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海外の話が多め。近頃は中国が多め(中国海警局・中国海監、深海潜水艇、感染症など)。

フィリピン沿岸警備隊、巡視船「BRP Cape Engaño (MRRV-4411)」、マニラへ ODA供与の10隻すべて引き渡し

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(via. Philippine Coast Guard | Facebook)

8月20日、日本からフィリピンに供与された10隻の40m級多目的対応船(Parola級巡視船)の10番船、「BRP Cape Engaño(ケープ・エンガーニョ) (MRRV-4411)」がマニラ港に到着し歓迎式典が行われた。
2016年10月に1番船「BRP Tubbataha(トゥバタハ)(MRRV-4401)」が配備されてから約1年10ヶ月。10隻すべてが引き渡された。

8月23日には、9番船「BRP Bagacay(バガカイ) (MRRV-4410)」と一緒に、フィリピン沿岸警備隊への正式配備の式典が行われる。  

 

これまでに配備された巡視船たちは、フィリピン・メディアのその時々の報道で、海域警備や海上密輸の取締り、海難事故での捜索・救助活動、等で活躍している事が伝えられている。

10隻の名前は次の通り。

BRP Tubbataha (MRRV-4401)(トゥバタハ)
BRP Malabrigo (MRRV-4402)(マラブリゴ)
BRP Malapascua (MRRV-4403)(マラパスクア)
BRP Capones (MRRV-4404)(カポネス)
BRP Suluan (MRRV-4406)(スルアン)
BRP Sindangan (MRRV-4407)(シンダンガン)
BRP Cape San Agustin (MRRV-4408)(ケープ・サン・アグスティン)
BRP Cabra (MRRV-4409))(カブラ)
BRP Bagacay (MRRV-4410)(バガカイ)
BRP Cape Engaño (MRRV-4411)(ケープ・エンガーニョ)
(*)4405は欠番(数字を足すと"13"になり縁起が悪いからか?) 

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"BRP"は、"フィリピン共和国の船舶"を表すタガログ語"Bapor ng Republika ng Pilipinas"の頭文字から、"MMRV"は、40m級多目的対応船(44-meter Parola-class Multi-role Response Vessel (MRRV) )からきている。

供与された10隻は、フィリピンではタガログ語で"灯台"を意味する"Parola"級と呼ばれている。
10番船「BRP ケープ・エンガーニョ(Cape Engaño)」の名前は、ルソン島の北東の沖にあるパラウイ島のエンガーニョ岬(エンガノ岬)にある灯台から名付けられた。
(130年前、スペイン植民地時代末期の1888年に起工、1892年に完成。現在は灯室は失われている。2018年8月、パラウイ島(Palaui Island)が、国立公園 (Palaui Island Protected Landscape and Seascape (PIPLS)) に登録された。) 

Parola-class patrol vessel - Wikipedia  
BRP Cape Engaño (MRRV-4411) - Wikipedia

Cape Engaño Lighthouse - Wikipedia
Lighthouses in the Philippines - Wikipedia

 

10th Japan-made Coast Guard vessel arrives in PH - Manila Bulletin News 

PCG welcomes last 44-meter vessel from... - Philippine Coast Guard | Facebook

Homeward-Bound: BRP Cape Engano on its Maiden Voyage to the Philippines | Philippine Embassy – Tokyo, Japan

 

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(via. Philippine Coast Guard Official Website)

 

40m級多目的対応船は、日本政府の有償資金協力(ODA)「フィリピン沿岸警備隊 海上安全能力強化事業」に基づいて、フィリピン共和国運輸省が発注した。ジャパン マリンユナイテッド株式会社(JMU)(横浜)で建造された。契約には乗員への教育と慣熟訓練のサポート、特別予備品等の供与も含まれている。

さらに「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化計画(フェーズ2)」(有償資金協力(ODA))で、92m級多目的船2の建造と供与が予定されている。

 

Palora級巡視船は、海上保安庁のPS型(180トン型巡視船)の「らいざん型(びざん型(2代目)」をモデルシップとした。全長44.5m、全幅7.5m、型深4m。国際総トン数321トン。定員25名。

高速性、復原性、凌波性を確保するためV型船型を採用。
船橋は防弾設計、後部甲板に複合作業艇とデッキクレーン、赤外線カメラ・暗視装置、電波方向探知装置、等を装備する。

機関砲は装備していない。

船橋の前に高圧放水銃を装備する。MRRV-4401から4407までの6隻は3基(2,600 m3/h:1 基、1,000 m3/h:2基)だったが、4408から4411の4隻では中央の放水銃が取り除かれて2基となった。

実は、この4407の完成から4408の完成までが約5ヶ月と、少し長くかかっていた。他の船は、おおむね2〜3ヶ月ごとにニュースになっていたので、年末年始を挟んでいたとはいえ、ネット・SNSでニュースが無い日が続いてやきもきしていた覚えがある。😊

もしかしたらフィリピンの現地で運用され始めた後に、仕様が変更された部分が、他にもあるのかもしれない。 

 

フィリピン沿岸警備隊、巡視船「BRP Suluan (4406)」配備 日本から供与された5隻目 - pelicanmemo (2017-08-13)

海事 カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo

 

ところで Palora(灯台)というと、今年は、日本で初めての洋式灯台「 観音埼灯台」(神奈川県横須賀市)が起工して150年の区切りの年にあたる。11月1日の灯台記念日に合わせて、様々なイベントが予定されている。

フィリピンでも、日本と縁のあるこれら灯台級巡視船10隻とコラボした、現地の灯台の「灯台カード」が作られるだろう(うそです☺️)

 

 

灯台記念日|海上保安庁

灯台カード誕生!

1868(明治元)年に西洋式灯台の建設が始まってから来年で150年になるのを記念し、海上保安庁は名刺大をイメージした「灯台カード」を作成する。全国に3199基ある灯台のうち、海保が150基を選定。そこに足を運んでスマートフォンのアプリで二次元コードを読み取ると、灯台カードのデータが入手できる仕組みを考えている。開始は来年の「灯台記念日」(11月1日)を想定している。

灯台150年:「歴史学んで」海保がカード - 毎日新聞

ライトハウス すくっと明治の灯台64基 (World architecture)

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文明開化 灯台一直線! (ちくま文庫)

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