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【中国海警局】 「海警3104」、中国海軍の駆逐艦「164 桂林」艦と衝突 - 南シナ海、スカボロー礁沖【画像】

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8月11日午前、南シナ海のスカボロー礁の沖の海域で、フィリピン沿岸警備隊の巡視船「BRP スルアン」を追跡していた中国海警局の「海警3104」と中国海軍の駆逐艦「164 桂林」艦が衝突する事故が起きた。

事故と被害状況はニュースになっていて、「海警3104」の船首楼が大きく潰れている画像や映像が話題だ。

ここでは、衝突した中国の船2隻の操船ミスについて、スクリーンショット画像たくさんとイラストを交えて考えてみたい。

概略はNHKなどをご覧ください。

フィリピン“自国のEEZ内で中国の船2隻が衝突” 南シナ海 | NHK | フィリピン

南シナ海で妨害行為の中国船同士が衝突 海警局の船、航行不能の可能性 比スカボロー礁 - 産経ニュース

 

フィリピン沿岸警備隊(PCG)の報道担当、ジェイ・タリエラ(Jay Tarriela)准将がX(Twitter)で巡視船「BRP スルアン」から撮影した映像を公表した。フィリピンは、南シナ海で中国によって行われている不法で悪意ある威圧的な行動について、写真や映像を公開する積極的透明化(Assertive Transparency)キャンペーンを展開している。

 

中国側の2隻の操船ミスによる衝突事故であり、お互いの連絡不足、コミュニケーション不足が原因だっただろう。

また、フィリピン沿岸警備隊の巡視船「BRP スルアン」は、中国側の2隻の進路が交差するような機動をあえて行うことで、両艦のブリッジの判断の遅れや誤りをさそえたのだろう。

 

 

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(Jay Tarriela (@jaytaryela),  X(Twitter)よりスクリーンショット(特に書いていない場合は以下同じ))

20250813062333(駆逐艦「164 桂林」艦) 
20250813062328(「海警3104」) 

 

 

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20250813191044PTV/Patrick de Jesus 空撮動画よりスクリーンショット取得し、トリミングをした) 

 

フィリピン当局によると、現場はフィリピンEEZに位置するスカボロー礁(フィリピン名: Bajo de Masinloc、中国名:黄岩岛)の東の沖、約10.5海里(約19.5km)の海域。

そのあたりの海域でフィリピン漁船35隻が漁業活動を行うので、フィリピン沿岸警備隊(PCG)と漁業水産資源局(BFAR)の巡視船3隻(*1)が周辺の海上哨戒活動(MARPAT)や漁船への補給活動を行っていた。

 

11日午前、フィリピン沿岸警備隊(PCG)の巡視船(*2)「BRP Suluan(スルアン) (MRRV-4406)」(総トン数約350トン)は、中国海警局の056型「海警3104 南域艦」(満載排水量1,440トン)の高圧放水銃による放水を避けつつ高速で航行していた。

中国海軍の052D型駆逐艦「164 桂林」艦(満載排水量約7,500トン)は、PCG「BRP Suluan (4406)」の右舷側にあり、すこし離れて追跡していた。

(*1)「BRP Teresa Magbanua (9701)」「BRP Suluan (4406)」「MV Pamamalakaya」
(*2)多目的対応船(Multi-Role Response Vessel, MRRV)

 

 

手書きのイラストで恐縮だが、航跡はざっくりとこんな感じだっただろう。3隻の位置関係は、航跡と、雲や太陽の位置をもとに割り出してみた。(こういう時、よくAIS情報をもとにした航跡マップが公開されるけれども今回はまだのようだ)

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「BRP Suluan (4406)」は青色の線「PCG (4406)」、「海警3104」は黒色の線「CCG (3104)」、駆逐艦「164 桂林」は赤色の線「PLAN (164)」で描いた。衝突後の航跡は点線でざっくりと示した。

 

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「海警3104」は左舷の高圧放水銃を全開で放水している。「BRP Suluan (4406)」の右舷側へ回り込んで、船体に直接放水したいがなかなか追いつけない。

「BRP Suluan (4406)」が左方向へ旋回(取舵)したとき、同じく取舵をとって4406の左舷側へ抜けるのではなく、逆に面舵をとって右舷側に回り込もうとした。左舷の高圧放水銃による放水攻撃を行うチャンスだと考えたのだろう。

 

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「BRP Suluan (4406)」駆逐艦「164 桂林」が進んでいる方向の水域へ向かったことで、「海警3104」駆逐艦「164 桂林」の進路が交錯する可能性がでてきた。ここで中国側の2隻は判断を誤った。

