(BBCより)
フィリピン当局は4月30日朝、南シナ海のフィリピンEEZに位置するスカボロー礁(Scarborough Shoal フィリピン名:Bajo de Masinloc、中国語: 黄岩岛)の周辺海域で、中国海警局の船が高圧放水銃を使用してフィリピンの公船2隻に対して放水攻撃を行い、船体に被害が生じたと発表した。
外国の公船に対して、放水銃を使用して船体や乗員に対して直接攻撃をする行動は、国連海洋法条約に記された公船の管轄権免除の規定に違反する。
フィリピン沿岸警備隊によると(X(Twitter))、現場は、スカボロー礁(Bajo de Masinloc(BDM))から約12海里の海域。中国は、スカボロー礁(黄岩島(黄岩岛))は”島”であり、南シナ海の大部分にあたる所謂「九段線」の内側に位置するとして領有権を主張している。この主張は2016年7月12日、オランダのハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所によって、中国が「九段線」の根拠とする「歴史的権利」、主権的権利や管轄権の主張は認められないという裁定が下された。
それはともかくとして😊、ここでは、中国海警局の船の高圧放水銃の性能について書いてみたい。
いきなり昔話で恐縮ですが、10年以上も前、中国海警局がまだ無い国家海洋局のころは、中国のグレート・ファイア・ウォール(金盾)の規制やネットでの情報管理は今ほど厳しくはなく、中国ネット掲示板での情報交換も盛んだった。たとえば国家海洋局・中国海監総隊の1500トン級海洋監視船が搭載する高圧放水銃は、射程150m、流量600m3/h(毎分1万リットル)、圧力2.4MPa以下。射程150mと長いわりに大したことなかった。
今回、中国海警局の放水攻撃によって被害を受けたのは、フィリピン沿岸警備隊(PCG)の40m級巡視船「BRP BAGACAY (MRRV-4410)」(*)と漁業水産資源局(BFAR)の監視船「BRP BANKAW (MMOV-3004)」。「BRP BAGACAY (MRRV-4410)」には英国メディアBBCの特派員らが同乗し取材を行っていた。
中国海警局の船は、4月30日に公開された映像の2隻は056型「海警5105」(もと海軍の056型コルベット)と3000トン級「海警3305」(いわゆる漁政型3000トン級)。別のシーンで718B型海警船(舷号は未確認)も放水銃で攻撃をしていた。
(今回、フィリピン船への攻撃に使用された3000トン級「海警3305」の放水銃)
中国海警局は、接近戦だと056型海警船の船体に穴を開けられかねないので、放水銃を使った遠距離攻撃に切り替えたんですかね?🤔
【中国海警局】 フィリピン沿岸警備隊の巡視船と接触し、056型「海警4103」の船体に損傷。露呈した元軍艦の弱点 - pelicanmemo (2024-04-17)
(*)日本のODAによって日本で建造されフィリピンに供与された40m級多目的対応船(Parola級巡視船)10隻のうちの1隻。「BRP バガカイ」は9番船。 フィリピン沿岸警備隊、巡視船「BRP Cape Engaño (MRRV-4411)」、マニラへ ODA供与の10隻すべて引き渡し - pelicanmemo (2018-08-22)
BBCニュース - 中国、フィリピン沿岸警備隊の船に放水 BBC特派員が同乗取材https://t.co/I4HFMnfZSZ pic.twitter.com/6aZjqZA4rV
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) 2024年5月1日
中国、フィリピン沿岸警備隊の船に放水 BBC特派員が同乗取材 - BBCニュース (2024年5月1日)
フィリピン“南シナ海で船が中国海警局から放水銃による被害” | NHK | 南シナ海問題 (2024年4月30日)
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