(チェコ 国家獣医局(SVS)より)
チェコ共和国の国家獣医局(SVS)は12月1日、アフリカ豚熱(ASF、旧称:アフリカ豚コレラ)の最後の症例から約5年後、国内でふたたびアフリカ豚熱(ASF)が確認されたと発表した。
ASF発生が再確認されたのはチェコ北部のポーランドとドイツと国境を接するリベレツ州(Liberecký kraj)、その中でもポーランド国境にごく近いところ。ポーランド西部とドイツ東部ではアフリカ豚熱(ASF)の感染拡大が続いているので、ASF感染した野生のイノシシが越境したのだろう。
ドイツのフリードリヒ・レフラー研究所(FLI)からの発表(12月16日付け)でも、チェコのリベレツ州の発生例がマークされていた。思いっきり国境に近いですね。
(FLIより)
Do České republiky se po téměř pěti letech vrátil africký mor prasat – Státní veterinární správa (アフリカ豚熱(ASF)がほぼ5年ぶりにチェコ共和国に戻ってきた - 国家獣医局(SVS(Stání veterinární správa)))
チェコでは2017年6月から2018年4月にかけて南部でアフリカ豚熱(ASF)の発生があった。
しかし、感染地域での徹底したイノシシの隔離と個体数削減や、ゾーニングされた隔離地域での社会活動や立ち入り規制などを続けたことでASFウイルスの封じ込めと無害化に成功し他の地域のイノシシや養豚場への感染拡大は起こさなかった。
チェコでの成功例と手法はモデル化され、EUでの管理措置がアップデートされてベルギー南部でASF発生した時にも活用された。ベルギー南部でも封じ込めに成功したとされている。ドイツとイタリアでは現在進行形で実行中。韓国も参考にしてASFウイルスを封じ込めようとしたがこちらは失敗した。
チェコでの最後のASF陽性例は2018年4月15日に発見されたイノシシの死骸だった。その3年後の2021年8月30日には、チェコ共和国におけるアフリカ豚熱(ASF)の清浄性が認められて日本でもチェコ産豚肉等の一時輸入停止措置が解除されていた...
農林水産省は2022年12月3日から、ふたたびチェコからの豚肉等の輸入を一時停止した。
チェコ産豚肉、輸入解禁🐖🎉
— チェコ共和国【公式】 (@JpCzechRepublic) 2021年9月8日
チェコ共和国におけるASF(アフリカ豚熱)清浄性が認められ、2021年8月30日付でチェコ産豚肉等の一時輸入停止措置が解除されました。
プラハハムにサラミにソーセージ・・チェコから豚肉が届くのを、楽しみにしていてくださいね🥳✨🇨🇿#CzechEmbassyTokyo #おいしいチェコ
チェコからの豚肉等の一時輸入停止措置について:農林水産省 (2022-12-06)
イタリアでアフリカ豚熱(ASF)が発生したことによって、生ハムやプロシュート、サラミやサリシッチャやパンチェッタなど豚肉加工製品の日本への輸入が禁止されていることが話題です。
イタリアの国内(*1)でアフリカ豚熱(ASF)ウイルスの封じ込めに成功して清浄性が認められたら、その3年後(追記修正:ベルギーのASF発生例を見直してみたところ約2年後でした)その2~3年後にイタリア産豚肉等の一時輸入停止措置が解除されるのでしょう。
【アフリカ豚熱】イタリア、北西部で野生イノシシから確認 本土でのASF発生は初めて【ASF, アフリカ豚コレラ】 - pelicanmemo (2022-02-03)
【アフリカ豚熱】 韓国、慶尚北道ではじめて確認 | 封じ込め失敗、南部に拡大へ【ASF, アフリカ豚コレラ】 - pelicanmemo (2022-02-13)
アフリカ豚熱(アフリカ豚コレラ)カテゴリーの記事一覧 - pelicanmemo
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チェコの首都、プラハの国立獣医研究所によると、アフリカ豚熱(ASF、旧称:アフリカ豚コレラ)が再確認されたのはチェコ北部のポーランドとドイツと国境を接するリベレツ州(Liberecký kraj)のフリードラント(Frýdlantsku)地域。Jindřichovicích pod Smrkem村で発見された野生イノシシの子豚の死体でアフリカ豚熱(ASF)陽性が確認された。
車にはねられた死んだイノシシ子豚だったそうだ。発見された場所は、アフリカ豚熱(ASF)の感染が長い間続いているポーランドの国境近いあたり。ドイツとの国境も近い。
国家獣医局(SVS(Stání veterinární správa)))はリベレツ州フリードラント地域の総面積200平方キロメートルを感染指定地域、いわゆる「感染ゾーン」として特別な獣医学的措置を命じた。この措置はイノシシ個体群における感染症の蔓延を最小限に抑えて、国内の養豚場をウイルスの侵入から保護することを目的としている。