手書きのイラストで恐縮だが、ざっくりとこんな感じだったと思う。中国の船2隻が想定しただろうルートを点線(小)で描いた。

 

「海警3104」は、「BRP Suluan (4406)」の船尾をかすめて右舷側に回り込もうとした。(イラストののルート)。
海軍の駆逐艦「164 桂林」が進路そのまま航行(同・のルート)することを期待したのだろう。

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20250813063058(衝突直前)

 

しかし駆逐艦「164 桂林」は、フィリピン沿岸警備隊が公開した複数の動画を見ると、他の場面でも「BRP Suluan (4406)」の船尾近くを横切ったり船体にごく近いところを航行してプレスをかけるなど、かなり攻撃的な操船をしている。

満載排水量7,500トンの052D型駆逐艦「164 桂林」は、総トン数約350トン「BRP Suluan (4406)」に対して10数倍の巨体で”煽り運転”を行っていた。今のところ外国公船に対する火器の発砲が認められるような状況ではないし、高圧放水銃は装備していない。巨体での威嚇とハラスメント、船首波・航走波による航行妨害が主な手段だったろう。

 

 

中国海軍の駆逐艦「164 桂林」は、PCGの「BRP Suluan (4406)」が左方向へ旋回(取舵)したことで、「海警3104」も取舵をとって4406の左舷側へ向かう(同・のルート)と思い込んだのではないだろうか?
しかし、正しい情報の共有・連絡は行われず、周辺監視がおろそかなまま、これまでと同じように「BRP Suluan (4406)」を煽るために船尾近くを通って左舷側へ抜けようとした(同・のルート)ことで2隻の衝突コースとなった。

 

「BRP Suluan (4406)」に乗船していたGMA ニュースのレポーター Raffy Tima 氏が、超広角レンズで撮影した動画をX(Twitter)で公開した。

駆逐艦「164 桂林」は衝突する前に避けようとはしていない。取舵をとったようにも見える。明らかに「海警3104」の動きに合っていない。

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(Raffy Tima 氏のX(Twitter)動画よりスクリーンショット)

 

 

船舶は自動車以上に、急には止まれないし急には曲がれない。

フィリピン沿岸警備隊も、中国相手の”実戦”経験が多い。

総トン数約350トンの小型の「BRP Suluan (4406)」の方が、満載排水量1,440トン「海警3104」や7,500トンの駆逐艦「164 桂林」よりも小回りがきいて、翻弄することが出来たのだろう。

 

 

駆逐艦「164 桂林」は衝突した後、逆方向へ大きく転舵した。このせいで、船尾でも「海警3104」に衝突するという二次被害も与えてしまった。

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さらに、大きく損傷した「海警3104」の救援を行わず、「BRP Suluan (4406)」の追跡を再開している。危険かつプロ意識に欠けるものだと、内外から非難されうる行動だった。

駆逐艦「164 桂林」のブリッジでは、艦長や政委が激昂して頭に血がのぼっていたのかもしれないし、中国海軍にとって同胞の救援よりも、フィリピン側の小さな巡視船を追尾して追い払うほうが政治的に優先順位が高かったのかもしれない。

 

 

衝突する直前、「海警3104」の船首楼では中国海警局の隊員数人が防舷材を設置するなど作業を行っていた。彼らの消息は明らかになっていない。

フィリピン沿岸警備隊(PCG)は中国海警局(CCG)に対して、落水者の救助や負傷した乗組員への医療支援を提案したが返事は無かったそうだ。

中国海警局は11日、公式サイトやネットSNSで、スカボロー礁(フィリピン名: Bajo de Masinloc、中国名:黄岩礁)での法執行活動について談話を発表した。中国海警局の船と中国海軍の軍艦の衝突事故については触れられていない。

中国海警局新闻发言人就菲船只侵闯黄岩岛附近海域发表谈话 - 维权执法 - 中国海警局

 

 

付け足しとなったが、3隻について書いておきたい。

「海警3104 南域艦」は中国海警局の直属第3局に所属する、もと中国海軍東海艦隊所属の「510 寧徳(宁德)」。
中国海警局に移管(*3)された同型22隻の056型コルベットなので、056型海警船とも呼ばれる。直属第3局には同艦含めて4隻が配備された。
全長88.9m、全幅11.14m、喫水4m。標準排水量1300トン、満載排水量1440トン。最高速度25ノット。ヘリ甲板があるが格納庫は無い。
(*3)艦対艦ミサイルや近接防空ミサイル、魚雷の発射装置といった、海上法執行活動にはあきらかに過度な重武装は移管前に撤去された。76ミリ砲も過度な重武装だと思うが。

高圧放水銃は船体中央の右舷と左舷に1基ずつ装備されている。

左舷からの放水に拘らずに、右舷の高圧放水銃に切り替えて対応すれば良かったのに🙄、と思ったんだけれど・・・、高圧ポンプからの流路を短時間では切り替えられないか、それとも右舷の放水銃が故障していたのだろうか?

