今回、特に目を引いたのが、29歳以下の男性の性行動を巡る事情だ。性交経験率が5割を超える年齢は「29歳」で、08年の「23歳」、10、12年の「26歳」と比べて一気に高年齢化した。一方、女性は「28歳」で、過去の調査結果(24〜27歳)より高かったが、男性ほどの変化はなかった。
セックス離れ:若い男性、性の「絶食化」 3000人調査 - 毎日新聞
これは間違いです。
TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』2月18日の番組『日本人の"セックス離れ"を考える』の中で、日本家族計画協会クリニックの北村邦夫所長が電話インタビューを受け、計算が間違っていたことと修正することを話しました。
その電話インタビューの部分を書き起こしてみました。
このラジオ番組で、日本家族計画協会の関係者(クリニック所長)の生の声と表現で、どんな感じの人か見えた(聴こえた)のが収穫。
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『荻上チキ・Session-22』番組サイトで、この件について簡単にまとめられています。修正前後の数値表付き。
2015年2月18日(水)「日本人の"セックス離れ"を考える」(探究モード) - 荻上チキ・Session-22
協会から連絡があり「指摘された点を確認したところ、2002年の第1回調査以来、この項目について統計の扱いにが誤りがあり、実際には2014年の調査で、男性の性交経験率が5割を超えるのは"20歳"だったことが判明した」との回答をいただきました(なお、協会は関係各所に訂正の連絡をするなどの対応をされています)。
Podcastはこちらから。
スタジオゲストは、"関西学院大学准教授、『文化系トークラジオLife』でもお馴染み『charlie』こと 鈴木謙介 さん" と、" 家族社会学が専門で、兵庫教育大学学校教育研究科助教 永田夏来 さん"。
電話インタビューは番組後半(34分くらいから)。(前半も一聴の価値あり)
(あいづちや言い淀み、重要でない部分の細かな言い直しは省略しました。適宜、改行しています。)
ーーーー電話インタビュー書き起こし、ここからーーーー
荻上チキ(以下、荻上) 「日本家族計画協会の調査によると、こんな結果が出ております。」
南部広美 「今回の調査で、男性の性交経験率が5割を越える年齢は29歳、2008年の23歳から一気に高齢化。女性が5割を越えるのは28歳でした。また、セックスについて「あまり(関心がない)」「まったく関心がない」「嫌悪している」を合わせた男性の割合が18.3%で過去最高に、特に若年層ほど関心が低く16歳から19歳で34.0%、20歳から24歳で21.1%となっています。」
荻上 「はい。という調査のレポートが出されたわけですね。
これをうけて毎日新聞が『若い男性、性の"絶食化"』、時事通信が『若年男性 草食化も』と報じているのですけれども、
番組では日本家族計画協会から資料を取り寄せまして、いろいろ見ていくと、この男性のセックス経験率が50%を越えるのが29歳っていう風に報じられているのですけど、
これ、読んでる資料と比べるとちょっとおかしいなという風に思って、問い合わせたところ、データの集計に誤りがあるということが分かったのです。
ここで、日本家族計画協会クリニック所長の北村邦夫さんにお電話で、データについてお電話でお話を伺いたいと思います。北村さん、こんばんは」
北村邦夫(以下、北村) 「はい、こんばんは」
荻上(ほか参加者) 「こんばんは」「よろしくお願いいたします」
荻上 「というわけで、28歳で5割を越える、これが女性ですね。男性が29歳で5割を越えると報じられたんですけども、実際のデータはどうなのでしょうか?」
北村 「えーっとね、これ、要はあれですね、回答者のですね、16歳から49歳という回答者がいるのですけども、回答者のですと、本来であれば初交開始年齢、2010年の場合は実は一番早く性交が行われたのは12歳なんですね。一番遅い人というのは40数歳というのがあるのですが、
どうも、この縦軸と横軸のですね、計算値を誤ってしまいましてですね、実は、私どもの機関紙やホームページで修正をかけようとしているところではあります。
実際にその問題点を解明しましてですね、計算をしなおしましたところ、まあ、例えば男性などについては、50%を越えるのが20歳であり、女性は19歳であったというような結果にはなりました。