(SVS(Státní veterinární správa)より)
感染ゾーン内での狩猟やイノシシへの餌付けが禁止される。ゾーンの内側では、指定された道路以外への森での散策や採取といった住民の行動は制限され、イノシシの死骸の捜索と収集・除去が強化される。自治体は家庭で飼育されている全ての豚をリストを1週間以内に作成し、非営利目的で豚を飼っている(自家消費など)農家は10日以内に屠殺することが求められた。
屋外で豚を飼育することは禁止。感染ゾーンからの豚の移動も禁止。その地域の豚由来の製品はリベレツ州獣医局によって正当に認められた場合のみ可能となる場合がある。
「感染ゾーン (pásmo infekce)(en: zone of infection)」の南とポーランド国境沿いの自治体に、総面積531平方キロメートルの「閉鎖ゾーンI (uzavřeného pásma I)(en: closed zone I)」が指定された。
(次の閉鎖ゾーンIの地図は、感染ゾーンの地図とは縮尺が違っていて少し広範囲。よく見ると北側の感染ゾーンも含まれていて国境線(境界線)が分かる)
(SVS(Státní veterinární správa)より)
閉鎖ゾーンIでは、特別なトレーニングを受けたハンターだけがイノシシの狩猟ができ、捕獲した個体から採取した血液や臓器サンプルを州の獣医研究所へ送らなければならない。
豚の飼育者は、使用する豚のエサや飼料に制限がかけられる。豚の移動はゾーン内の食肉処理場にのみ許可され、ゾーン外への移動は獣医証明書がある場合のみ例外的に認められる可能性がある。
SVS vymezila na Liberecku ochranné pásmo navazující na pásmo infekce – Státní veterinární správa
人間や飼い犬などの移動が制限されて、イノシシの死骸の捜索と収集・除去が強化されたところがキモだろう。
感染ゾーン内での死骸を発見したハンターに対して1頭あたり3,000コルナ(CZK)(約17,000円(記事公開時点の為替))が支払われる。チェコ国内の感染ゾーン以外の地域では1頭あたり2,000コルナ(CZK)(約11,500円)が支払われる。
閉鎖ゾーンIでの捕獲イノシシ(サンプル提供)に対しては1頭あたり1,000コルナ(CZK)(約6000円)の支払いを受けることが出来る。結果が陰性の場合は家庭内消費や地域内の小売り店に渡すことも可能だそうだ。地域ごとの謝肉祭は行えるだろう。
アフリカ豚熱(ASF)のウイルスは冷凍豚肉やハムやサラミなど加工された豚肉製品の中で数ヶ月、自然界での死骸や泥の中でも長く感染性を残したまま存在し続ける。
感染したり病死したイノシシをいちはやく見つけて、ウイルスを自然界に残すことで新たな感染源とならないよう採取して撤去してその場所も含めて無害化する。これの繰り返し。
この厳密な繰り返しが大事。🙂
(*1)イタリアからの豚肉・豚肉加工品の輸入許可は、以前は「イタリア(サルディーニャは除く)」とされていた。サルディーニャ島では1978年にアフリカ豚熱(ASF)(I型)がはじめて確認された後、風土病と化していたからだ。(イタリア本土でアフリカ豚熱(ASF)の発生が公式に報告されたことで、農林水産省は昨年(2022年)1月8日付けでイタリアからの豚肉等の一時輸入停止措置を講じた。)
昨年(2022年)12月中旬に、EUはサルディーニャ島(自治州)の一部の自治体からの豚肉および豚加工品の流通を管轄当局の管理下で認める決定を行った。
サルディーニャ自治州では2015年から、飼育豚や野生イノシシ、サルディーニャ特有の問題である野生豚の個体群の管理と根絶を徹底してきた結果、ASF発生数が大幅に減少をしている。また、アフリカ豚熱(ASF)(II型)がEU域内で感染拡大しており、イタリア本土でもASF発生が起こったのでサルディーニャ島にだけ特別厳しい扱いをする理由が薄れたのだろう。
5年後になるか10年後になるかかは分からないが、イタリア産豚肉等の一時輸入停止措置が解除されるときにはサルディーニャ産の豚肉加工品も日本へ輸入できるようになるのかもしれない。
Salute degli animali: la lotta contro la peste suina africana produce ottimi risultati in Sardegna (アフリカ豚熱(ASF)との闘いは、サルデーニャで優れた成果を上げています - EU イタリア代表部)
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Karten zur ASP: Friedrich-Loeffler-Institut