 

「164 桂林」艦は、中国人民解放軍海軍(PLAN) 南海艦隊に所属する052型(旅洋III型)駆逐艦。全長156m、全幅18m、満載排水量7500トン。最高速度30ノット。

130mm 単装砲1基、30mmCIWS1基、VLS(64セル)、24連装発射機×1基など装備。ヘリ(Z-9CまたはKa-28)1機を搭載している(はず)。高圧放水銃は装備していない。

 

「BRP Suluan (4406)」はフィリピン沿岸警備隊、日本が供与した40m級多目的対応船(Parola級巡視船)10隻の5番船。2017年に配備された。全長44.5m、全幅7.5m、型深4m。最高速度25ノット。
海上保安庁のらいざん型(びざん型(2代目))巡視船をモデルシップとする。引き渡し時は非武装で、船舶火災消化用の高圧放水銃3基を装備していた。引き渡し後に船橋前中央の1基が、イスラエルのElbit Systems社製リモート・ウェポン・システム(RWS)1基(12.5~mm機関銃対応)と入れ換えられた。

定員25名とされている。今回の任務では沿岸警備隊の医療部や広報部、武器通信電子システム司令部の”Angels of the Sea”(無線連絡を担当する女性隊員(*4))、特殊作戦部隊、先述したGMAニュース関係者など43人が乗っていたそうだ。

(*4)フィリピン沿岸警備隊が2021年に始めた"Angels programme"。語学やコミュニケーション能力など専門的な教育を受けた女性隊員81人が主に南シナ海の各基地に配属された。

𝐏𝐂𝐆 𝐑𝐄𝐂𝐎𝐆𝐍𝐈𝐙𝐄𝐒 𝐁𝐑𝐏 𝐒𝐔𝐋𝐔𝐀𝐍 𝐂𝐑𝐄𝐖 𝐅𝐎𝐑 𝐁𝐑𝐀𝐕𝐄𝐑𝐘 𝐀𝐌𝐈𝐃 𝐑𝐄𝐂𝐄𝐍𝐓 𝐁𝐀𝐉𝐎 𝐃𝐄 𝐌𝐀𝐒𝐈𝐍𝐋𝐎𝐂 𝐈𝐍𝐂𝐈𝐃𝐄𝐍𝐓

 

 

--(追記:)----------------------

「BRP Suluan(スルアン) (MRRV-4406)」が帰港した後、勲章授与式が行われた。フィリピン沿岸警備隊(PCG)のロニー・ギル・L・ギャヴァン(Ronnie Gil L Gavan)提督は、フィリピン領土内の安全と治安維持におけるPCG隊員の勇気、無私の献身、犠牲を称賛した。

 

--(追記ここまで)------------------

 

 

フィリピン沿岸警備隊、巡視船「BRP Suluan (4406)」配備 日本から供与された5隻目 - pelicanmemo (2017-08-13)

フィリピン沿岸警備隊、巡視船に放水銃装備の必要なし? | 44m級MRRV(Parola級)の放水銃の性能とその後のRWS - pelicanmemo (2024-05-08)

【中国海警局】尖閣沖で、もと中国海軍の056型コルベット海警船を初めて確認、「海警1108」、76mm砲を装備 - pelicanmemo (2023-05-02)

 

 

 

 

PCG offers aid to CCG vessel hit by another Chinese ship | Philippine News Agency

China Coast Guard collides with own warship while chasing Philippine vessel | Philstar.com

Chinese warship, Coast Guard vessel collide near disputed shoal

China rams own warship while chasing Philippine vessel

Philippine 'Angels' aim to de-escalate South China Sea encounters | ABS-CBN News

 

フィリピン“自国のEEZ内で中国の船2隻が衝突” 南シナ海 | NHK | フィリピン

南シナ海で妨害行為の中国船同士が衝突 海警局の船、航行不能の可能性 比スカボロー礁 - 産経ニュース

中国船同士が衝突、航行不能に 比船舶追跡中、南シナ海で:時事ドットコム

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中国海軍ミサイル駆逐艦「桂林」と中国海警「3104」が南シナ海のスカボロー礁で衝突か フィリピン沿岸警備隊が映像公表 | フネコ - Funeco

 

056型コルベット - Wikipedia

昆明級駆逐艦 - Wikipedia