ただ、これはしかし、過去、2002年からずーっと同様な調査をね、2年ごとに繰り返してきてるんですけども、2014年の直近のデータで見ると、7回の中でもっともですね、19歳を越えた人達、19歳以上での男性のいわゆる経験率というのは、もう、過去にくらべてずっーと低いんですよね。
これは、ゆゆしき事態かなということと合わせて、今回の非常に大きな特徴というのは、男性のいわゆる性交経験率、性交開始年齢、これ初交年齢といいますけどね、初交年齢のいわゆる累積率というのが女性に比べるともう明らかに、もう遅くなってしまっているというデータがあるのですね。
とりわけ、話題になって修正しなければならないと動いているわけですけれども、29歳の男女間のですねいわゆる経験率の差というのは6.8ポイント開いているんですね。」
荻上 「なるほど、となると報じられたほど絶食化とか草食化が進んでいるとは言えないけれども、とはいえ、2012年のデータですと性交経験者が70%を越えるのが21歳だったのが24歳となっているというように若干遅れていると・・・」
北村(かぶり気味に) 「だから、そのデータをいま修正したわけですよ。ですから例えば、2012年のときに70%を越えるのが21歳だった男性がですね、今回については24歳となっていますね。
これはざっと1歳階級で、越えた数値を示しているんですけど、この2年の間でも、男性全体では3歳ほどの開きがあるというのは、これは僕はもう、草食あるいは絶食、まさに草も食わないという、こういう言い方をしてもいいんじゃないかと思っています。
荻上 「程度問題ということですね。それは何故だという風にお考えになっていますか?」
北村 「これは夫婦間のというか、婚姻関係にあるような人達の、まあセックスレスということについては、いわゆる、なぜ積極的になれないのか聞いてはいるんですよね。じゃあ、夫婦間ではなく、婚姻関係にない連中はどんな理由を上げているのかというと・・・」
荻上 (失笑)
(管理人注:多分「婚姻関係にない連中」という表現に対して。聞いていて、同じ所で失笑しました。)
北村 「これはさっき言った、申し上げたデータは全てのデータですから、それに対して婚姻関係にあるかないかというところで分けてみると、要は男性も女性も相手がいないというのがぐっと抜きん出るんですね」
荻上 「カップリングが少ないということですか?」
北村 「そうそう、あの、男性、婚姻関係にない、婚姻関係にないってのはどう定義するかというと、まず未婚であったり、あるいは離婚、死別の婚姻関係にないとこう定義しました。
婚姻関係にあるってのは、初婚だ再婚だというこのグループをまとめるんですが。
婚姻関係にない人達というのは、実は、男の72%が相手がいないと回答し、女性の63.5%が相手がいないと回答するんですね。で、まあそれ以外に、男性でしたら、例えば、面倒くさいとか、仕事で疲れているとか、これはもう婚姻関係にあるグループに比べればはるかに低いんですけども、女性も、面倒くさい10.8%、仕事で疲れている5.4%、こんな数字がありますしね、
男性でもですね、婚姻関係にないグループは、セックスより趣味など楽しいことがあると、これが5.6%の回答がありましたね。」
荻上 「なるほど。分かりました。お時間となってしまいました。北村さん、ありがとうございました。失礼いたします。日本家族計画クリニック所長の北村邦夫さんにお話を伺いました。」
ーーーー電話インタビュー書き起こし、ここまでーーーー
ゲスト(鈴木謙介)「(略)・・・男性は29歳になるまでセックスしてないんだと報道されたものが、修正されたものだとハタチ(20歳)。
ぜんぜん、ちゃうやん!(笑)」
この後にスタジオでゲストと一緒に、いろいろ話している内容と解説が分かりやすい。
視聴者の中のセックスレスの方、結婚されていてセックスレスという方へのインタビューなどもあり、よい番組でした。
しばらくの間(1週間?)、podcastで公開されているようです。
個人的には、2回前の調査(4年前)の時に書いた事と、符合したり補強する内容がいろいろあって面白かった。
「セックスに関心ない」って本当? 厚生労働省の「男女の生活と意識に関する調査」の元データを読んでみた : メモノメモ(2011年2月7日)
関連記事。国立社会保障・人口問題研究所の調査。
性経験のない30代男性100万人 |「未婚男性の6割「恋人いない」…女性も5割」の元データを読んでみた。: メモノメモ(2011年12月16日)