が目的の日本漁船についても操業を止めさせる努力を催促してきたのかもしれない。
そこで槍玉にあげられたのが、与那国町漁協所属の漁船「瑞宝丸」だっただろう。
日本と中国の当局者の間で、民間の政治活動が目的の船舶については尖閣諸島の周辺海域への航行を制限している。海上保安庁は、尖閣諸島の周辺海域で操業をする漁船に対して、出港前に検査を行っており、”日本文化チャンネル桜”の番組が尖閣沖での活動のため用意した5隻のうち、操業が目的ではないとされた船1隻は尖閣沖までの航行を認めない対応がとられている。
尖閣沖 中国海警局の船2隻 日本の漁船1隻に合わせ領海に侵入 | NHK | 尖閣 (2023年7月13日)
中国海警局の船２隻 領海に侵入 うち１隻領海から出る｜NHK 沖縄県のニュース (2023年7月13日)
中国船２隻が領海侵入 尖閣周辺、日本漁船追う | 八重山日報 (2023年7月14日)
一時領海侵入の中国海警局の船 「日本漁船退去させた」と主張｜NHK 沖縄県のニュース (2023年7月14日)
中国海警依法驱离日非法进入我赤尾屿领海船只 - 维权执法 - 中国海警 (2023-07-13)
中国海警局新闻发言人甘羽表示，7月13日，日“瑞宝丸”号渔船非法进入我赤尾屿领海，中国海警舰艇依法对其采取必要管控措施并警告驱离。
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中国海警局新闻发言人甘羽表示，3月15日，中国海警舰艇进入钓鱼岛领海进行正常维权巡航，这是我捍卫国家主权和海洋权益的例行性举措，是对日方1艘游艇和数艘巡视船侵入我领海的有力反制。
中国海警依法驱离日非法进入我钓鱼岛领海船只 - 海警要闻 - 中国海警 (2023-01-30)
中国海警局新闻发言人甘羽表示，1月30日，日“新世丸”号等5艘船只非法进入我钓鱼岛领海，中国海警舰艇依法对其采取必要管控措施并警告驱离。
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